〈元兵庫県議死亡〉「夜も眠れず、ずっと怖がっていた」「車の運転もできない状態だった」元県議の“逮捕のデマ”の拡散…今も続く攻撃に県警が異例の対応

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兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委)の元委員だった竹内英明元県議が亡くなった。竹内氏は昨年11月に県議を辞職した後、一人で外出もできないほど衰弱していた。

そんな中で、「警察の事情聴取を受けている」というデマが飛び交い、これが竹内氏をいっそう苦しめていたことが関係者の話で分かった。竹内氏の訃報が伝えられた後、立花孝志NHK党党首は「(竹内氏は)逮捕される予定だった」とSNSで発信。兵庫県警はトップの本部長が、事情聴取の事実も逮捕計画もなかったと県議会で公式に表明したが、竹内氏は亡くなった後で、ときすでに遅しだった。

「情けない」と、自分を責めていた竹内氏

斎藤知事に絡む一連の問題は、昨年3月に当時の西播磨県民局長・Aさん(60)がパワハラや公金不正支出などの疑惑を書いた告発文書を外部の10か所に郵送し表面化した。

昨年7月にAさんが自死とみられる急死を遂げてしまった中、竹内氏は独自に県職員らから告発を裏付ける証言や証拠を次々と入手し、百条委の調査をけん引した。

県議会での不信任案可決の後、失職を選んだ斎藤氏は知事選に再出馬した。昨年11月に行なわれた選挙で、「自分は当選を目指さず斎藤氏を応援する」として出馬した立花孝志氏は、「疑惑は嘘で、斎藤氏はハメられた」と演説やSNSで主張。斎藤氏の支持者を名乗るグループ「チームさいとう」がLINEアカウントの中に設けたオープンチャットを通じ、これらの主張が拡散された。

このオープンチャットには、斎藤氏のライバル候補や竹内氏らを誹謗中傷する動画のURLや、評判を落とすための効果的な虚偽宣伝のアイディアが投稿され、「デマの拠点」になっていたと地元メディア関係者は指摘する。(♯22)

SNSで大量の誹謗中傷が飛び交う中、11月17日に斎藤氏が再選されると、竹内氏は翌18日に辞職願を出し、公の場から姿を消した。

「選挙の間、竹内さんのもとには直接的な抗議のメールや罵倒する電話が押し寄せ、深夜まで続いたそうです。

さらに、百条委委員長を務める奥谷謙一県議の自宅前で立花氏が街頭演説を行ない、『これ以上脅して奥谷が自死しても困るのでこれくらいにしておく』と言ったり、次は竹内さんや疑惑解明に熱心だった丸尾牧県議の事務所にも行くと発言したりしました。これで竹内さんや家族は『いつ誰が家に来るか分からない』と怯えるようになりました」(県関係者)

竹内氏は辞職願を出した際、「家族を守りたい」と周囲に話していたが、実際には本人もこのときすでに相当消耗していたという。

親しい友人は「あの後、明るくて強かった竹内さんは全く違う人のようになってしまったんです」と話す。

「辞職後、竹内さんの状態はどんどんひどくなっていったんです。ずっとネガティブなことを口にするようになりました。県議を辞めたことで『奥谷君や百条委のみんなに申し訳ない』『自分が情けない』と、自分を責めていました。

また、夜は眠れず、誰かが訪ねてこないかずっと怖がっていて、電話の着信にもビクッとなると言っていました。親しい人は前もって電話をかけることをLINEで知らせてから電話をかけるような状況でした。一人で外出することも、車の運転もできなくなっていたんです」(竹内氏の友人)

SNSを見ないようにしていたが…

竹内氏は周囲の勧めでSNSを見ないようにしていた。だが恐ろしいのは、それでもデマにさいなまれたことだ。この友人が涙ながらに竹内氏の最近の様子を話した。

「竹内さんには、『斎藤知事をハメたのは竹内だ』などといった非難や攻撃が選挙中から投げつけられていました。辞職後もこうした非難に加え、『(竹内氏が)県警の事情聴取を受けている』という新たなデマまで飛びました。容疑自体がないし、外出もままならないのに聴取なんかできるはずがありません。

本人はSNSを見なければこんなデマに接することもなかったはずですが、周囲の人の中には、半信半疑になり、『こんな情報があるけど、どうなってるんや』と本人に聞く人もいたんです。

SNSで悪罵を投げつける人だけでなく、信頼していた人からもこんな言葉を聞かされた竹内さんは『自分は信頼されてなかったのか。政治家としてやってきたことは何だったのか』と口にしていました……」(竹内氏の友人)

竹内氏は一連の猛烈な攻撃が始まった10月下旬に、母を亡くす不幸もあった。自死の原因は明らかになっていないが、亡くなる直前、デマによる苦痛を強く感じていたことがうかがえる。

ところが竹内氏の訃報が流れた1月19日、こうしたデマはさらに勢いを増した。

「立花孝志氏は配信した動画(※現在は削除し謝罪)で『竹内元県会議員、明日逮捕される予定だったそうです。竹内元県議は明らかに犯罪をしていた可能性が高くて、警察に捕まるのがいやで自ら命を絶ったと。こう考えるのがもう間違いない話ですね』 と主張したんです。Xにも「竹内元県議は、昨年9月ごろから兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました」と投稿しました。

さらに、選挙時のデマ起点となった『チームさいとう』LINEアカウント内のチャットメンバーが多く参加しているとみられる『斎藤知事応援』と名付けられたオープンチャットでは、『(竹内氏が)警察の事情聴取に耐えられなくなったんですかね…』『罪の意識か四面楚歌か』などと、またもやデマ書き込みが続きました。

立花氏は20日未明に関連のポストを全部削除しましたが、他にも著名人がXなどでこうしたデマを拡散しました。選挙中と同じことが再現されたようなものです。そこで見かねた兵庫県警が腰を上げました」(スポーツ紙記者)

神戸で震災追悼式典が終わっていない時間帯に選挙管理委員会が… 

兵庫県警は19日のうちに産経新聞と朝日新聞に対し、竹内氏への聴取の事実や逮捕予定はないと幹部が説明。

読売新聞には「竹内氏は捜査の対象になっていない」と明言した。

20日には県議会で、「竹内元議員の名誉のためにもそんな(容疑のある)事実はないと確認してほしい」との県議の問いに対し、村井紀之本部長が「個別案件の捜査についての言及は通常は差し控えているが、事案の特殊性に鑑み答弁する」と前置きしたうえで、

「竹内元議員につきましては、被疑者として任意の調べをしたこともありませんし、ましてや逮捕するといったようなお話は全くございません。全くの事実無根でありまして、明白な虚偽がSNSで拡散されていることにつきましては極めて遺憾であるというふうに受け止めております」

と、竹内氏を苦しめた噂は完全な虚偽だと断言したのだ。

「この本部長の明確な答弁はかなり異例です。一連の問題を放置しないと宣言したと受け止められています」(県議会関係者)

兵庫県では、阪神・淡路大震災から30年となる1月17日までは斎藤氏に絡む問題でざわつくことを当局は避けるだろうとの見方が支配的だった。

しかしその日、神戸で追悼式典が終わっていない時間帯に、兵庫県選挙管理委員会は総務省に対し、先の知事選が公正性に欠けるものだったとして法整備を求める要望書を出している。

「立花氏が斎藤氏を支援した“2馬力”と言われた選挙手法と誹謗中傷、真偽不明の情報拡散の3つが主に問題視されました。斎藤氏は立花氏と意を通じ選挙活動をしたことを否定しています。現職知事を生んだ選挙が不公正だったという要望を、震災の追悼の時間が終わるのを待たずに県選管が出したことには意味がありそうです」(社会部記者)

一連の疑惑や選挙の問題は清算されるのか。県政の正常化を先頭を切って求めていた竹内氏の願いはかなうのだろうか。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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字幕翻訳の第一人者・戸田奈津子さんは、学生時代から熱心に劇場通いをしてきた生粋の映画好き。彼女が愛してきた監督やスターの見るべき1本を、長場雄さんの作品付きで紹介する。

十数年間ワイン作りに励んでいた

『地獄の黙示録』(1979)で翻訳家デビューを果たせた私にとって、フランシスは生涯の恩人のひとりです。『ゴッドファーザー』シリーズ(1972、1974、1990)など名作はたくさんありますが、個人的にすごく好きなのは『カンバセーション 盗聴』(1973)。彼は常にテクノロジーに関する先端知識を持っている人で、盗聴をテーマにしたこの作品も、当時はまだ普及していなかったハイテク技術を先取り。それが新鮮であり、大きな驚きでした。小品ではありますが、主演のジーン・ハックマンの演技もよくてね。フランシス本人も「すごく好きな作品」だと言っています。

ここ十数年はパッタリ映画製作をやめてワイン作りに力を入れていましたけど、やっと腰を上げてくれました。現在、アメリカのジョージア州で『Megalopolis』という大作の撮影に入っています。親しくさせていただいてる奥さまのエレノアさんからも、彼が「すごく張り切っている」というメールが来ました。アダム・ドライヴァーやフォレスト・ウィテカー、ローレンス・フィッシュバーンといったキャストを見ても、彼好みの顔ぶれよね。今から完成が楽しみです。

『カンバセーション 盗聴』(1973) The conversation 上映時間:1時間53分/アメリカ

サンフランシスコに住むハリー・コール(ジーン・ハックマン)は、盗聴のプロ。

大企業の取締役から依頼を受け、密会する若い男女の会話を盗聴することに。他愛のない世間話に聞こえたが、録音には殺人事件をほのめかす会話が記録されていた……。カンヌ国際映画祭のグランプリを受賞し、アカデミー賞では作品賞と脚本賞、録音賞の3部門にノミネートされた。

フランシス・フォード・コッポラ

1939年4月7日生まれ、アメリカ・ミシガン州デトロイト出身。妻は映画監督のエレノア・コッポラ。娘のソフィア・コッポラや息子のロマン・コッポラも映画監督として活動している。カリフォルニア大学ロサンゼルス校在学中から映画の演出を手がけ、ロジャー・コーマンのプロダクションで低予算映画の監督としてキャリアをスタートする。『パットン大戦車軍団』(1970)の脚本で注目され、1979年の『地獄の黙示録』はカンヌ国際映画祭グランプリを受賞。1979年の『ゴットファーザー』が世界的ヒットを記録した。

語り/戸田奈津子 アートワーク/長場雄 文/松山梢

裏垢界を楽しむために必要な条件とは? フォロワー12.7万人の裏垢女子インフルエンサーに聞く“裏垢女子”の生態系

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「裏垢女子」とは、SNSで本来のアカウントとは別の”裏”のアカウントを持っている女性のこと。そのなかでも公につぶやくことが憚れる風潮にある、セックスをはじめとした性的な話題について裏アカウントで話す女性を指すことも。彼女たちはなぜ「裏垢」を使ってまで性の話題を繰り広げるのだろうか。

裸をアップしたり下ネタをつぶやいたり…。裏垢女子の生態系

今回お話を聞いた裏垢女子のあぐさん(@ugly_jonny)は、Twitterにて自身が経験したエッチな出来事やセックスのエピソードを投稿している。本業でシナリオライターをしながら、ABEMA TVの番組『給与明細』に女性用風俗のレポーターとして出演したり、「東京カミングアウト」というWebメディアでセックスやウーマナイザーの記事を投稿したりなどの活動を行っている、12.7万人ものフォロワーを持つ"大手裏垢女子"インフルエンサーだ。

あぐさんは主に下ネタやセックスのエピソードの発信がメインだが、裏垢女子はさまざまなタイプのアカウントがあるという。そのなかでもメジャーなのが不特定多数に自分の裸や下着姿の写真を見せる”自撮り垢”だ。「特定の人に裸を見られたい!」という人や、フォロワーに「可愛い」「エロい」と言われて喜ぶ人が自撮りを投稿しているという。

「Twitterに裸を載せる女の子には"いいね"やコメントが欲しい、つまり承認欲求を満たしたい人と、不特定多数のユーザーに裸を見せるのが性癖の人の大きく2パターンに分かれます。どちらかといえば前者が多いイメージですね。また、自撮りでフォロワーを集めてAmazonのほしい物リストやPayPay、ファンクラブなどのURLを載せて稼いだりしている女の子もいます。」

また、あぐさんのように文章だけでフォロワーを集める裏垢女子も。140字という限られた文章量のなかで、性癖やセックスについてオチをつけながら面白おかしく投稿し、男女問わず熱狂的なファンを稼ぐ人もいるのだとか。圧倒的な文章力を持っていたり、大喜利的な言葉遊びができる裏垢女子も少なくない。

「そして好みの”裏垢男子”とのセックスが目的でアカウントを運用している女性もいます。そのような人たちはフォロワーを稼ぐ目的でつぶやいたり写真を投稿したりしているのではなく、ただ単に下ネタを言いたいから、下着や裸が可愛いから投稿している、というタイプです。もちろんエロい投稿や写真をエサに好みの男性を捕まえるということもあるようです」

このような出会い目的の裏垢女子にとって大事なのが「ちょうどいいフォロワー数」。フォロワーが1000人から1万人くらいだと男性からのメッセージが届きやすいが、2~3万人以上を超えると男性は「手が届かないのでは?」と謙遜するようになってしまうのだとか。

大きなアカウントになればなるほど出会えなくなってしまうので、フォロワー数が増えてきたらアカウントを消して"転生"をする女の子も少なくないそうだ。

「出会い目的の裏垢女子にとって、男性の雰囲気や性癖などが投稿によって判別できるため、Twitterでの出会いはとても効率がいいんです。男女ともにエロへの探究心が強い人が多いので、相性のいい人に会いやすいのが大きな特徴です。Twitterはいわば性癖のマッチングアプリですね(笑)」

なお、裏垢女子は比較的簡単に男性と出会える反面、裏垢男子は出会うまでに圧倒的に高いハードルが存在するという。

裏垢のパワーバランスはフォロワーの数で決まるため、男性はフォロワーが多ければ多いほど信頼が高くなり、裏垢女子と会える確率も高まるそうだ。そのため、裏垢男子のなかにはフォロワーを稼ぐためにネカマをしたり、ハメ撮りを載せたりする人も少なくない。

「裏垢に救われた」

裏垢を始めるきっかけは人によってさまざまだが、あぐさんが裏垢女子を始めたのは「セックスレス」の辛さを発散するために、Twitterアカウントを開設したのがきっかけだったという。

「もともと結婚していたのですが夫とはずっとセックスレスでした。この辛さをなんとか解消したい、私と同じ境遇の女友達を作りたいと思っていました。そんなとき、ある有名裏垢男子のツイートがわたしのTwitterに流れてきて『裏垢という世界があるんだ!』ということを知りました」

あぐさんはセックスレスの悩みを打ち明けたいという一心で裏垢をはじめた。しかし普通にツイートを投稿するだけではフォロワー数やRTは伸びないし、目的のおなじ境遇の人と繋がれない。そこで、自身が経験したセックスのエピソードを面白おかしくまとめて投稿することにしたという。

「裏垢を始めた2019年ごろの裏垢界は、現在より文章主体のアカウントも多かったため、同じように投稿を始めました。すると次第にフォロワーが伸びていきました。当時の私は既婚者で顔や体の写真を投稿できなかったため、自分にとっては文章がピッタリでした」

あぐさんのように裏垢女子のなかには、セックスレスや性に関する悩みを共有するために裏垢を始めた人も少なくない。夫の愚痴や理想のセックスについての願望を話したり、写真を載せて女性としての自信を取り戻すなど、人によって使い方はさまざまだ。そして、時には裏垢で男性と知り合ってセックスをしている人もいるのだとか。

「人妻の裏垢女子のなかには『不倫ではなく"外注"。気持ちは浮ついていません!』と言って婚外セックスしている人もいます(笑)。わたしも彼女たちのように"外注"で発散しようと思ったのですが、罪悪感に苛まれ、思うようには楽しめませんでした」

あぐさんは悩み抜いた末に離婚をして、現在は遠慮なくセックスを楽しめる状態になっている。

しかし、ほとんどの人にとってパートナーとのセックスレスを相談したり、また性欲を解消できる場所や機会は少ないのが現状だ。

裏垢は既婚者女性をはじめさまざまな悩みを抱える女性たちが集い、性についての気持ちを共有できるコミュニケーションツールとしての側面もある。

「私も本当に辛い思いをしてきましたが、裏垢で同じ思いや悩みを持つ人とつながることができて心から救われました。セックスレスの悩みはリアルの友人や家族など、近い人にはなかなか相談できません。だからこそオンラインで見ず知らずの人たちと悩みを共有できることが、わたしにとって大きな救いでした」

「女性もセックスを楽しんでいい」性に寛容な世界

裏垢をはじめる以前は、性行為がタブーなものと感じていたあぐさんは「セックスは男性が楽しむもの・男性主体のもの」と思っていたそうだ。しかし裏垢をはじめてみると性を存分に楽しんでいる女性が多いことを知り、「女性でもセックスに積極的になっていい」ということに気づくことができたという。

「裏垢には思い切りセックスを楽しんでいる女性もいます。また自分の性癖を発信している人や、好奇心のままSMやハプニングバーなどの世界を楽しんでいる人もいます。そのような人たちと触れあって『女性もセックスを楽しんでいいんだ!』と素直に思えるようになりました」

裏垢をはじめてセックスレスの悩みを共有でき、また、自身の性欲に忠実になれた、あぐさん。

彼女にとって裏垢は心の救いになったが、実際には男女の出会いの場になっていることもあってトラブルの危険性も孕んでいるのが実情だ。これから裏垢を始めたいという女性に対して「情報収集・判断能力」が必要だと話す。

「知らない世界を知るのは何においてもいいことだと思います。そのため好奇心旺盛で、情報の取捨選択ができる人は向いているかもしれません。逆に向いていないのは恋愛がしたい人、真面目な人、優しい人、そして承認欲求が強い人だと思います。

特に承認欲求で裏垢を始めると『どこかで認められたい』『なにか現実で満たされていない』という感情が、男性の性欲とマッチしてしまいます。承認欲求を満たすためのセックスを繰り返してしまうと依存状態になったりトラブルになったりして、最終的に自分が傷ついてしまいます」

もし裏垢をするとしたら「条件の合う人としか会わない」「写真を載せるだけにする」など、自分なりの方針を決めておくのが一番大事だとあぐさんは話す。デジタルタトゥーにもなりかねない裏垢の世界。物事を正しく判断する能力とセックスに依存しない自立心が必要だ。

裏垢の世界は、普段話すことのできないセクシャルな内容を公に話すことができる特殊な場所だ。使い方によってはあぐさんのように心が救われる人もいれば、逆に欲望に呑まれてしまう人もいる。人によって相性の良し悪しがはっきり出てしまうからこそ、表のアカウント以上に細心の注意が求められる世界だ。

性について話すことが憚れる現代日本社会では、裏垢のような世界がいま必要なのかもしれない。

取材・文/越前与

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