第31話 凍道チャンネル「祟神機関八咫烏スペシャル⑥」

「日本書紀と古事記の謎といえば、たとえば神功皇后の三韓征伐。ざっくり紹介すると、神功皇后が神のお告げに従って朝鮮半島を攻めにいったら、戦うことなく降参したのだ!わっはっはみたいな話ね。古事記では新羅と百済、朝鮮半島の下の方の2国が降伏したことになってて、日本書紀だとこれに上の方の高句麗も加えた3国が降伏したから、三韓征伐と呼ばれてる。古事記だと三韓征伐とは呼んでない。そして、120年くらい時代をずらすと、百済から倭国に献上されたという七支刀や、好太王碑から、日本書紀や古事記と実際の歴史が合致したりする。つまり、日本書紀や古事記が嘘をついてるのはほぼ確定なんだよね。あ、これアカデミアで言ったら追放されるから気をつけてねwじゃあここで認知プロファイリングしようか」


『え、ここまでで認知プロファイリングまだしてなかったんですか』『認プロきたー』『追放は当然なんだよなあ・・・』『待ってましたのだ!』『アカデミアでこんなん言うやつおらんやろw』『命知らず』『え?認知プロファイリングってなんですか?』


「あ、認知プロファイリングってのは考えとか起こったことから予想するっていうか、カンでこう思った、みたいなものです。三韓征伐については、俺は二韓征伐、つまり新羅と百済が降伏したのは事実じゃないかなと思う。それは七支刀とかからも明らか。そして、このあと百済が新羅に滅ぼされ、白村江の戦いで日本書紀の記述では作戦もろくにたてず、倭軍が雑に戦ってメッタメタに負けて、逆に唐に攻められるかもって太宰府とかつくるんだけど、これって日清日露戦争で勝って調子こいたあと、第二次大戦でボッコボコにされたのとかぶらない?作戦ろくに立てないで勝てちゃった二韓征伐があったから、作戦なしでボコボコにされた白村江の戦いに繋がった。同じく、日清日露で勝てちゃったから、日中、そして真珠湾攻撃と見通しなく……この歴史から学べば、第二次大戦は違った道もあったんだろうけど、皇国史観だと、倭国が敗北した白村江の戦いはどう教えてたんだろうね……」


『白村江って朝鮮半島出兵の一つなのに秀吉の出兵と違ってほとんどやらないよね』『だいじょうぶ?ネトウヨ切れない?』『これはネトウヨも切れるんじゃないのw』『くぅ~これこれ、凍道の何も気にしない歴史認プロ』『天罰大丈夫そ?』


「あ、いいコメントあったね。そう、朝鮮半島への出兵や領地化というと、第二次大戦の日韓併合と秀吉の朝鮮出兵ばかりが論じられるけど、白村江の戦いと三韓征伐で古代日本で2回やってるよね。なんで白村江の戦いと三韓征伐は全く触れられず、秀吉の朝鮮出兵と日韓併合ばかり論じられるのか?それは、「白村江の戦いと三韓征伐」は朝廷、つまり天皇の出兵だからタブーなんだよ。秀吉は豊臣政権によるものだし、日韓併合は明治政府によるものだ。南北朝時代にかぎらず、日本書紀によれば、天皇だって朝鮮半島に出兵してるんだよね。あー、神功皇后は明治時代まで?は天皇だったんだけど、大正時代に天皇から外されたんだっけ。それでいうと、白村江の戦いも斉明天皇はなぜか出兵前に崩御し、中大兄皇子は即位せず称制して白村江の戦いに敗れてるんだよね。これさあ、天皇が負けたって歴史に残したくなくて、本当は天智天皇が即位してたんだけど、即位しなかったことに書き換えてないかなあ……」


『アカデミア、きれた』『あーいけませんこれは天罰』『天罰下りますよ!!!』『そういえば白村江の戦いは朝鮮出兵の一つなのにそう考えてなかったね』『怖いもんなしかよwこれはアカデミアに席なし』


「俺はおそらく正真正銘の無神論無宗教なんだけどさ、こういう、白村江の敗戦や、天皇だって昔朝鮮出兵してんじゃんとか言うことがタブー視されるこれこそが、一種の「祟り教、日本教」みたいな教えだよね。多分この概念を生み出したのは天智天皇から聖武天皇のあたりの天皇で、天然痘を輸入して藤原四兄弟を全滅させ、ミスってパンデミックまで起こしちゃったのをうまく使って、「祟り」の概念を固着させたっていう。天皇は神ではなく人だ、と敗戦しても、未だにアカデミアや、こうしてチャンネルを見に来てくれてるこの国の人でも、この「祟り教」の呪縛は続いてるんだなと思うよ。日本という国の国教だったわけだから、日本という国が滅ばないかぎり、国教は消えないのかもね。天罰って考え方も祟りの一種かな。キリスト教だと「死後神の裁きにあう」とか」「天国に入れない」とはいうけど、あくまで悪霊とかはエクソシストが祓うし、現世で大罪を犯しても、現世にいる家に祟りにあう、天罰が下るみたいな考えはないんじゃない?キリスト教に詳しいわけじゃないからそういうイメージ」


『天罰って考えも祟りとかの考えだよな』『TATARIはホラー映画でも日本だけの考えのだ』


「祟りや穢れの思想は、斉明天皇か天智天皇が敗戦したはずの白村江の敗戦を、歴史書である日本書紀や古事記でごまかしたかもしれないレベルに、「失敗や敗戦」を徹底して受け入れない考えだった。これこそが、皇国史観最大の弱点であり、第二次大戦で敗戦した最大の原因であり、日本人の、「調子の良いときや技術力を追求してるときはめっぽう強いが、負けても負けをきちんと受け入れて反省や分析することができないし、組織は自浄できず腐り果てる」という性質の根幹を形成してるんじゃないのかなって思うんだよね」


『なんか政治家みたいなことゆってるのだ』『なんとなく言ってることはわかる』


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認知プロファイリング探偵松尾光 暇空茜 @himasoraakane

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