大河ドラマ「光る君へ」

躍動せよ!平安の女たち男たち! 創造と想像の翼をはためかせた女性 紫式部

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をしへて! 佐多芳彦さん&倉本一宏さん ~平安時代の貴族システム 官職と位階

千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書きあげた吉高由里子さん演じる主人公・まひろ(紫式部)の物語を描く大河ドラマ「光る君へ」では、平安時代中期の貴族を中心とした物語が描かれます。風俗考証を担当する佐多芳彦さんと時代考証を担当する倉本一宏さんに、平安貴族の人生を左右するほど重要だった官職と位階について伺いました。

――平安貴族の官職と位階について教えてください。

平安貴族の官職と位階は、奈良時代の前、大宝元年(701)に施行された「大宝律令」という法体系などを基に築き上げられていて、官職は朝廷における役職を、位階は朝廷における序列を示しています。官職と位階の総称を「官位」といいますが、同じ発音で「冠位」という言葉もあって、この「冠」という文字を使う「冠位十二階」という制度が飛鳥時代に推古天皇と聖徳太子によって制定されました。大化改新以降も、冠位の改定が行われましたが、律令制の成立に際して新たに定められたんです。

【NHK for School】豪族と冠位十二階

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――朝廷はどのような組織体制だったのでしょうか?

「二官八省」といって、朝廷には、祭祀(さいし)を担当する神祇官(じんぎかん)と行政を担当する太政官(だいじょうかん)の「二官」があり、その太政官の下に中務省(なかつかさしょう)、式部省(しきぶしょう)、治部省(じぶしょう)、民部省(みんぶしょう)、兵部省(ひょうぶしょう)、刑部省(ぎょうぶしょう)、大蔵省(おおくらしょう)、宮内省(くないしょう)の「八省」が置かれていました。これは中国の官僚制度を模したものですが、制度をうまく回すために、日本では序列を厳しく定めていました。

官職位階

二官八省

中務省 … 詔勅(しょうちょく)や上奏など天皇の側近として政務を担当する機関。
式部省 … 文官の人事、教育などを担当する機関。
治部省 … 外交、雅楽、葬儀などを担当する機関。
民部省 … 地方行政、財政を担当する機関。
兵部省 … 武官の人事、軍事を担当する機関。
刑部省 … 裁判、処罰を担当する機関。
大蔵省 … 租税や貢献物の管理・出納を担当する機関。
宮内省 … 宮中の庶務を担当する機関。

――序列による差は、どのくらいあったのでしょうか。

平安時代中期からは、天皇がお住まいになっている清涼殿に入ることができるのは基本的に五位(ごい)以上の官人から選ばれた人たちで、この人たちのことを殿上人(てんじょうびと)と呼びます。これに対して、入ることができない人たちのことは地下(じげ)と呼ばれていました。
律令では五位と六位(ろくい)との差は収入にも如実に表れていて、奈良時代の記録を見ると、六位の収入が現在の金額に換算しておよそ7百万円なのに対し、五位はおよそ3千万円と大きな差があったようです。

――五位と六位とでそんなにも違うんですね。

そうです。三位(さんみ)以上と四位(しい)の参議のことを公卿(くぎょう)と呼び、彼らが中心となって天皇を補佐して政治を行っていましたが、朝廷の待遇もさらに厚くなりました。収入は生活に直結しますので、平安時代の貴族たちが高い位を求めた理由を、この待遇の違いからも見ることができます。
一方、この時代には七位以下の位階はほとんど授けられなくなり、下級官人のほとんどは六位という位階を持っていました。
平安時代になると、位階にともなう収入はほとんどなくなりましたので、特に官職に就いていない下級官人の生活は、非常に苦しかったと思います。
彼らはさまざまな儀式に参列する際に下賜されたり、有力者に仕えることでもらえる禄(ろく)が主な収入源だったと思いますが、そういう役も全員に行きわたるわけではなく、なかなか大変だったであろうと思います。
   
   

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