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大学入学共通テスト 愛媛県の試験会場は松山だけで受験生から不公平の声も

  • 2025年1月22日

全国で50万人近くが受験する「大学入学共通テスト」。このテストに県内の受験生から「不公平だ」という声があがっています。その理由は、試験会場がすべて松山市に偏在しているからなんです。同じ県内なのに泊まりがけで挑む受験生も少なくありません。全国でも極めて異例の試験会場の偏在。解消できないのか、取材しました。

(NHK松山放送局 今治支局 竹野帆香)

特集の内容はNHKプラスで配信中の1月15日(水)放送「ひめポン!」(総合 午後6時10分~)でご覧いただけます。

画像をクリックすると見逃し配信が見られます!1/22(水) 午後6:59 まで

受験生 泊まりがけに不安も

四国中央市の学習塾では、数日後に迫った共通テストに向けて、最後の追い込みに取り組む受験生の姿がありました。共通テストの県内の試験会場は愛媛大学に2か所、松山大学に1か所のあわせて3か所。いずれも松山市内に偏在しています。

四国中央市からは車で1時間半ほど。このため塾の多くの生徒が松山市内のホテルに泊まりがけで受験に臨みます。宿泊費は2日間でおよそ2万円ほど。経済的負担に加え、慣れない場所での受験で精神的負担も少なくありません。

受験生

「自分のベストパフォーマンスが発揮できるようにしていきたいなとは考えているんですが、ホテルに前泊することで、いつもより緊張したり、疲れが取れなかったりするかもなと不安はあります」

保護者

「雪が降ったり、渋滞したり、毎年やっぱりニュースになってるので回避するには前泊するしかないかなと。宿泊費と交通費をあわせると3万円ほどかかり、家計には響きますね。1番はやっぱり子どものことを中心に考えてもらえたらありがたいと思います」

長年近くで生徒を見守ってきた塾の責任者も、受験生の負担の解消が必要だと訴えています。

塾の責任者

「平等とは言い難いなと。この最後の最後のときに、やっぱり『近い』と『遠い』で、ものすごい差があるんじゃないかなというのは感じています。四国中央市にも会場が1つあれば、松山の人と同じ条件で戦えるようにはなると思うので、ぜひ実現してほしいです」

東予にも試験会場を 2つの市から要望書も

こうした中、受験生の負担を軽減しようと、おととし(2023年)、四国中央市と新居浜市から連名の要望書が出されました。

新居浜市長(当時)
「前日から松山に来て、2日間宿泊をして受験をしていると。宿の予約そのものが1年前からとれるかとれないか分からないと、そんな状況でもありますので、ぜひなんとか東予地域に試験会場を開設していただきたい」

試験会場の運営は県内10の大学や短大でつくる「連絡会議」が行っています。この連絡会議のとりまとめを行う愛媛大学は、新たに設置するための要件や課題について検討していきたいと話していました。

地域の思い届かず

ところが、要望からおよそ1年がたった去年(2024年)11月。出された回答は「新たな試験会場は設置できない」というものでした。

その理由として、「大学から距離が離れているため試験問題や監督人員を安全に輸送できないこと」や「継続的に会場を確保するめどが立っていないこと」などをあげています。

なぜこうした判断となったのか。愛媛大学の担当者に問いました。

担当者

「受験生の利便性のことを考えますと、難しい判断ではあるんですけど、こちらとしては安全に実施をすることが共通テストでは最大の重要な点になりますので」

記者

「公平性を損ねているんじゃないかというような声もあったんですけれども」

担当者

「すべての受験生が完全に同じ条件でというのは、難しいことではないかと思われます。なので、本県に限って公平でないというような状況が出ているわけではないかと思います。他のところでやっているからといって全てが同じようにいくとは限らないということはご理解いただけたらと思っています」

大学側の回答について、四国中央市の担当者は戸惑いながら次のように話していました。

四国中央市 政策推進課 大西正浩係長

「本市としては会場から距離があるから要望しているのであって、距離があることを(設置困難の)理由にされるというのはもどかしい思いがあります。今回の回答で断念するのではなく、今後も引き続き要望をしていってもらいたいといった声をいただいております」

試験会場の偏在解消を求める動きは各地で

試験会場の地域偏在を改善する要望は各地で起きています。県内では、今治市が要望を出したほか、京都や長野県、島根県では要望を受けて実際に会場を増やす対応をとっています。このうち島根県では、離島の隠岐島にある高校に会場を新たに設け、大学から試験監督を派遣したり、高校の教員が会場警備を行ったりしています。試験会場の偏りは愛媛では長年「当たり前」だと思われていましたが、実は、県庁所在地だけに会場が偏っているのは、全国でも愛媛、熊本、佐賀の3県だけ。

公立高校と連携する地域もあるなか、こうした他県の例を踏まえて愛媛県教委にも聞いたところ「県内の複数地域に会場が設置されることが望ましいが、判断は連絡会議が行うため、県教委として積極的な働きかけは難しく、注視したい」と話していました。

教育委員会としては静観する立場との主張ですが、一方、京都では、府の教育委員会が会場設置の検討段階から積極的に関与し、実際に増やしたあとも会場の運営に携わっているケースもあります。判断をすべて大学側に委ねる姿勢は、“丸投げ”と取られてもおかしくありません。入試に詳しい専門家も、大学だけではなく、関係機関での連携が必要だと指摘しています。

大学入試学会 副理事長  東京大学大学院 中村高康教授

「愛媛県も含めて、少し距離が遠くて大変だという声が上がってる地域に関してはもう一度、大学関係者、それから大学入試センターもそうですけれども、情報を共有して、少しでも利便性の高い形で試験実施していただくように再検討していただければ受験生としてはありがたいかなと思います」

取材後記

受験生だった7年前、新居浜市の高校に通っていた私も、センター試験のために松山のホテルに前泊しました。会場まで迷わないか心配で前日に下見したことを今でもよく覚えています。同じく新居浜市出身の母も約40年前、共通1次試験の時代に松山に泊まりがけの受験をしたといいます。共通1次、センター試験、共通テストと入試改革が進む中、変わらない愛媛の「泊まりがけ受験」の歴史。少子化が進み受験生が減る中、試験会場を増やすということは効率化やコスト面からは容易ではないと思います。しかし、共通テストにおいて公平性が大原則であることは言うまでもありません。どこに住んでいても、不公平感を感じることなく安心して受験できるように、不断の検討を続ける必要があると感じました。長年、常態化した課題の解消に向けて、私も引き続き取材を続けたいと思います。
 

NHKプラス配信終了後は下の動画でご覧ください。

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  • 竹野帆香

    竹野帆香

    2022年入局。新居浜市出身。 2024年秋から今治支局担当。

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