14−13
結構な高揚感を胸に抱いたままにして、黙ってしまった勇者な人を丘に置き去りにした後は、聖域の探索から戻って来ていたエデルさんとシュシュちゃんをさり気なく道連れにして、優雅な午後のティータイム。
始め、聖域の様子とか首尾の辺りを聞いていたけど、徐々に恋愛トークになって、エデルさんの少年愛にシュシュちゃんと二人辟易とする。
会話の随所にソロル氏とかとの関係性の探りを入れるしっかり者のエデルさんだが、ふとした拍子に青い人とか、ちらっと会話にのぼったら。ライバル視だったシュシュちゃんを見て、手のひらを返したように、力強く「応援します」と急に距離を詰めてきた。
途中、ギラッと見つめられてもどこ吹く風なシュシュちゃんに、この子ハートが強いなぁ…と感心したが。
もしかするとエルフ女子ってスタンダードでマイペース…?とか、思ったりしてみたり。
いい加減、長居をしたし、帰れると分かったなら早く地上に戻ろうという事で、夕食時、明日の朝には発つ旨を勇者様が宣言した。それを聞いたエデルさんは物寂しそうな顔をしたけど、ちらっと少年を見てみたらどことなく嬉しそうだった。気のせいか、少年はエデルさんを避けている風だったので、大丈夫なのかなぁ…?と変な心配をしてしまう。
が。
翌朝、果ての島の一角の紫(ネブラ)氏族の王城を発ち、私達が乗ってきた小広い島へ戻る途中。
「エルフ王は、残念な男が好きなんだ。それも代々、漏れ無くね」
と、何の脈絡も無いとこでイシュがポソッと呟いた。
「そして相手と定めたら、絶対に諦めない。だから手中に収める率はかなり高い数値だよ」
聞きながら、もう何と言っていいのか分からなくなってしまったために、黙って彼の話の流れに身を任せるにしていると。
「そうじゃなきゃこんなに早く直系の血が絶える事はなかった筈だよ。神々は焦ったろうね。だから様々な恩恵を彼女らに与えたんだと思う」
そんな結論に行き当たる。
「えぇーと…ははは…そうなんですか…」
遠い目のまま返事をすると「降りる時、僕にも不可視化魔道具(インビジブラー)貸してよね」と。
エルフ姉妹に預けたらしい通信用の魔道具で、島に着いたから降ろして欲しい、とイシュが連絡を取ったなら、我々は虹のループを抜けて無事に地上へと帰還した。
まるで魔法の輪っかだな、と虹のループを見ていると、所々にエルフの文字がうっすらと浮かんで見えて。あれっ、これってやっぱ魔法??とビックリしながら立ってたが。もしかして、高度何千——何万?——メートルと、地上との圧を調節したりな効果だったりするかもなぁ…と、実は結構SF寄りなエルフの民に思いを馳せる。
「綺麗な所でしたねぇ」
最後、感慨深く思えて一人ぽそっと呟くと、聞こえた風の人達が各々頷き返してくれた。
そしていそいそと不可視化魔道具(インビジブラー)を取り出したなら、少年少女が乗ってきて、結局みんなで使ったりして。
水晶玉に重なったみんなの手とか立ち位置が、まるで部活の結束のよう…とそっと心で思いつつ。
気付けば勇者様の手のひらが私の上にあったりで、いきなり汗をかいたけど。
そこそこ騒がしい地上の“聖地”をこっそり抜け出た我々は、素知らぬ顔で今まで通り、東へ進む旅程を取ったのでした。
*.・*.・*.・*.・*.・*
勇者の嫁になりたくて。
異世界からの転生者、ベルリナ・ラコット、18歳。
私が愛する勇者様、実は元・孤児な人でした!
なんか一気に彼の行動が腑に落ちてきたかなぁ…と、思ったのは内緒です。
そして気付けば私の知力がプラス5くらいされていました。
……自分の職の将来がちょっと怖い…(||゜Д゜) と感じた今日です。
ちょっとした後書きです(^^)
イシュの算盤(そろばん):商業の神が「商人だって戦える!」と熱意を吹き込み作らせた…かもしれない一品です。所持金消費・無属性攻撃で、割と相手の防御力とか無視する強さを秘めています。財力さえあるのなら、リミッター付きの魔王な人もやっちゃえるかも!?な潜在能力。最初に「ご破算で(一度ゼロに戻しますよ〜)」と言い付けないと、うっかり前の分とかが加算されたりするシステム。因に消費されたお金の類いは、そのまま世界に還元されます。