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準教授のセクハラと懲戒解雇(令和1年9月30日名古屋地裁)
概要
被告法人の設置、運営する大学の准教授であった原告が、被告から受けた懲戒解雇や普通解雇の各意思表示について、これらによる解雇はいずれも無効である旨主張して、被告に対し雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、未払賃金等の支払をそれぞれ求めた。
結論
一部認容、一部棄却
要旨
原告の素行に問題があったとしても、本件懲戒解雇よりも前にこれを指導・改善する試みがされておらず、被告からその素行に関して注意や懲戒を受けた履歴もないこと、本件大学における別件懲戒処分に係るセクハラ事案は、深刻なものであったにもかかわらず、懲戒処分しか受けていないことに照らすと、原告を懲戒解雇とすることは、別件懲戒処分との均衡を欠く恨みがあり、社会通念上相当であると認められず、また本件普通解雇についても、原告について本件大学の教員としての職務に必要な適格性に問題があったとしても、原告を本件大学の教員から直ちに排除しなければならないほどに重大であったとまでは評価できず、社会通念上相当であると認められないが、本件懲戒解雇は懲戒権を濫用するもので無効ではあるものの、その濫用の程度は不法行為として違法となるものとまでは評価できず、本件普通解雇の解雇権濫用の程度は、違法と評価されるほどのものであるとはいえないとして、原告の請求のうち地位確認請求及び未払賃金請求を一部認容する一方、不法行為による損害賠償請求は認められない。
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