彼の「義母への態度」に違和感

さらに彼がお義母さんにいった言葉が私を苦しめた。
「おかん! なおちゃんにあんまりかまうなって。なおちゃんのペースがあるから、お節介や干渉するなって」と強い口調で言ったのだ。
そんな言い方をしたら、お義母さんがどう思うだろう。わたしがお義母さんへの文句を言っているように感じても当然だ。ほんの少しでも想像してほしかった。

お義母さんは彼を溺愛していた。だから彼のその言い方を責めることは一切なかった。だから悲しそうにこう言ったのだ。
え? ほんま? なおちゃんごめんやで。イヤやったの? 言うてくれたらいいのに

こう言われて、嫌な理由を説明する勇気が私にはなかった。居心地悪く立場がなかった。お義父さんが彼に、「なんやその言い方は。同じうちにおるねんから、声掛けるんは当たり前やろ」と言うと、お義父さんには言い返さず、気まずい空気が流れた。結局、私が「いえいえ、私が慣れていなくてすみません。嫌とかではないんです」と弁解することになり、また翌日にはお母さんに誘われるの繰り返しになった。

 

彼に、お義母さんにそういう言い方をしないでと何度言っても「おかんと僕はいつもこうだから。なおちゃんは気にしなくていいよ」と言う。彼が私の家の事を言わないように、彼の親子関係に私が口を出すのは違うと思うと、それ以上何も言えなかった。

「何でも受け止めてくれる大人の彼」が好きで結婚を決めたはずが、少しずつ、少しずつ心の距離というか、育った環境の違いというか、違和感が大きくなっていった。私には優しい言葉遣いだけれど、お義母さんにはきつく言ったり、冷たく接する人に見える。

また、結婚式の場所ひとつにしても、彼は初デートした場所にこだわり続けた。両家の真ん中くらいだからいいと言う。私は、うちからはほとんど出席しないから、彼のご両親の来やすい場所で、お金を掛けずにやろうと提案した。それでも「結婚式のお金は僕が出すからここに決めた」とこだわりの場所で決めてしまい、そう言われたら、何も言えなかった。ドレスの好みや色も2択になれば彼に合せた。段々と普段の服装、お化粧、髪型に至るまで「彼の好みに合わせる」のが当然になっていった

お色直しのドレスも、彼が好きなものを選んだ Photo by iStock

彼色になることが嬉しいと思い込んでいたが、彼に嫌われたくないから彼の顔色を伺うようになっているんだと気付いたのは、結婚した後だった。