【私の失敗(1)】江本孟紀、全部話すよ「ベンチがアホやから事件」

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 初球。中途半端な高さの球を中前へ運ばれ、同点にされた。しっかり力を込めて、もっと高めに外せば打たれなかっただろう。勝負すると決めていれば、中堅手は捕球できたはずだ。腕組みして守り、打球はグラブに当たっていたんだから。そっぽを向いた首脳陣に怒りを覚えたよ。

 「くそ! ○×△!」。降板してロッカールームに向かうとき、感情を爆発させた。そばにいた猿木忠男トレーナーによると、「くそ。バカ。何を考えとんねん。このくそベンチ!!」と叫んだという。これが『ベンチがアホやから野球がでけへん』となって、一斉に報じられたわけだ。

 翌日、大阪市内の球団事務所で、岡崎義人球団代表に事情を説明した。処分は「謹慎10日間」。10日休むと、元の状態へ戻すのに3倍の日数がかかる。となると、そのシーズンはもう投げられない。

 「謹慎10日は、やめろというのと同じです」

 発言内容が若干違うことなど、関係なかった。

 「処分を出すのも気分が悪いでしょう。球団にも迷惑をかけたし、責任を取ってやめます」

 その場で、20センチ四方のガリ版刷りの任意引退届に署名して捺印(なついん)。これが、引退の真実よ。

 ただ、あの試合だけで刹那的に決断したわけではない。ここに至るまで、いくつもの伏線があったんだ。

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