SNSの誹謗中傷で自死した木村花さん(右)と母の響子さん(提供)

 兵庫県知事選、告発文書問題に関連した誹謗中傷や出処不明の情報が交流サイト(SNS)上で広がり、亡くなった竹内英明・前県議に対する誤情報もあふれている。2020年、出演したテレビ番組を巡ってSNS上で中傷され自死した女子プロレスラー木村花さん=当時(22)=の母である響子さん(47)に、自身と娘の経験を踏まえ、SNSの投稿で誹謗中傷被害に遭うことの苦しさ、行政やメディアのあり方、法整備の問題点などを聞いた。

■辛さをわかってもらえない絶望感

 今のSNSを取り巻く状況として、言葉の刃(やいば)によって人の命が奪われることがあり、私はそれを「心の殺人」だと思っている。

 誹謗中傷によって心はすぐに壊されていく。家から出られなくなってしまったり、何もできなくなってしまったりする。私は周囲からSNSを「見なければいい」「気にしちゃ負けだよ」との言葉をかけられ、自分の辛さをわかってもらえないんだと絶望した。

 誹謗中傷を受けるとすごく怖いし、いつ自分に関するデマが流されるかもわからない。家族に対して殺害予告があるかもしれないと思った時に見ないでいられますか? やはり見ちゃう。怖いから。