【全文公開】「もう私はダメだな」…渡邊 渚 ″絶望から再生へ″「やりたいことはすべて挑戦する」

スペシャルインタビュー

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「考え直してくれ」

アナウンサー時代のロングヘアをバッサリ。秋らしいボルドーのワンピースで、可愛らしい笑顔を見せてくれた
アナウンサー時代のロングヘアをバッサリ。秋らしいボルドーのワンピースで、可愛らしい笑顔を見せてくれた

退院後も、しばらくは外を出歩くことすら難しい状態が続く。通院しても、回復に向かう兆(きざ)しは一向に見えなかった。

渡邊が実施した認知行動療法の特性上、まずはトラウマに向き合う必要があった。しかし、当時の出来事を思い出す度にフラッシュバックする。何度も頓挫し、治療も進まなかった。近しい同僚や家族にも打ち明けられなかったことで、社会からも隔離されている感覚に陥った。もうアナウンサーに戻ることはできない――。

渡邊は今年春にはフジテレビに対して、正式に退職の意向を告げた。

「初めは産業医を通して告げましたが、会社からは『考え直してくれ』と慰留されました。一向に話が進まず、弁護士や主治医、ソーシャルワーカーなどにも相談していました。私は治療のためにも、次の人生に向かうためにも、一刻も早く会社を辞める必要があると感じていたんです」

話し合いは平行線を辿(たど)るも、自分の意思を固めたことで少し心が楽になった。

6月からは専門治療である『持続エクスポージャー療法』を受け、一人でどこまで外出できるのかという実験を行い、効果が表れ始めた。そこでフジや主治医、担当の臨床医に許可を取り、パリ五輪の男子バレーボール観戦のため、8月上旬に現地を訪れることにした。高校時代にバレー部に所属し、バレー中継にも携わってきた渡邊にとって、どうしても現地で目に焼き付けたい光景だった。

しかし、偶然その様子が中継映像に映り込んだことで、ネット上で強い批判を受けることになる。

「言いわけに聞こえるかもしれませんが、4月にはすでに会社に退職の意思を示し、遅くても7月下旬には退職している予定でした。それが『番組編成の時期まで待ってほしい』という会社都合で遅れた。ここは伝えておきたくて。

治療の効果もあり、7月には少しずつパニック発作もコントロールできるようになっていました。治療の一環としても、実験的に遠出に挑戦する必要があった。

不快に思われた方には申しわけないですが、私自身は心の底から行ってよかったと思います。本当に感動的な体験で、パリで生きる希望をもらえ、明日への活力になったんです」