収録現場から出演者のコメントをお届けしてきた「君かたり」。動画内に収まりきらなかったコメントを含めて、まひろ役の吉高由里子さんにクランクアップ後にお話ししていただいた内容をテキスト版の「もっと、君かたり」としてお届けします。
――演じきった今のお気持ちを教えてください。
一生に一度の経験だろうなと思うし、クランクアップのときにセットにパンパンになるくらい、こんなにたくさんの人が関わっていたんだなと思うくらい、たくさんの人たちがお祝いに集まってくれて、すごくあたたかい現場にいさせてもらったんだなと改めて実感しました。
――改めて、「光る君へ」のまひろにとって、藤原道長はどのような存在だったと感じていますか。
支えることで支えられていたし、助けているという立場で助けられていたという感じですかね。常に、どちらかが光っているときはどちらかが影になっているような、全部支えているようで支えられている形になっていたのかなと思います。
――クランクアップは道長と二人のシーンでしたが、撮影が終了し、どのような思いになりましたか。
最後まひろは、道長をどうにかしてこの世に引き止めようとしたんだと思うんですけれど、それはかなわず、生きる気力がわかなくなってしまったんだろうなと。旅にでも出ないと自分の不甲斐(ふがい)なさを感じてしまうというか、生きている実感がわかなくなってしまうと思ったのだと思います。
目的とか目標とか夢とかって、あればいいというわけではないと思うけれど、でもそういう些細(ささい)な課題が自分を明日に向ける原動力になるんだなと思ったし、私にとってはそれが大河ドラマの撮影だったのかなと思いました。終わってホッとした感じはあるけど、まだ実感がわかない感じもあって、自分が泣いているのはわかるけれど、これは何の涙なのか、うれしいのか、ホッとしたのか、さみしいのかわからない。空っぽになっちゃったのかなとも思うし、でも充実していたんだろうなとも思うし、急に冷静になって「本当にサヨナラだ」と思ってさみしくなったりもして。たくさんの人が働いている中で今回のスタッフさんたちに巡り会えたことは奇跡だと思うし、誰かとまた会うことはあっても、まったく同じキャスト・スタッフで同じ番組はもうつくれないし、集まれないんだなと思ったらさみしくて。でも、達成感のような、高揚感のような気持ちもあったりして、すごくいろいろな感情に出会わせてくれた期間だったなと思います。
――「とても良いチームだった」とみなさんおっしゃいます。
そうですよね。思いやりのある方が多かったし、長い期間一緒にいたからこそ、良いときのみんなのテンションも、うまくいかないときの混沌とした雰囲気とかも全部見すぎて、ファミリーのような感じがあるんですよ。だからこそ何があっても大丈夫だろうなと思えたし、本当にこの現場で良かったと思うし、「私はなんてくじ運がいいんだ」というか、「幸せものだな」と思います。キャストの人もみんなおだやかで心地の良い雰囲気をつくってくれる方が多くて、みんなに持ち上げてもらって立たせてもらっていたなと感じます。
◆君かたり