車にひかれたときも「あんたが悪い」

思えば、どんなことがあっても、母から「あんたが悪い」と言われていた。
小学4~5年生のとき、2回車にひかれたことがある。1回目は田舎道で母から「こっち来なさい」と言われ、歩道もない一車線の道路を渡ったときに突然車が出てきた。足が車にあたって体がボンネットの上に乗り、バウンドしてアスファルトに落ちて擦りむいた。幸いケガはたいしたことがなかったが、「飛び出したあんたが悪い」と母から言われた。

 

2回目は家の目の前で近所の人一旦停止せずに左折してきたときだ。近所のおばちゃんは立派な外国車に乗っていて、左側にアンテナのようなものが立っていた。あまりに急に曲がってきて、私はそのアンテナにひっかかって膝を怪我した。あまりの痛さにうずくまったが、おばちゃんはそのまま走り去ってしまった。そのときは目撃者が多くいて、近所のおばちゃんが奈緒ちゃんをひいたよと口々に言っている声も聞こえた。だからだろうか、それから数時間後におばちゃんは「なんか、当たったみたいで」とケーキをもってお詫びに来た。そのときも母はこういった。

「飛び出したうちの子が悪いんで」

私は決して飛び出してない。家の前の坂道を歩いていただけだ。坂を下っていたら急に左折してギリギリをすり抜けていき、ひっかけられた。

自分がまったく悪くなかったとは言い切れないかもしれない。しかし一時停止をしなかったり、スピードをゆるめなかった運転手のことは何も言わずに「あんたが悪い」と言われ続けた(写真はイメージです。写真の人物と本文は関係ありません)Photo by iStock

つまり私は、幼い時から、なにか困難に遭うとそれは私が悪いからだと言われ続けてきたのだ。病気で入院をしても、犬を散歩しているときに性被害に遭っても、それは私が悪いからだと。私の心はもう折れそうになっていた。