なぜ、石破首相は夫婦別姓の議論で先走るのか。
政治評論家の有馬晴海氏は「自公与党は過半数を欠く以上、予算や法案について野党の合意が必要だ。昨年の補正予算も、野党に迎合して通してもらった。一方で、政権維持には夏の参院選を切り抜けないとならない。『夫婦別姓』や『103万円の壁』など、世論の関心の高く、野党が主張する政策で存在感を示し、成果をアピールする必要がある。支持率があがれば、衆院選とのダブル選挙の目が出てくるという計算もある。それまではひたすら、野党との協調を図るしかないだろう」と分析する。
自公与党が衆院で過半数割れするなか、自民党は17常任委員長のうち、政府の予算案を審議する重要ポストの8ポストを野党側に配分し、予算委員長は立憲民主党が握った。通常国会で審議される新年度予算案も、「生殺与奪」を握られているともいえる。
ただ、夫婦別姓という社会の根幹にかかわるテーマが政局化している形だけに、懸念の声もあがる。
政治学者の岩田温氏は「石破首相は『保守政治家』を自任しているが、100年以上続いてきた制度を慎重な議論をせずに政局のために軽々しく変えようとしている。保守ではなく〝保身〟だ。参院選では保守層の自民党離れがさらに進むとも予想され、保身にすらならないかもしれない」と突き放した。