コロナワクチンの重症化と死亡減少効果、RCT28件をメタ解析/Lancet Microbe
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンのCOVID-19重症や死亡に対する有効性と、ワクチンによって得られた抗体濃度と有効性の相関性を評価するため、中国科学院深セン先進技術研究院のZhi-Rong Yang氏らの研究グループは、ワクチンの有効性に関する28件のランダム化比較試験(RCT)について、系統的レビューとメタ解析を行った。その結果、ワクチンはCOVID-19感染予防よりも、重症化や死亡に対する予防効果のほうが高いことや、接種後の時間経過とともに有効性は低下するが、ブースター接種によって効果を強化することが可能であることが示された。Lancet Microbe誌オンライン版2023年2月28日号に掲載の報告。
本研究では、2020年1月1日~2022年9月12日に発表された論文をPubMed、Embase、Scopus、Web of Science、Cochrane Libraryにて検索、また、同時期の査読前論文をbioRxiv、medRxiv、WHO COVID-19 Research Databaseにて検索し、RCTを特定して系統的レビューとメタ解析を行った。アウトカムは、無症状感染、有症状感染、入院、重症、死亡である。本研究では、完全接種をプライマリシリーズによる接種と定義し、ブースター接種は完全接種後の追加接種と定義した。
主な結果は以下のとおり。
・28件のRCTを解析した。ワクチン接種群28万6,915例、プラセボ群23万3,236例で、追跡期間の中央値は最終ワクチン接種後1~6ヵ月だった。
・27件のRCTで、DNAワクチン、mRNAワクチン、ウイルスベクターワクチン、不活化ウイルスワクチン、組換えタンパクワクチンの完全接種の有効性が評価された。2件のRCTで、ブースター接種と未接種が比較された。
・無症状感染に対するワクチンの有効性を評価したRCTは9件で、全体の有効性は44.5%(95%信頼区間[CI]:27.8~57.4)で異質性は高い(I2=79.6%、p<0.0001)。mRNAワクチンでは56.5%(46.2~64.9)、ウイルスベクターワクチンでは32.1%(5.3~51.4)、不活化ワクチンでは51.0%(24.7~68.1)だった。
・有症状感染に対するワクチンの有効性を評価したRCTは27件で、全体の有効性は76.5%(95%CI:69.8~81.7)で異質性は高い(I2=93.0%、p<0.0001)。DNAワクチンでは67.3%(45.8~80.2)、mRNAワクチンでは85.5%(63.5~94.2)、ウイルスベクターワクチンでは69.9%(58.2~78.4)、不活化ワクチンでは72.1%(58.9~81.1)、組換えタンパクワクチンでは76.3%(67.0~82.9)だった。
・ウイルスの各変異株に対するワクチンの有症状感染の予防効果は、アルファ株(B.1.1.7)では78.2%(95%CI:64.0~86.8)、デルタ株(B.1.617.2)では67.0%(50.0~78.2)だった。
・時間の経過とともに有効性の著しい低下が見られ(p=0.0007)、完全接種から1ヵ月後あたりの平均低下率は13.6%(95%CI:5.5~22.3)だった。
・COVID-19関連入院に対するワクチンの有効性を評価したRCTは8件で、全体の有効性は95.4%(95%信用区間[CrI]:88.0~98.7)であり、異質性はわずかであった(I2=4.0%、p=0.95)。
・COVID-19重症に対するワクチンの有効性を評価したRCTは22件で、全体の有効性90.8%(95%CrI:85.5~95.1)であり、中程度の異質性があった(I2=47.6%、p=0.0030)。mRNAワクチンでは91.5%(76.1~96.0)、ウイルスベクターワクチンでは88.2%(69.6~97.5)、不活化ワクチンでは96.2%(80.2~99.7)、組換えタンパクワクチンでは90.5%(82.1~96.1)だった。
・COVID-19関連死に対するワクチンの有効性を評価したRCTは13件で、全体の有効性は85.8%(95%CrI:68.7~94.6)であり、異質性はわずかであった(I2=3.5%、p=0.94)。mRNAワクチンでは85.8%(-174.2~99.3)、ウイルスベクターワクチンでは88.4%(56.8~97.9)、不活化ワクチンでは93.5%(-447.4~100.0)、組換えタンパクワクチンでは82.8%(48.3~95.6)。
著者によると、本研究では、ワクチンによって得られる抗体濃度と有効率の相関性については不均一性があり確認することができなかったが、ワクチン接種がSARS-CoV-2感染のリスクを低減し、とくにCOVID-19重症および死亡に対して効果的に予防できるという強固なエビデンスが得られたとしている。接種後の時間経過とともに有効性は低下するが、ブースター接種によって効果を強化することが可能であることが示された。著者は本結果から、ワクチン戦略の第1目標を重症化と死亡の減少に再設定し、接種時期を最適化する必要性を訴えている。
(ケアネット 古賀 公子)
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