灯火の星 〜The One Story of Ours〜   作:蘭沙

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風花雪月1ルートでも長すぎワロタ




むらびとの設定置いておきますねー
・むらびと
すま村の村長ではあるが、村長の仕事はサボってばかりのため、しずえには度々怒られて苦手意識を感じている。節約家で守銭奴。他の趣味趣向は年齢相当。


二十話 自分もそうなりたいと思った

「それでそれで次のファイターがいるのが…」

 

「お隣さんにほら。」

 

「………」

 

 

マリオが指差すファイターは、自分が倒れていた場所の隣。窓から不在か否かの確認が取れる程のご近所さんであった。引っ越したら蕎麦を持っていくような。回覧板を回すようなそんな関係の位置だった。生憎、家ではないし、同意もなしに引っ越されたようなものだし、蕎麦を渡す余裕もない。例え余裕があっても、蕎麦は渡していないのだが。近所付き合いはベルの無駄にならないやり方で行っている。

 

 

「俺もついてくぞ。坊主は初めてだし、保護者みたいなもんとしてな。」

 

「えー。おっさんも?」

 

「おっさん言うな!」

 

「じゃあおじさん」

 

「おじっ…!?」

 

 

子供まで巻き込むことに気は進まないが、本人の立場というものもある。止められはしないだろうが、せめて自分が着いていけばなんとかなる。なんとかすると思ったスネークだったが、思わず言葉が続かなくなる。この坊主、未だに守銭奴モードなのか非常に辛辣のままだ。

 

 

「…救助料は6:4でいい?」

 

「「「「「えっ」」」」」

 

「たかろうとするな」

 

「じゃあ全額貰うね」

 

「せめて5:5だ!」

 

「「「「「(ここでボケないでスネーク!?)」」」」」

 

 

ツッコむところはそこではない。どうしてこの状況で被害者であるファイターに請求しようとするのか。むらびとも同じく被害者ではあるが、それでも状況を理解できたのならばここはお互い様に抑えておくべきなのに。

 

 

「まあ、それは兎も角として… むらびとに今回の戦いの雰囲気を理解して貰うために、ここで戦ってもらう、というのはありだと思う。救助したファイター全員がここにいるし、フォローも出来る。まだ完全に呑み込めている訳じゃないと思うけど… いいかい、むらびと?」

 

「うん。そもそも自分から言いだしたことだし。お金も取れるし。」

 

「………」

 

「むらびと…」

 

「そういうのはやめましょう? むらびとさん…」

 

「あはは…」

 

「オウ…」

 

 

なんという強欲な少年なのだ。マルスの不安を変な意味でぶち壊してくれる。ロックマンとパックマンはジト目で、Wii Fit トレーナーは呆れながらも優しく諭す。マルスは苦笑いしてマリオは思わず頭を抱えた。

 

 

「金の話は兎も角、本当に戦うっていうなら一緒に行くぞ。そもそも、こいつとも俺が戦うつもりだったからな。」

 

 

と、スネークが言うと、むらびとを小脇に抱えて移動し始めた。

 

 

「タクシー代金は払わないからねー」

 

「いらねえよ… 俺は子供に金をせびるほど落ちぶれちゃいねえぞ。」

 

 

むらびとを抱えていて空いていない手とは逆の左手でそれに触れる。右腕にかかった力が随分と強いことに少し疑問に思ったが、それは転移と同時に霧散していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また、このフィールドか… ほら、おろすぞ。」

 

「また?」

 

「坊主と戦った時もここだったんだよ。」

 

 

そう、今回の戦場もまた『終点』であった。明るくなったり暗くなったりする摩訶不思議な宇宙のような世界。むらびとの黒色の目に色とりどりの光が映る。神々しさと同時に妖しさすらも感じられる銀河。そんな場所に一人取り残されたかのような錯覚に陥る。

 

 

「さて、相手は…」

 

『…』

 

「っと、お嬢さんじゃないか。」

 

「シーク!」

 

 

茶髪の麗しき姫君の姿を幻視する。だが、現実には中性的な姿格好をしている金髪の人間がそこにいた。普段よりも濃い血すらも思わせる紅の瞳に薄ら寒いものを感じる。

 

 

「わわっ、くるよ、くる!」

 

「落ち着け、2対1ではあるが、いつもの乱闘と変わらない。」

 

『…!』

 

「避けろ!」

 

「うわっ!」

 

 

大地も削れるのではと思えるほどの鋭いキックが放たれる。スネークの掛け声に遅れはしたものの、間一髪で攻撃の回避に成功した。そのままここに居たら、ひとたまりもなかっただろう。とはいえ、図らずともシークを挟み撃ちに出来る立ち位置になったことに、しめしめと思うも、むらびとへの叱咤は忘れてはならない。

 

 

「気をぬくな! シークのスピードだと一気に詰められる!」

 

「わかってるっ…! よ!」

 

 

走り込んで懐を突くように切り裂く『疾風』をむらびとに向かって繰り出す。普段ならば防御が困難なほどに速い攻撃だが、早めにシールドを展開していたので防ぐことが出来た。

 

 

「はあっ!」

 

『…!』

 

 

『ストレート』で拳を当てる。シークの赤い瞳がスネークへ向いた。追撃をすることも選択肢にあったが、受け止められるか、躱されてしまうと思ったのでやめた。やはり、挟み撃ちとなる現状をどうにかするだろうと、シークは回り込むと予測していた。そして、背後をとったならば、攻撃を繰り出すだろう。

 

 

「…っ」

 

『…』

 

 

シークの投げる小型爆弾、『炸裂弾』が炸裂する。普段は避けるが、今は後ろにむらびとがいるので避ける訳にはいかない。いつもは殆ど使わないシールドで対処した。

 

 

「…ちっ」

 

 

『リモコンミサイル』は素早いシークには当てづらいし、そのほかの銃も有効とは言い難い。『手榴弾』や『C4爆弾』などもむらびとのことを考えると、狭いフィールドで安易に使う訳にはいかない。ここは格闘技と、心苦しいがむらびとに頑張ってもらう他ないだろう。そう思い、その旨を後ろの少年に伝えようとしていた時であった。そっと摘むようにスネークの服の袖を握る震えた手があった。

 

 

「…坊主?」

 

「…」

 

 

返答はない。恐怖しているとは思えないほど真剣な表情で彼なりの戦闘体勢をとっている。手は震えているが、他の器官は至って正常に見える。

 

 

「何して…あっ。」

 

「…」

 

 

またもや答えず。何かを気づいたようにスネークは言葉を止めるが、それについて触れる発言もなかった。

 

怖いのだ。目の前のシークではなく、物語の結末にいるであろうキーラが。殆どのファイターに完膚なきまでの敗北を味わせた絶対なる支配者が。スネークが知ることではないが一筋の希望だけを残したあの場所にて、友も仲間も散っていき今度は自分というタイミングで文字通り何も出来なかったのだ。

この世界で出来た友達の持つ、世界を救うような意思や心の強さに惹かれたむらびと。少年ならば誰だって憧れる悪者を倒す勇者の物語。絵本から飛び出してきたような友に憧れた。自分もそうなりたいと思った。

 

だが、結果はどうだ?

戦うことも、逃げることも、足掻くことも、誰かを助けることもできなかった。何もできなかった己を恥じた。だからこの戦いに参戦したのだ。こうしなければ、最後まで足掻いただろう友に顔向けできないから。

それでも怖いものは怖い。その友すら手も足も出なかった相手と戦うのが怖い。それでもやらない訳にはいかないから、自分が好きなお金の話で恐怖心を誤魔化している。

 

 

「(よくわからないが… 怖いが他の奴らのために戦わなくちゃいけない…ってとこか?)」

 

 

こうした事情はスネークは知らないが、何となくでむらびとのことを読み取った。しかし、下がっていろ、とは言えない。とはいえ、最後のキーラとの戦いで手が震えて戦えないは本人もいやだろう。

 

 

「(仕方ない… 一肌脱いでやるか。)おい、坊主。」

 

「何? おじさん。」

 

「おじさん… まずその呼び方をやめてくれ…」

 

「坊主って呼ぶのやめてくれたらいいよ。もしくは一回500ベル。」

 

「そっちの世界の金を持ってる訳ないだろ。俺をスネークと呼ぶなら、俺もむらびとって呼んでやる…ってそんなことを言いたいんじゃない。ちょっと耳かせ。」

 

 

むらびとは背伸びして話を聞く。だが乱闘中とはいえ、あまりにも簡潔すぎる作戦だった。目をぱちくりさせる。

 

 

「待って! これじゃわかんない!」

 

「それでも何とかするのが俺たちだ。やるしかない! ぐっ…!」

 

『…』

 

 

当然いつまでも相手は待ってくれない。『仕込み針』がスネークの体に刺さり、僅かながら仰け反いたところに『鉈』のように腕を振り下ろし、さらに『錐』のように体を回転させる攻撃を放つ。

 

 

「(最後に蹴りがくる!)」

 

『… うっ…』

 

「ていっ!」

 

 

フィニッシュの上方向へのキックを、体を捻って回避する。シークから離れた時にむらびとのパチンコの玉がヒットするのを確認した。

 

 

『隙は俺がつくる。お前は機を見計らって一撃畳み込め。』

 

「(そんなこと言われたって… 一撃… 一撃…)」

 

 

スネークとシークは未だに肉弾戦中だ。 むらびとはステージの中央付近に種を植える。

 

 

「とあっ!」

『…っ!』

 

 

スネークのローキックとシークの回し蹴りがもろにぶつかる。鋭い脚力は相殺しあい、互いによろめいた。

 

 

『…』

 

「なっ…」

 

 

だが、立て直すスピードはシークの方が速い。重い武器を持っていない為に軽く、細身の身体なら、体の負担も少ないからだ。勢いを乗せたまま、しゃがみ身体全体を使って足払いを放つ。

 

 

「ちっ…」

 

 

崩れた体勢では足払いを避けられない。しかし、スネークもまた幾千の戦いを潜り抜けた傭兵。地に落ちていく身体を動かし、受け身をとって向かい合う形で再び向かい合う。

ちらりとむらびとを見ると、育った木に一発斧の切り込みを入れていた。

 

 

「(いやいやいや!? 確かに機を見計らえとは言ったが!? 木で攻撃なんて一言も… いや、流石に考えすぎだろ… 兎も角、とどめの用意は整った。後は…っ!)」

 

 

シークを掴む。むらびとの切り倒す木が彼女を襲うことをイメージし後方の地面に叩きつけた。だが、

 

 

「うわっ!?」

 

「!」

 

 

計算済みだったのか、木を跨ぐように浮き上がった。むらびとを狙う『跳魚』の体勢だ。ここまで高いところにいると、木なんて当たらない。

 

 

「(まずいっ! フォローに)」

 

「おりゃあああ…!」

 

「っ!?」

 

 

木こりの為の斧を手に、飛び上がったむらびとに驚いて硬直してしまうスネーク。この攻撃はあまりにも杜撰であった。だが、あまりの展開にシークの動きも止まる。大振りすぎる上に目を瞑った攻撃だが、止まっている的にすら当てられない程むらびとは弱くない。大きく吹っ飛ばされていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回は運が良かったな。あそこで相手動いてたら恐らく躱されてたぞ。」

 

「えー、勝ったんだからいいじゃん。」

 

「運だけどな。」

 

「運も実力のうちっていうじゃんかー 」

 

「フフ… 随分仲良くなってるね。」

 

「うん。色々あったみたいだよ。ゼル…じゃないや、シークさん。」

 

 

フィギュア化が解除されたシークは意外な二人の会話に感想を述べる。今は次のエリアへ移動する為の準備中だ。

 

 

「それにしても、シークって頭イイネ! あたし一度の説明じゃまっ〜たく、わからなかったよ。今もあんまりわかってない!」

 

「ピチュッ!?」

 

「ありがとう。でも、この事件に関してはキミの方が詳しい。結局人伝の話だからね。よろしく頼むよ、センパイ。」

 

「センパイ…ッ! よーしー! センパイに何でも聞いてねっ!」

 

「フフッ…」

 

 

昼寝のお陰か体力満タンのインクリングは非常に乗せやすく、単純な性格だ。

だが、それでいい。一人が全てをする必要はない。

 

 

「そろそろ次へ行こうか。みんな準備出来てる?」

 

「ボクはいつでも準備OKさ!」

 

「はい! 十分な休息は取れました!」

 

「ー!」

 

「パックマンも用意できたか。君たち、喧嘩は構わないが、次に進むぞ。」

 

「了解ー!」

 

「ああ、すぐ行く。」

 

 

むらびとが離れたのを見て、煙草を加え、火をつける。やはりWii Fit トレーナーにとやかく言われるが、今は耳に入らない。

 

団体を仕切れる者、口うるさい者、戦える者がいるのならば、戦えない者もいていいだろう。そうでなければ大勢でいる意味がない。戦うことはあっても敵ではない。戦った後でも隣で相手とくだらない話が出来る。だからこの世界は好きなんだ。

もうむらびとの恐怖は感じられない。




ピチュー「ピッチュチュピッチュチュピッチュッチュー♪」

シーク「ピカチュウのうた基、ピチューのうたってところかな…」

ピチュー「ピチュピチュピチュピチュ♪」

カービィ 「…ぽょぽょぽょぽょ」

シーク「あっ…」


シーク「次回、『彼らは勇者』」


シーク「灯火の星、完!」

マルス「またこのオチ!?」
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