「ショウヘイは必ず復活を遂げる」担当医師が語る“二刀流復帰”への見通し。2度目の手術で施したリスクを伴う工夫
投手としての完全復活に向け、ほかの部位から腱を移植したのち、人工靭帯を使って「補強」も行った。この治療法はまだ症例が少なくリスクを伴うが、靱帯の強度を高めることができ、規格外の成長に長く耐えうるものだ。 エラトロッシュ:「ショウヘイは必ず復活を遂げる。彼に投球再開のスケジュールを伝えたとき、すぐにカレンダーに書き込んでいました。その強い覚悟を垣間見たのです」
◆「さらに強くなったパフォーマンスを」
並々ならぬ覚悟で復帰に向かう大谷は、どのように実戦の舞台へ返り咲いていくのか。 同じく右ひじの手術から復活した経験を持つ五十嵐亮太氏に展望を聞いた。最速158キロの速球を武器に、ニューヨーク・メッツなどで活躍した剛腕だ。 五十嵐:「たぶん大谷選手は『自分はいけるし、やる』っていうスタンスで来た結果、怪我してしまったと思います。リハビリ中って怪我をしているネガティブな気持ちがありつつも、良くなってくると『自分もっといける』という気持ちがどんどん大きくなってしまう。それを止めるのがトレーナーだと思います。『この段階ではこれだけで十分』というところを一歩一歩やっていく」
焦る気持ちを抑え、トレーナーの指導のもとで適切なペースで体を戻すことが重要だという。 大谷のリハビリの現場を観察すると、軽いキャッチボールでさえも常にトレーナーが目を光らせていた。 手術から半年が経過した2024年3月。公の場でのキャッチボールを再開すると、野手として試合に出場する傍ら、投手としてのリハビリを続け、9月には150キロに迫る速球を投げた。 その先に見据える完全復活。大谷自身がMVP受賞の場で語った言葉に、そのヒントがある 「まずは復帰して、もう一回さらに強くなったパフォーマンスを(見せたい)」(大谷) この言葉について五十嵐氏は…。 五十嵐:「選手の心理としては、手術する前よりもいいピッチングしたいんです。普通に戻ってくるだけじゃ、ただ肘を治しただけなので1年が無駄になってしまう。アスリートとしてはもったいない気持ちになっちゃうんですよ」 強くなって戻ることへのこだわりは、一度目の手術前後にも表れていた。 五十嵐:「めちゃくちゃ大きくなったじゃないですか」 手術をした2018年と本格復帰を果たした2021年を比較すると、首や肩の筋肉を中心に体格の変化が見られる。これはリハビリ期間がもたらした成果だ。