東京女子医大(東京都新宿区)の新校舎建設工事を巡る背任事件で、元理事長の岩本絹子容疑者(78)が警視庁捜査2課に逮捕され、20日で1週間。周辺では事件の背景として、大学トップに上り詰めた野心的な人物像を指摘する声が聞かれた。(昆野夏子)
◆大学創立者の一族 同窓会役員を経て大学経営に関わる
「お金があれば人は動く。言うことも聞いてくれる」。同大病院の関係者は、岩本容疑者の言葉が忘れられないという。聞いた場所は、内装設備や調度品などに約5億円かけて改修した理事長室だった。
大学創立者の一族の岩本容疑者は同大学院を修了後、江戸川区の民間病院などに4年間勤めた。1981年に「葛西産婦人科」(江戸川区)を開き、院長となった。創立者一族ということで声をかけられ、大学の同窓会組織「至誠会」の理事にも就任、2013年に会長となった。
2014年2月、東京女子医大病院で手術後の2歳男児が鎮静剤プロポフォールを投与され死亡した。事件の影響で患者が激減し、経営状態が悪化。経営改善を期待され、同年12月に大学の副理事長に迎えられた。人件費を削減、採算性の低い事業や設備を整理し、一時的には黒字化に成功。2019年には理事長となった。
◆「コストカット」で職員の離反を招く
同大病院で勤務していた医師は「医師としての実績は高くない。若くして開院して院長になったり大学の要職に就いたりするのを、不思議に思った」と語る。大学で1年後輩の女性医師も...
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