「あんたのせいで親が馬鹿にされたやんか!」
朝早くから一日立ち通しで家事をしていた母。帰りは22時くらいだった。
車の中には重い空気が流れていた。
母が父に、なぜかばってくれなかったのか? と泣きながら話し出した。父は、「そんなに嫌なら付き合い止めてもいい。家族はここにおるだけやから」と言った。しかし母は、「あなたはいいわよね、自分の親を亡くしてないからそんなこと言うのよ。私たち家族が大事なら、今言うんじゃなくて、自分の妻が母親から嫌なことを言われてるときに、庇ってくれればいいじゃない」と言いながら泣いた。
子供たち3人は後ろの席で、一言も話さなかった。
家の駐車場に着いたのは、夜も遅い23時頃だった。
母が後ろを振り返り、私の目を見て「あんたは残りなさい」と言った。父と兄、妹が家に入るのを見届け、「なんでおばあちゃんにあんなこと言ったの?」と静かな冷たい声で聞いてきた。私は答えようと思って母の顔を見たが、答える間も与えず、助手席から後部座席に体を乗り出した母に、両手で髪の毛を掴まれて前後に何度も頭を振られた。
「あんたがあんなこと言うから、バカにされたやんか! 親のことを悪く言われたやんか! あんたのせいで!」
泣き叫びながら頬を何度も打たれた。
「あんたのせいで! あんたが悪い!」
私は、何が起こっているのか理解ができなかった。母にひどいことを言った祖母から、母をかばったのに、なぜ今殴られているのか。母は、母親に子供を殴らせる、そんな嫌な思いをさせている私が悪いと言って殴り続けた。それを聞くと、殴られることに対して、だんだん無感情になっていった。殴られながら、全く違うことを考えて、早く気がすめばいいなと思うようにした。
この日から、私の中で決意したことがある。何が正しいとか、いけないことだとかではなく、母のご機嫌を損ねてはならないし、たとえ正しくても口答えしてはいけないと。同時に私は、絶対に人の親や学歴のことをバカにする人にはなりたくないと思ったし、いくら女だからとはいえ、結婚して子供を産むだけではなく、最低限の学力を身に着けておきたいとも強く思った。
母の怒りが静まって、しばらく頭を冷やしなさいと、私を車に残して家に入っていった。しばらくがどのくらいかわからず、家に入るのが怖かった。バックミラーで見ると、顔が腫れ唇が切れていた。父が大事にしている車のシートを、血で汚さないかが気がかりだった。
私は元旦から、暗い冷え切った車内で座ったまま眠り、朝を迎えた。
【次回は1月10日公開予定です】
#1-1顔が歪むほど殴られた…40代女性が抱え続ける「母のコントロールの悪夢」の告白
#1-2骨折した足にテーピングして…娘をバレーボール選手にしたかった母「驚愕の行動
#2-1母はなぜ私を殴り続けたのか―40代女性が考える「高校に行かず嫁に出た母の孤独
#2-210歳の私が「祖母の標的」だった母をかばったら…止まらぬ母の暴力
#3-1些細なことで始まった小学校でのいじめ…母に「甘えるな」と言われ絶望した日のこと
#3-2斜視の手術で目に包帯…母に殴られ続けていた私が唯一感じた「母の優しさ」
#4-1料理が気に入らないと箸もつけない父への不満が…私を殴り続けた母「父との関係」
#4-2私のことは殴っても父に従順だった母が、「家事をやらない人」に急変した理由
#5-1家事をしなくなった母が祖母と叔母と演じた「修羅場」、巻き込まれる子どもたち
#5-2いじめをかばってくれた友人との突然の別れ…そのときの母の驚愕の言動
#6-1殴る蹴るに、タバコまで…母が私だけに暴力を振るうようになった経緯と「母の夢」
#6-2母が薦めた看護学校は回避しても…高校の推薦入試合格の日に感じた「絶望」
#7-1高校合格の日に母からボコボコに…入学前からの悪夢と兄との関係の大きな「変化」
#7-2瓶詰め入りの買い物袋で顔を…高1の私の顔が歪むほど母に殴られた日の話
#8-1高校トップの成績・進学希望の兄に「学歴はいらん…」妹の私が見た「父の呪縛」#8-2学歴はいらない」男らしさを強要する父、進学を諦めた兄…子どもの人生とは
#9-1大学進学を阻んだ「父の呪縛」…兄が「親ガチャ」から脱出できた理由
#9-2犬の散歩中に車に引きずり込まれ…性暴力に遭った私に母が口にした驚きの言葉
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#10-2親ガチャの悪夢から抜ける…母に虐待された女子高生が「自立計画」を実行に移すまで
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#11-2「お金都合してくれへん?」高卒で自立した私に忍びよる母の「せびり」