お昼代や資格試験代も出さなくなり…
母からは、バイトをしてお給料もらったんでしょ? と、初任給で食事に連れて行ってとか、お金を家に入れなさいと言われたりもした。次第に、それまでくれていた昼食代も出さなくなり、資格試験の検定代も、バイトしているから自分で出せるねと変わっていった。目標金額に届くまでに親の支援がほぼなくなったのは痛手だったが、単位に反映されるもの以外は、資格試験も受けないことにした。
それにしても、資格試験にかかる数千円稼ぐのに、何時間働かなくてはいけないのか想像したらわかるはずだ。母は喫茶店かファーストフードでのアルバイトだと思っていたわけだから、数百円という時給を考えてもなおさらである。それなのに資格試験の検定代も出さないなんて……。どこまでいっても、何をしても、この家にいること、母の傍にいることが問題だということだけはわかっていた。自分の人生や考えも、手にしたものも支配され、コントロールしようとする。母の何気ない言葉や思いやりのなさに自尊心を傷つけられる。
今振り返ると、母によって私は、自己肯定感が低く、自分自身に価値を見出せなくなっていたと思う。愛情が足りないから、誰かに必要とされたり望まれると、人一倍信じて頑張ってしまい、これが自分の人生において大きな間違いや失敗の原因にもなった。母によってつけられた足かせだと気付くには、数々の失敗をした。ずいぶん遠回りをして、ようやく「母の呪縛」なのだと理解したのだ。
高校3年生のこの時はただ、母から離れようとする計画がバレてはならないと必死だった。私はアルバイト代を入れた箱を、絶対に誰にも見つからないように隠していた。
◇こうして、母親から逃れるために自立への計画を立て、行動に移していった若林奈緒音さん。就職の内定は取れるのか。母にバレずに一人暮らしができるのか。後編「親ガチャの悪夢から抜ける…母に虐待された女子高生が「自立計画」を実行に移すまで」では、学校の先生からの後押しもあり、計画の実現に向けて具体的に進む様子を詳しくお伝えする。