大河ドラマ「光る君へ」第2回で初登場となった秋山竜次さん演じる藤原実資は、蔵人頭(くろうどのとう)という役職に就いていました。風俗考証を担当する佐多芳彦さんに、この蔵人頭について伺いました。
――まず蔵人とは、どのような仕事をする人たちなのでしょうか?
蔵人は天皇の秘書官で、文書の作成や保管、物資の調達などの仕事を行っていました。彼らが働く蔵人所(くろうどどころ)は、現代で例えるならば秘書課になります。場所は、天皇が住まう清涼殿(せいりょうでん)の南側に校書殿(きょうしょでん)という御殿があるのですが、蔵人所はこの校書殿の西廂(にしびさし)にあります。天皇からお呼びがかかった際にすぐに駆けつけられるように、近くに置かれていたんですね。
――蔵人所で働いていたのは、どのような人物ですか?
天皇に親しい人物や上級貴族の子息、それから、式部省(しきぶのしょう)などの官省から推されて出向のような形で働いている中級貴族や下級貴族もいたようです。蔵人頭は原則2名で、一人は頭中将(とうのちゅうじょう)、もう一人は頭弁(とうのべん)とも呼ばれています。頭中将は武官、頭弁は文官の出身の長になるんですね。出身母体が違うので業務内容も少し異なり、頭弁のほうがより事務官僚的な仕事をこなしていたようです。
――蔵人頭はほかの人とは違った上着(袍[ほう])を着ていますが。
この束帯の袍から天皇がいかに蔵人頭を信頼し、優遇していたのかがわかります。実資が着ているのは禁色(きんじき)である青色(あおいろ)の袍で、この色には麹塵(きくじん)という別名があります。縦糸と横糸に異なる色を使って織られており、遠目に見ると青っぽく見えるという凝った織物になります。青色は天皇の袍色なので、高貴な色なんですね。
をしへて! 佐多芳彦さん ~自由に色が使えない? 禁色って何
――天皇の色の袍を着ているんですね。
天皇が認めているので、禁色である青色の袍を特権的に着ることができるんです。さらにこの袍には、桐竹鳳凰麒麟(きりたけほうおうきりん)という文様が織り出されています。これは天皇が晴(はれ)の儀式で着る黄櫨染(こうろぜん)の袍に織り出されている文様と同じものなんですね。蔵人頭がいかに天皇の覚えがめでたい人物であるかということを、この袍で示しています。
――ちなみに、蔵人には休日はあったのでしょうか?
あります。週に1日か2日ほどお休みの日があったようです。ただし、屋敷でごろごろされるのが嫌われたのか、それとも屋敷にいるのが嫌だったのかはわかりませんが、中には現代人と同じように休日出勤をしている蔵人もいたようです。