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2024年の賃金動向調査(日経新聞)によると、基本給を底上げするベースアップの実施率は94.1%で過去最高だったんですよ。でも「そんなの全然実感ないぞ!」という人が大多数ですよね。おそらくそれは、労使合計の負担率がいつの間にか約30%にもなった「社会保険料」のせいです。 給料が上がると、それに合わせて社会保険料も上がります。せっかく賃上げされたとしても、社会保険料を引かれたら手取りがほぼ変わらないか、逆にマイナスになってしまうこともあります。皆さんも給与明細を見てみてください。おそらく税金よりも社会保険料の方が重たいことに気づくはずですよ。 消費税なら1%上がるだけで大モメなのに、社会保険料率はシレっと上がり続けてきましたからね。そりゃ、ちょっとやそっとの賃上げじゃ実感ないのも当たり前です。会社側としても、賃上げしたら社保の会社負担分も増えるわ、せっかく賃上げしたのに有難がられないわ、じゃやってられませんよ。 我々が日々こんなに汗水たらして働いてるのに、意味不明なほど経済成長せず、また給料も上がらない(ように感じてしまう)元凶のひとつは、間違いなくこの社会保障制度でしょう。「人口ピラミッドが富士山型で、平均寿命が66歳だった頃にできた制度」をムリヤリ維持しようとし、法外な社会保険料が天引きされ、巨大な医療福祉分野に若い労働力が吸収されてしまい、経済成長の足枷にもなっているというのに、高齢者票田に忖度して政治家たちがまったくこの分野にメスを入れようとせず、勇敢にもメスを入れようとした政治家は落選し、社会的な不効率が温存されてきたままだからダメなんですよ。 我が国の経済と賃金を議論する際に、現行の社会保障制度を無視する政治家はまったく信頼できませんね。せめて高齢者の医療費自己負担割合は引き上げて、湿布とかうがい薬など処方箋がなくても購入できるものは保険適用外にするなど無駄をなくしたり、複数の社会保険制度を統合して運営コストを削減したり、「医療版マクロ経済スライド」のような、中長期的な経済成長率と乖離しないよう社会保障給付費の伸びを調整する仕組みを導入するなどして、社会保険料を下げてもらいたいです。そうすれば賃上げなんかしなくても現役世代の手取りは増え、バブル経済が到来するかもしれません。 米国において、我が国の社会保険料に該当するものは「社会保障税(Social Security Tax)」と呼ばれます。我が国も「社会保険料」なんて呼び方は即刻止めて、「社会保険税」とかに変えればいいんですよ。最低でも、給与明細に社会保険料の会社負担分を明記することは必須でしょう。そうすれば、みんな料率や使途に対してより敏感になり、政策にも反映するんじゃないでしょうか。
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