10.【王との謁見】
対策を立てる前に領主に城にある本を大量に借り、図書室の本棚にしまった。アカシックレコード検索がレベル3になり異世界の本がすべて閲覧できるようになった。
魔法に関する本を読むことにより皆の使える魔法が飛躍的に増加している。
アカシックレコード検索で王宮の記録を読み込んでいくと第三王子の母の出身国の影響が増大しているのがわかる。第三王子の母の出身国はこの国の支配を画策している可能性がある。
ビクトリアに呪いをかけたのも王様と辺境伯であるビクトリアの父親との関係に罅を入れ国の力を弱めるための一手である可能性がある。
王宮の記録には王妃が病に臥せっているとの記載もあった、このタイミングでの王妃の体調不良には毒や呪いの可能性が考えられる。
作戦の目途が立ったのでビクトリアを連れて王への謁見ができるように許可を取ってもらった。
第三王子の母の密偵にマリーをビクトリアの身代わりとして連れていく計画であると思わせるたように行動する。ビクトリアの両親とマリーはめメンバーに登録しておいたが、王都への移動は馬車にしてもらった。
移動の際にはゴーンを警備隊の一員にアイリーンをマリーの侍女に仕立て安全を確保する。
謁見日より早く王都に着いたのでビクトリアの母にお王妃のお見舞いをしてもらった。二人は幼いころからの友達だったので人払いをしてから王妃を応接間にゲストとして連れてきてもらった。
ビクトリアが王妃に解毒と解呪をかけると明らかに回復が見て取れた。病でなかったことは明白だ。
王妃には謁見の日までは回復していることを伏せてもらうことにして応接間から送り出した。
いよいよ謁見の日が来た
辺境伯とマリーが王宮に入る。控えの間に着いたところでマリーとビクトリアが入れ替わる。
謁見室に二人で入っていく。
ビクトリアは顔を見られないように下を向いている。
王様より説明を求められる。
「ビクトリアの失踪と現状についてご報告申し上げます。
ビクトリアは第三王子主催のお茶会に向かい途中突然転移魔法をかけられわが領地にあるゴブリンダンジョンに転移されたのです。その際に何かしらの呪いを掛けられていたとのことでした。
ご存じの通りビクトリアは魔法剣士ですのでゴブリンを振り払いながらダンジョンの5層にあるセーフゾーンに飛び込んだのですがそこで意識を失ったらしいのです。
セーフゾーンには一組の冒険者パーティーがいてビクトリアを連れてダンジョンを脱出したそうです。呪いを掛けられていたビクトリアはその間の記憶はなく解呪された後にパーティーの女性メンバーから状況を教えてもらったとのことでした。
意識が戻るとすぐに私に連絡を取り本日に至ったものであります。
ビクトリア、内容に間違いはないな」
ビクトリアは声を発さずにうなずく
「何者かに仕掛けられたとはいえ、単身で失踪し意識不明の日を数日過ごすなど貴族の子女としては不名誉なことであり、ましてや王子の婚約者など務まるはずもありません。落ち着いたら貴族の籍を外し裕福な平民の妻にでもしようと思っております。王様の寛大な裁きをいただきたいと存じます」
「辺境伯殿。我が子の婚約者に起こった不幸に胸が張り裂けそうです。ですが先ほどからビクトリア殿は下を向き声も発していないではありませんか。せめて無事を確認したいので顔を上げて声を聞かせてたもれ」
「うむ、わしも同感である。ビクトリア、顔を上げて自分の口で説明してみよ」
「お許しを得て直答させていただきます。父からの説明と同様になりますが何者かに呪いを掛けられダンジョンに転移させられましたが運よく旧知の冒険者に助けられ生還することができました。貴族の子女としてはあってはならないことなので本日を限りに父の領地に戻って暮らしていきたいと考えております」
「王妃様、いかがでしょうか」
「その方、なんの呪いを掛けられどうやって解呪されたのじゃ。」
「それが、私には、誰にどのような呪いを掛けられたのか記憶がないのです。ただその者たちは懸命に看病していたら呪いが解けたと申しておりました」
「そうか、それは大変じゃったな、それで今の体調はいかがかな」
臆面もなく話し続ける第三王子の母に父の怒りが爆発しそうになっている。
「あら、ビクトリアちゃん大変だったみたいね、今はもう元気そうね」
「正妃様、お久しぶりです。臥せっておられたとお聞きしたのですが」
「お気に入りのビクトリアちゃんが来るって聞いたら元気になっちゃってつい出てきちゃったの。あなた、たしかに今のビクトリアちゃんを第三王子の婚約者のままにするなんてとんでもないわ。第三王妃の婚約者は取り下げさせて領地にでも帰らさせたら。
でも、貴族籍を抜くのはだめよ貴族じゃなくなったらあえなくなっちゃうもの」
「貴方、この問題はこれで決着ということでよろしいですわね」
「あ、ああビクトリアの件はこれでよい。」
「あなた、私も体調が回復したのでこれからきちんと正妃の仕事をいたしますね。側妃殿、体調不良の間の代行助かりましたわ」
怒りに震えながら第三王子の母親は謁見室を後にした。
「あら、退室の挨拶もろくにしないなんてどうしたのかしらね、ビクトリアちゃんまた今度会いましょうね、あなたは私のお気に入りなのですから」
王都の辺境伯邸に戻って認識合わせをした。
正妃の強力な支援があったおかげでビクトリアの婚約解消と貴族籍維持は問題なくできた。
さらに正妃のお気に入りというポジションなので今後、あからさまに後ろ指をさされることもなさそうだ。
母親からお礼の連絡を入れると正妃から可能であればビクトリアの能力を使って助けてほしいことがあるといわれた。
勿論協力するのにやぶさかではない。
早々に正妃に呼び出され、寝室にお応接間を再びつなぐことになった。
解呪と解毒を依頼されたビクトリアは王が応接間に入り次第解呪と解毒を実行した。
あとはこちらで対応するからと言って夫婦で出て行ってからの対応は目を見張るものがあった。
第三王子の母の所業を洗い上げると
王に対しては魅了の呪いで側妃の意向を優先させるようにし、併せて知性が鈍るような毒を継続して与えていた。
正妃に対しては衰弱の呪いを掛けていた。
ビクトリアもアカシックレコード検索を活用して悪事の証拠集めに協力した。
いよいよ捕縛するタイミングが来た時に側妃は母国に出奔してしまった。
第三王子は母親の言いなりだったことから、断種をしたうえで臣籍に降下させた。
王都にて法衣貴族として一生を終えることになった。
これらはすべて王と正妃の主導で行われ、ビクトリアが表に出ることはなかった。
ビクトリアは辺境伯の領地に戻り、父が複数持っていた男爵をもらうことになり、配偶者にヨシトを迎えた。
代官としてホームズのいた町を任せられ、前代官とグレー商会を法に基づいて処分した。
当面の問題が片付いたので代官職を後任に譲りヨシトとビクトリアは二人で新婚旅行に旅だった。
【王との謁見】で辺境伯領地編を終了します。