こんな時間にこんな格好で歩いた娘が悪いんです
私の姿を見て発した第一声は忘れられない。
「すみません。ご迷惑をおかけしました。こんな時間に外に、そんなことされるような格好で出歩いたうちの娘が悪いんです」
そのとき私が着ていた服はTシャツとチノパンだった。露出が多いわけでもなく、普通の恰好で犬の散歩をしていただけだ。性暴力は加害者が絶対的に悪いのに、なぜ私が悪いと警察官に言うのか。私の安全を喜んだり抱きしめたり、加害者に怒ったりということは一切なかった。。警察官から、「相手が未成年で、この程度で済んだのだから、訴えても起訴される可能性は低いと思う。たとえ起訴されて裁判になっても、たくさんの人の前でもっと性暴力の内容を詳細に聞かれ、私がさらに辛い思いをする」と言われた。
それを聞いた母は、「うちの子も悪いし、相手方も片親だし」と、加害者の親、警察とで話し合い示談に賛成した。婦人警官の方だけが最後に示談書に署名する前に、本当にいいか? 大丈夫か? と私に聞いてくれたが、母はそれすらも遮った。母にとっては、私の意思は一切関係がないのだ、そして女性が暴力に遭うことについてすら女性のせいにするのだと心から幻滅した。
警察官が言った「この程度」とは、車に引きずり込まれたのに、最終的にはレイプされず、打撲や擦り傷のみで済んだということ。怖い思いをした心に負った傷は、母の言葉によってさらにえぐられ、女として生まれたことを深く悔やんだ。しかしふと気づいた。女として生まれたことが嫌なのではない、女をこういうものだと決めつけ、抑えつけられることが嫌なのだと。母のその価値観が嫌なのだと。
親が持つ感覚や固定概念で、何の疑問も持たず子に押し付ける以上、子供側は親の考えを疑うこともなく、気付かせてくれる第三者の声がないと抜け出せないような気がした。そして、だから私は早く自立がしたかったのだと改めて理解したのだった。
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