カテゴリーエントリーポイント(CEPs)とは、ブランドの想起につながるきっかけのことだ。第2回では、「CEPsを日々の業務で活用する」をテーマに、簡単な調査からCEPsごとの需要を構造的かつ定量的に把握する診断法を紹介する。具体的なデータを基に、ターゲット層におけるCEPsの理解を深め、マーケティング戦略に役立てることを目指す。
「カテゴリーエントリーポイント(CEPs)」とは、ブランドの想起につながる可能性がある“きっかけ”のことを指す。
例えば、外食チェーンの場合は、「朝食」「昼食」「夕食」「間食」「夜食」といった時間や、「ゆっくり1人でコーヒーが飲みたい」「子供と一緒に楽しみたい」「友人との会話を楽しみたい」といったきっかけが、「マクドナルド」や「サイゼリヤ」といった具体的なブランドの想起につながることがある。この一つ一つを、CEPsという。
- 第1回マクドナルドの強さの秘密 「カテゴリーエントリーポイント(CEPs)」にあり
- 第2回データ分析でカテゴリー需要を見極める方法 確率モデルを実践今回はココ
- 第3回マクドナルド「ハッピーセット」が親の心を動かす理由 CEPsを生成AIで洗い出し
- 第4回なぜ若者は「レッドブル」を飲むのか 隠れたCEPsをデータで探索
- 第5回テレビCMは売上に貢献しているのか マーケ施策の効果をMMMで分析
今回の調査では、外食チェーンの分析を行い、マクドナルドの強さをCEPsの観点から探る。連載の第3回では「ハッピーセット」など、食事以外の価値提供がどのように影響するかも検証する。
調査対象として選んだブランドは、マクドナルドを含む以下の6つの外食チェーンだ。
- マクドナルド
- ケンタッキーフライドチキン
- モスバーガー
- バーガーキング
- ガスト
- サイゼリヤ
まずは、調査ツール「Freeasy」を用いて、15~69歳の6000人にスクリーニング調査を実施した。以下のようにシチュエーションをWhenとして、過不足のないCEPsを設定した。
- 【平日】朝食時間帯/主目的 食事
- 【平日】朝食時間帯/主目的 食事以外
- 【休日】朝食時間帯/主目的 食事
- 【休日】朝食時間帯/主目的 食事以外
- 【平日】昼食時間帯/主目的 食事
- 【平日】昼食時間帯/主目的 食事以外
- 【休日】昼食時間帯/主目的 食事
- 【休日】昼食時間帯/主目的 食事以外
- 【平日】夕食時間帯/主目的 食事
- 【平日】夕食時間帯/主目的 食事以外
- 【休日】夕食時間帯/主目的 食事
- 【休日】夕食時間帯/主目的 食事以外
- 【平日】朝昼夕の食事以外の時間/主目的 食事
- 【平日】朝昼夕の食事以外の時間/主目的 食事以外
- 【休日】朝昼夕の食事以外の時間/主目的 食事
- 【休日】朝昼夕の食事以外の時間/主目的 食事以外
この調査では、マクドナルドを利用する際の消費者の行動や動機をより具体的に分析するため、事前に設定したCEPsと関連する項目を1つ以上含む、子どもがいる30~49歳の320人を対象とした。
CEPsごとの「M」を把握する
まずは、カテゴリーの需要をしっかりと理解するために、CEPsごとに「M」という数値を出すことが大切だ。
このMは、対象のブランドが他のブランドと比較して、各CEPsでどれだけ想起されているか、どれくらい選ばれているかを示す重要な指標だ。書籍『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』(KADOKAWA/角川書店)では、ブランドの相対的な好意度を間接的に説明する数字として紹介された。
特定のカテゴリー内での消費者の利用回数や意向を反映しており、消費者がそのブランドを選ぶ頻度を測るために用いられる。
似たような指標で「浸透率」という概念がある。ある一定期間(1か月、四半期、1年など)における市場全体の人数のうち何%利用されているかが「市場浸透率」で、「M」は同様の期間における市場一人あたりの購買などのアクションが発生する確率だ。
例えば、1億2000万人の市場で、ある一定期間に購買された総回数が2400万回で購買した人の平均回数が2回の場合、浸透率とMと平均回数は以下になる。
- 市場浸透率=10%(1200万人÷1.2億人)
- M=0.2(2400万回÷1.2億人)
- 平均回数=2回(2400万回÷1200万人)
簡単に言えば、Mの値が高いほど、そのCEPsを通じてブランドが選ばれる可能性が高くなる。マーケターは、このMの情報を基に、ブランドの強みや改善点を分析し、どのCEPsを優先的に強化すべきかの戦略を練ることができる。
具体的には、ユーザーが自分に当てはまると回答した各CEPsについて、最後にそのブランドを購入・利用したのはいつかを聞くことで、Mを推定できる。
まず、ファストフード店またはファミリーレストランの利用に関する調査結果を見ていくと、16種類のCEPsの中で、60代女性を除く全ての年代・性別の人が最も多く該当したのは、「【休日】昼食時間帯/主目的 食事」(休日の昼食時間帯に、食事の目的で利用する)だった(下図)。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。













まだコメントはありません
コメント機能はリゾーム登録いただいた日経クロストレンドの会員の方のみお使いいただけます
詳細日経クロストレンドの会員登録