京都・西本願寺揺るがす混乱 浄土真宗本願寺派の総長選「白票過半数」で異例の再任、背景は
浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺、京都市下京区)で昨年12月20日、執行部トップの総長を選ぶ宗会議員による選挙があり、元総長の池田行信氏(71)が再び選出された。池田氏は、信仰の指針として発布された「新しい『領解文(りょうげもん)』(浄土真宗のみ教え)」を巡る混乱を受けて、今年3月に急きょ辞任していただけに、異例の再任となる。 【写真】異例の再任命を受けた池田行信氏 池田氏は宗会議員6期目で、2023年5月から24年3月まで総長を務め、この日に再任命された。自坊は栃木県那珂川町の慈願寺。全日本仏教会理事長。 総長選は前総長の荻野昭裕氏(69)が昨年12月19日に辞任を表明したことを受けて行われた。同日、大谷光淳門主は後任として池田氏ら2人を候補指名したものの、出席した宗会議員の半数を超える50人以上が議場を退席。中断後の投票で池田氏ではないもう1人を総長候補に選んだが、辞退したため、翌日に延期された。 20日、大谷門主は池田氏のほかに、新しい領解文を発布した際に総長だった石上智康氏の2人を候補として指名した。投票では池田氏22票、石上氏0票に対し、無記名の白票が52票も投じられ、全投票数の半数以上を占めた。 再任された池田氏は議場で「新しい領解文をめぐる混乱を沈静化するには、それぞれの守備範囲や役割分担を踏まえて着地点を見いだす必要がある。宗門内の相互理解を深まるよう努める」と述べたが、表明する前に退席する宗会議員も目立った。 領解文は浄土真宗中興の祖・蓮如の作とされ、分かりやすい言葉を使った現代版「新しい領解文」が昨年1月に示された。石上氏と後継した池田氏の総長時代に唱和が強く推奨されたが、宗派内では「宗祖のご法義に対する重大な誤解を招く」「内容が分かりにくい」などの批判が出ていた。