先生が理解してくれていた
担任の先生に相談する。幸い、先生は私がクラスメイトが亡くなったときの体験を機に、私が看護学校へ行きたいと思えないでいることを理解していた。三者面談で母が繰り返していた「手に職をつける」という意向を汲むのであれば、事務系の資格がたくさん取れる専門科。高校卒業時に進学しないのであれば就職に有利なことから、学校から一人だけ受けられる商業科の推薦入試枠を薦められた。
数少ない仲の良い友達が行く、家からできるだけ遠い普通科が良いと思っていたが、推薦入試は普通科より1ヵ月以上早く結果が出るし、少しではあるが学費免除を受けられるという。テストは形だけでメインは小論文、面接。幸いひとりの推薦枠を得るには十分の学力があり、先生も落ちたら普通科を受験すれば良いと言ってくれたので受けることにした。
看護学校ではないから、最初話した時、母の顔は怒りに満ちていた。それでも推薦入試であることと、兄が通う高校と同じ学校であるということがわかり、ダメなら看護学校受けなさいと言われた。
合格も「お兄ちゃんのおかげ!」
それから数週間、先生との小論文・面接練習の甲斐もあり、幸いにも小論文が評価され受かることができた。母と受験発表を見に行った際、珍しく兄も見に来てくれていた。普段はあまり話さないし、母から優遇されていたことで、決して仲がいいとは言えなかったが、心配してくれたようだ。そして無事に合格! ホッとしている私に向かって母は言った。
「よかった。これもお兄ちゃんのおかげ! 恥かかせないでよかったわ。お兄ちゃんの先生にご挨拶してから帰ろう」
この日、私がどれだけ母に褒めてもらいたかったか。推薦を受けられるのは学校でも一人だったんだよ、推薦入試の倍率は決して低くないんだよ。そう心の中で思った。何をすれば母は満足するのか。もうわからなかったし、私に笑顔は作れなかった。