14−1
「遅いよ、ベル」
「え、何でイシュ?てっきり直に帰ったとばかり思ってましたが…」
「勇者パーティの皆さんと意気投合しちゃってね。この先にエルフの聖地があるでしょう?折角だから寄って行こうって話になった訳」
「はぁ…巨石群(メガリス)の事ですか?」
こちらの言に「そうそう、それ」と爽やかに頷いた幼なじみは、今朝はいかにもな都会派イケメン風を装っており、朝日をバックになかなか清々しい。
珍しくもチャラチャラしている随所におわすアクセサリーは、何故か“付け過ぎ”と感じられなく、こんな所でセンスの良さをアピールしてくれなくたって、と。私は己のセンスの無さにちょっぴり奴に嫉妬した。
イシュはそのまま自然な体(てい)で勇者パーティを振り返り、行きましょうか、な声を掛けると街道を歩き出す。
勇者パーティのメンバーとごく親しげに語らう姿に、私はぼーっと視線を奪われ。
——私は三年掛かってやっと…な関係なのに…orz
と。何かが脱色された心地で、よたよたと後を追う。
途中「早くおいでよ」と振り返った幼なじみに、これは確かに勇者様と並んで歩けるチャンスでは!?と。ようやく思い至った私は小走りで近づいた。
*.・*目指せ!勇者様の横歩き!!さり気なさを装って!*.・*
そんな事を考えながら、じりじりと怪しい歩みで愛しい人に近づく私。
名前をベルリナ・ラコットという、ごく普通の18歳。
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あっ。
いえっ。
ごめんなさいっ。
べべべべ別にぶつかるつもりじゃ…!
全く、よそ見をしながら歩くもんじゃないですね!!
ちょっと離れて歩きますから!本当にすみません!!
折角隣をゲットしたのに、自分のミスとうっかりなフォローのせいで離れる羽目になった私は、俗にいう異世界からの転生者。
ついでに記憶も付いてきちゃった♪…そんな感じの乙女です。