義母に「やってもらう」ことの罪悪感
結婚して暮らす場所の問題もあり、就職した会社を辞めていた私は、急いで就職先を見つけなければと面接に出掛けた。有り難いことに、最初に受けた面接で合格をもらい、百貨店で勤務することになった。家から駅までは車で10分かからないくらい、そこから電車で20分離れた勤務地と決まった。
理解のある会社で、新婚で土日が休みの夫に合わせて、平日中心のシフトにしてくれた。駅までは毎日お義父さんかお義母さんが車で送迎してくれるという。それまで、誰かに送迎なんてしてもらったことはなかった。ありがたいという思いと、申し訳ないという思いを抱いた。
最初の10日ほど送り迎えしてもらった頃、少し残業で遅くなったため、帰りはいつもと異なる時間に迎えに来てもらったことがあった。帰ってくるとキッチンに食べかけの食事があり、ご飯の途中で迎えに来てくれたことが分かった。慌てて謝ったけれど、お義母さんは「そんなんいいよ。なおちゃんお腹空いたやろ? 一緒に食べよ」と言ってくれた。こんな風にしてもらえることに、素直に甘えられず、申し訳なさが勝ってしまい、泣きながら謝っている自分がいた。
普通ならただただ嬉しいと思い、優しいと感じられることが、なぜこんなにも難しいのか。本当の娘でもないのに、そんな優しさを与えてもらえる立場にないのにと思うと、次はこの優しさを受けれなくなるのではないか? いつかまた一人になるのではないかと恐怖の方が勝ってしまう。夫から「ネガティブだね、もっとポジティブに考えようよ」「うじうじし過ぎ」と言われ、自分の頭がおかしいのではないかと悩んでしまった。