副反応に根強い懸念…子宮頸がんワクチン、打たないリスクも

子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐワクチン接種の実施率が低迷している。同ワクチンをめぐっては、副反応を訴える声が根強く、国や製薬会社に賠償を求める集団訴訟が係争中だ。一方で、子宮頸がんは子育て世代を中心に毎年約3千人が死亡し、予防が望まれる病気。国が昨年、積極的勧奨を再開した背景には、ワクチンを打たないリスクを無視できないという現状がある。

積極的勧奨への方針転換にあたり、国の審議会が重視したのが、内科や産婦人科など約1万8千の診療科を対象にした全国疫学調査の結果だ。12~18歳(平成27年時点)の患者に対し、体の痛みや運動障害といった副反応の訴えと同じ症状を持つ人のワクチン接種歴を調べた。

その結果、接種の有無に関わらず同様の症状を訴える人が一定数おり、「一方だけに特異的な症状はなかった」と報告された。これらを受け、審議会は「症状とワクチン接種との関連性を示すエビデンスは認められない」との見解を示した。

英国ではワクチン接種によって子宮頸がんの発症が減少したとの調査結果も報告され、「副反応のリスクを上回るメリットがある」と結論付けられた。

国の決定に対する受け止めはさまざまだ。接種を終えた大津市の女子大学生(21)は「がんの怖さを重視した。打つかどうかは本人の判断だが、友達にも接種の意義を伝えている」と話す。

一方、ワクチンによって健康被害を受けたとして国や製薬会社に賠償を求める集団訴訟は126人(昨年12月時点)が係争中。全国4地裁で審理されているが、大阪訴訟の1審判決は早くても4年後と予想され、司法判断が出るのはまだ先だ。原告の女性(25)は「注射1本で人生が変わる。打たないでほしい」と訴え、弁護団も安全性の根拠が乏しいと主張する。

大阪大の上田豊講師(婦人科腫瘍学)らが昨年2月、積極的勧奨の中断期間に接種対象だった平成9~17年度生まれの女性をカバーする「キャッチアップ接種」の対象者約1600人を学年別に調査したアンケート結果では、「接種したい」と答えた人は、最大でも24・3%(平成13年度生まれ)。接種を敬遠する理由のほとんどが副反応への懸念だったという。

一方、接種しないリスクも顕在化しつつある。上田講師らの研究グループは一昨年、24自治体から学年ごとの子宮頸がん検診の結果(20歳時点)などを収集。子宮頸がんに至る恐れがある細胞の異常率を調べると、接種率が低い平成12年度生まれの女性は、接種率が高い学年より1%程度高かった。

12~15年度生まれの4学年は、積極的勧奨の中止によって子宮頸がんに罹患(りかん)する人が約1万7千人、亡くなる人が約4千人増えるとの推計もある。上田講師は「亡くならずに済むはずの女性が亡くなる事態は防ぐべきだ」とワクチン接種を推奨している。

子宮頸がんワクチン接種3割 今年度から積極的勧奨再開も伸びず

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