見解刑法第230条第2項により、死者の名誉を毀損する行為については、虚偽の事実を摘示した場合にのみ処罰される。死者に関する事実は歴史的批判の対象となるため、真実である限りは処罰する必要はないと考えられているからだ。竹内英明元県議が亡くなったことについて、その直後に、「竹内氏が兵庫県警から任意の事情聴取を受けていた。逮捕されるのが怖くて自ら命を絶った」などYouTubeチャンネルで公言した立花孝志氏の行為は、兵庫県警が、その事実を完全否定しているのであるから、竹内氏の死亡という歴史的事実を、死亡の直後に冒涜したものであり、「死者の名誉毀損」の典型事例と言うべきである。死者の名誉毀損の告訴権者は、遺族または子孫であるが、兵庫県警も、このような虚偽の情報を流布されることによる実質的な被害者とも言える。ただちに、竹内元県議の遺族に告訴意思を確認した上、告訴が行われれば速やかに捜査に着手すべきであろう。
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コメンテータープロフィール
1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。これまで、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任。著書に『歪んだ法に壊される日本』(KADOKAWA)『単純化という病』(朝日新書)『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など多数。