客観的判断が不可能
しかし、性自認を優先させるという思想を受け入れることに問題はないのだろうか。武蔵大学社会学部(ジェンダー論)教授の千田有紀氏が解説する。
「性自認を尊重するとは、わかりやすく言えば『その人自身が女性だと思えば女性』ということになります。個人の意識としては、性自認は自由であり、誰も否定はできませんが、客観的判断が不可能な概念です。
1990年代にアメリカの哲学者ジュディス・バトラーが性別二元論を否定し、性自認は構築されているのだという理論を提唱しました。その理論の受容の結果として、身体の性別がないがしろにされるようになった。アカデミックの理論が現実社会を劇的に変えた稀有な例といえます。
そして、その性自認を絶対視しすぎるあまり、ここ数年SNSで特に話題となっているのが、トランスジェンダー女性(出生時の身体的性別は男性でありながら、性自認が女性)をめぐる権利の問題です」