厚生労働省のHPによると、児童虐待の定義として、以下の4項目が挙げられている。

身体的虐待 殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など

性的虐待 子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など

ネグレクト 家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など

心理的虐待 言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など

その「心理的虐待」の中で最近注目されているものが「教育虐待」だ。「絶対この学校に行け」と追いつめる。受験に関して父が息子を刺してしまう悲しい事件に結び付いたこともある。子どもに良かれと思ってアドバイスをしたい気持ちはだれでもあるだろうが、「子どもの人生は子どものもの」である前提を見失ってしまい、追いつめてしまうと――。

母親から「バレーボール選手になれ」「看護学校へ行け」若林奈緒音さん(仮名)は自分の望まぬ進路を指示され、常に苦しんでいたという。身体的暴力もあった。中学のときになんとか母の呪縛から逃れてバレーボール部に入ることを回避したが、次は高校受験で看護学校を受けろと言われた若林さんが取った行動は。

 

看護学校以外は許さない

秋になり、いよいよ進路を決めなければいけないと言う時に、母は看護学校一択で、それ以外は許さないと言った。したいこともなければ、同級生が突然亡くなってしまい、以前より勉強は捗らなかった。母は「お母さんは、高校に行きたくてもいけなかった。行けるだけありがたいと思いなさい。私立はダメ。受験は1校のみ。落ちたら働きなさい。お母さんは高校へ行かせてもらえず働いて家にお金を入れていた。お兄ちゃんにも同じことを言った。うちは公立高校までが義務教育」を繰り返し言われた。

同じことを言ったと母は言ったが、母は兄が受ける学校を指定はしなかった。それでも兄の受験の時と、条件が違い過ぎるとは言えなかった。

自分がこうしたい、ということは言えなかった。せめて「看護学校には行きたくない」ということだけでもなんとかしなくては…Photo by iStock