2025.01.17
# ゼレンスキー # プーチン # ウクライナ

トランプ大統領誕生で「ウクライナ分裂」は秒読みか…窮地に立つゼレンスキーに迫る「最悪のシナリオ」

1月20日にトランプ大統領が誕生する。ウクライナ戦争は、トランプ外交によってどんな動きを見せるのか。多くのメディアで発信し、ヨーロッパの国際関係・国際政治を専門にする東野篤子(筑波大学教授)氏が語る。

トランプ外交の「思惑」

11月にウクライナでとても重要な世論調査が行われました。停戦の是非を国民に問うもので、「永続的な平和が確立されるのであれば、ロシアとの妥協は不可能ではない」と答えた人は32%。一方で「妥協は絶対に不可能だ」という人は58%。

国際社会では停戦の機運が高まっているものの、停戦の是非や条件をめぐって、ウクライナ国内の意思統一がなされている状態ではないのです。

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停戦に向けて、すでにトランプ大統領は動き出しています。彼は戦争を解決したいのではなく、「早く停戦させた自分」という成果が欲しい。ウクライナのNATO加盟を認めず、一部の領土はロシアに奪われたまま停戦させようと考えているようです。

しかし、ウクライナにとっては、停戦の条件としてNATOへの加盟が必須。なぜなら、ロシアは'94年のブダペスト覚書や、'15年のミンスク合意など、あらゆる協定を破って、ウクライナに侵攻しているからです。

ウクライナの多くの人は「ロシアの再侵攻を防ぐ強力な取り決めがなければ、停戦協定などすぐ破られる」と考えている。領土を明け渡し、形だけ停戦するのは、到底受け入れられないというわけです。

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