13−1
「久しぶり。会いたかったよ、元気にしてた?」
「えっ、まさかイシュですか!?こんな所でどーしたんです?」
「会いに来たに決まってるでしょ。ベルのために一肌脱ぎに来たんだよ」
最後のセリフを私だけに聞こえる声でポソッと漏らし、絶妙な力加減で抱擁してきた幼なじみに。
「ちょっ…ちょっと近いですっ」
と、思いがけず異性を感じ、逃げ腰になった私は。
名前をベルリナ・ラコットという、ごく普通の18歳。
って。
イシュってば、何か前より背が伸びてるし!物腰がさらに大人になったと言うか!!
うわぁああ!!!たった三年会わないうちに幼なじみが別人に!!
*.・*あの“姿だけ”は可愛らしい、幼なじみよ!カムバック!!*.・*
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「馬鹿なこと思ってないで、早く“感動の再会をする”リアクション頂戴よ」
「あ、はい。すみません」
と、空想の世界からあっさり帰還し、彼に抱擁しかえす私は。
さり気なさを装って異世界からの転生者。
よくある話の、記憶持ち平凡乙女さまなのです。