日本は世界4位の海洋大国 山田吉彦著
海底は「宝の隠し場所」
日本の国土面積は約38万平方キロメートル。これは世界61位である。ところが排他的経済水域と領海を足した面積は447万平方キロメートル。一気に世界で6位に躍り出る。これで驚いていてはいけない。海の深さ、つまり海水の体積を比較すると世界4位にまでランクアップするのだ。
海には海底資源、海洋資源、水産資源などさまざまな資源がある。たとえば東シナ海にはイラクの油田に匹敵する1000億バレルの原油埋蔵量が存在すると試算されている。
近年は次世代エネルギーとして期待されるメタンハイドレートが産業界の注目を集めている。この「燃える氷」は日本近海に膨大な量が眠るとみられている。また海底にはレアメタルを含んだ鉱物が無尽蔵にある。著者曰(いわ)く、海底は「宝の隠し場所」なのだ。
世界屈指の海洋国家でありながら、日本人の海に対する意識は決して高くはない。大間のマグロは気になっても南鳥島沖の海底鉱物に目を向けられることは稀(まれ)である。
日本は資源に乏しい極東の小さな島国――。陰に陽に刷り込まれた認識を、もうそろそろ改める時期にきているのではないか。
★★★★
(スポーツジャーナリスト 二宮清純)
[日本経済新聞夕刊2010年11月17日付]
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった