「社員へのプレゼント」は本当だった

翌日、聞いていたよりもずいぶん背の高い女性がやってきて「昨日社長に頂いたのですが、サイズ交換と可能なら他の物に変えてほしいんです」と訪れた。社員へのプレゼントは本当だったのだと思った。レシートはなかったが、昨日の今日で購入履歴も分かるので、好きなものに交換することになった。

「私が選んだものでしたが、好みに合いませんでしたか?」と聞いてみる。すると、会社には寿退社とだけ伝えているが、現在妊娠しているため、これからさらに着られなくなるので大きめのものにしたい。ベージュのニットと白いパンツだったが、今後は子供がいると汚れることが予想できるので、動きやすく汚れが目立たない色がいいとのことだった。事情を聞いて、もちろんですと伝えた。

Photo by iStock
 

交換すること自体、社長も了承していたようだが、差額が出ることを説明すると、電話をかけるから、直接話してほしいと言われた。その場で電話口を代わり、社長に昨日のお菓子の御礼をお伝えしたのち、交換する商品と費用について説明する。承諾を得てクレジットカードの修正をさせてもらった。交換した物を包み直し、御礼をお伝えし、社長さんにも御礼をお伝えくださいと話すと、今出張中で戻り次第伝えると言ってくれた。彼は全て本当のことを話していたのだなと、微笑ましいというか、不思議な感じを覚えた。