灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
コンクリート色の建物の中で、マルスは思考を張り巡らせていた。色々な考えが頭の中でぐるぐる回ってすっきりしない。
「さっきから、どうしたんだ? やっぱり何か悩みがあるんだな。」
「…っ!? オリマー!?」
先の道からやってきたのは、マルスよりも背の低い、でもマルスよりも世界を生きているオリマーであった。
「…何でもない。気のせいだよ。」
「嘘だろう?」
一瞬、固まった。オリマーの返答は疑問に思うような言い方ではなく、確信していて確認のために聞いたような言い方だったからだ。
「………」
「君たちにはまだわからなくても、私くらいの歳になれば、見えない物も見えてくるようになる。なんとなくな。」
年の功というやつだ、まだ40だが… と自虐している言葉を続ける。
「だが、これは何となくわかる。その悩みを素直に相談出来ないのは… 君が王子という立場だからか?」
「えっ…?」
ふと漏らした言葉。ドンピシャだった。
「私の星の政治は王政ではなくとも、その知識はあるんだ。もっとも、本当に推測の域を超えないのだが…」
自分の倍を超える時間を生きている年長者の言葉を一字一句洩らさずに聞いているマルスがいた。
「マルスという人間でも、ここにいる以上王子の肩書きは関係ない。人も神も勇者も魔王も、別の世界にいる者は単なるファイターだ。人柄は認めていても、肩書きなんて気にしないさ。」
「でも、僕は…!」
「王子って言いたいのか? それともリーダー? では、聞くが君は故郷の世界でも王族として完璧だったと言えるかい?」
「…っ!?」
言い返せなかった。政治云々のことを言っているのではないとはわかった。きっとオリマーが言いたいのは、囮を使って自分の逃走作戦を組み立てていたのを阻止しようとしたり、若き兵士の身を案じて単独での逃走を図ろうとしたことだろう。だが、そのことに関しては、マルスは反論しなければならなかった。
「…だったら、死んでもよかったのか? 王子を守れれば死んでもよかったと?」
「違う、そういうことを言いたいじゃないんだ。私が言いたいのは」
「ピーチュー!」
「こんなところで井戸端会議してたー! 最後のとこの道が開いたの! 行こう!」
ピチューが走ってきて、その後を追ってインクリングも走ってきた。二人の手を掴んで連れて行こうとする。
「あっ…待ってくれ、インクリング。少し二人で話を」
「後、後! また誰か居たらどうするの?」
無邪気な子供の力というのは想像以上に強かった。抵抗も出来ずに、引っ張られて行く。
「やれやれ… 仕方ない、話は後だ。」
「…わかった。」
彼に習い、マルスも早々に抵抗の意思を投げ捨てた。
四人が他ファイター達と集合し、今自由に動けるファイターが集まった。
「よう、色々迷惑かけちまったみたいだな。」
「…スネーク。気にしなくていいよ。」
「うん?」
ファイター達に発破をかけていた時のマルスとは全く違う様子に怪訝に思うが、スネークには確信に至らなかった。ロックマンにも目を向けるが、彼にだってわからない。
全員で道を進んでいくと、少し開けた場所にでた。今までを考えると、異様な雰囲気だ。
「ぽよ〜!」
「広ーい!」
少しはしゃぐ、カービィとインクリング。
「君達、少しは落ち着きというものを…っ!」
ガンっと鉄の塊が落ちてくる。ファイターの大きさなど、ゆうに超えている。
「全員散らばるんだ!」
オリマーの一声に散らばって、即座に戦闘態勢を整えるファイター達。
鉄の塊は、変型し、人の体に近い形になっていく。二本の腕、足。その足で立ち上がったその機械はファイターを認識すると、一つ雄叫びのような大きな機械音を鳴らした。
その姿に、マルスは同様を隠しきれない。
「なっ…!? ガレオム!? 亜空軍の!?」
「ガレオム?」
「リュカとレッドが倒した筈なのに…」
「どう見たってコイツ機械だろう! 設計図が残っていれば再度作ることも難しいことじゃない!」
そうスネークが返す。唐突な状況の変化に対応できるのは流石ということか。
「つまりはボスってことね… よおし! あたし達がお相手よ!」
「ぽよっ!」
拳をインクリングとカービィは飛び跳ねて避ける。鉄の塊で殴られるようなものだ。当たったらひとたまりもない。
インクリングは肩部分に蹴りを、カービィは『ファイナルカッター』を腕と足に当てる。
「固ーい!」
「ぷぃ…」
「はああっ!」
最大まで溜めた『太陽礼拝』をヒットさせる。ガレオムを挟んで、『ロケットランチャー』も撃たれ、ガレオムと比べると、明らかに小さな爆発が起きる。
「よし、ここはボクが行くしかないね!」
マリオは炎を手に纏わせて、ガレオムの背後から近づく。『消火栓』も飛んできた。
ガレオムが動く。背中から、ロケットのような物が飛んでくる。
「ミサイルか!」
「不味い! 離れなきゃ!」
「待った! 近くにいた方がいい! パックマンも懐へ!」
オリマーの咄嗟の指示に従い、近くに寄る。ミサイルの追尾のロックオンは、近くの者は映らない。故にマリオとパックマンにはその脅威の影響はなかった。放たれたミサイルのロックオン対象は。
「一本来てる!」
一人離れたところに居たロックマン。
「壁に隠れて深呼吸のパターンだ!」
「隠れられるような壁なんてありませんよ!」
「ぽっ…ぽっ…ぽよっ!」
先程の攻撃に参加していたWii Fit トレーナー、インクリング、カービィ。
「追ってくるのか…!」
「どこに4本も詰め込んでるんだ…」
道の近くにいたマルスとスネーク。
「思った通り、マリオやパックマンのところには来ていないか。」
そしてオリマーだ。
「みんなが大変だ!うわっ…!」
ガレオムの近くに居たマリオとパックマンはガレオムにスマッシュ攻撃を入れていたが、ガレオムが体を捻ったことに気づき、咄嗟に後ろに下がる。ガレオムは、体を駒のように回転させた。反応が遅かったのか、マリオ達は攻撃にかすってしまう。だが、壁まで吹き飛ばすには充分だった。
「ロックマン!」
「オリマーさん!」
ミサイルから走って逃げていた、二人がすれ違う。真っ直ぐ彼らを追っていたミサイルは互いにぶつかり、爆発した。
「すう… はあ… よし、シールドで防御します!カービィさん、インクリングさん! 後ろへ!」
「うん!」 「ぽよ!」
『腹式呼吸』を一つ入れ、ミサイルに対してシールドを展開する。爆発が近くで発生し、思わず二人は目を閉じる。全員怪我はなかったが、シールドが完全に破壊され、Wii Fit トレーナーは強い眩暈に襲われていた。当分動けそうにない。
「わわっ、トレさん、大丈夫!?」
「ぽ〜!」
「ううっ…ああ…」
そして、もう一つ。最後のミサイルがスネークとマルスを追っていた。
「ちっ… いいから先行け!」
「スネーク…!」
銃火器を携帯しているために足の遅いスネークを気遣って中々前に進めないマルス。
「(振り切れねえ…!)伏せろ!」
「っ! くっ」
最低限、伏せて頭を守る。そうすれば酷い怪我にはならない筈だ。爆発するのは時間の問題。マルスが思いっきり目を閉じた時だ。
「ピチューー!」
どこからともなく黒い雲が現れ、一つ稲光が生じる。ピチューだ。壁を走って移動し、二人を追っていたミサイルに『かみなり』を落としたのだ。雷撃に見舞われたミサイルはその電圧に耐えられず、その場で爆発した。マルスのマントが少し焦げたものの、本人にダメージは入っていない。
「ふぃ〜。助かったぜ、ちびっ子。」
「ピッ!? ピチュッピ!」
「おっと、ちびっ子扱いはいやだったか?」
ぷくー、とプリンのように、電気袋のある頬を膨らませるピチュー。その姿はまさに子供っぽくて微笑ましい。
「(くっ… 僕だけだ。何も役に立っていない!)」
鋼鉄の体に、自らの剣撃は届くのだろうか。辺りを見回す。激突して、へこんだ壁から抜け出すマリオとパックマン。遠距離から『手榴弾』と『でんげき』で少しずつダメージを稼ぐスネークとピチュー。三色ピクミンと『クラッシュボム』を貼り付けるオリマーとロックマン。未だ前線に復帰できないWii Fit トレーナーを案じるカービィとインクリング。すると、突然ガレオムに異変が起きた。
「むっ…!? 赤くなった?」
「オーバーヒートか? いや、これは…」
長時間戦い、ダメージが蓄積されたことによりガレオムも本気モードとなった。自らの最後にリュカとレッドを道連れにしようとする狡猾な知能を持つ機械だ。大方、今まで手加減していたのだろう。
赤くなったガレオムは、天井近くまで飛び上がった。ピクミンは無理矢理振り払われ、リーダーの元に戻る。
「嘘だろ!?」
「あの巨体で跳び上がるかっ…!?」
マリオとオリマーは驚愕する。
まさかここまでの機動力があるとは思わなかったのだ。ガレオムは狡猾に動けぬ者を狙う。それを本能的に気づいたスネーク。
「まずい! 嬢ちゃん、まん丸!」
「ぽよ? あっ…」
動けないWii Fit トレーナーと、近くにいるインクリングとカービィ。自分達の視界に巨大な影が差し、漸く自分達に迫る危機に気づいた。
大きな土埃が舞い、彼女達の末路を想像し、思わず目を閉じた。
マリオ「このままでは、トレさんやインクリングやカービィが潰されてしまうけどボクは元気です。」
スネーク「本編の区切り方がアレっていうのに次回予告のコーナーはいつもどおりだな…」
マリオ「ここのボク達、サザエさん時空で進んでおりますですはい。」
スネーク「本編の俺たちとは別人設定だったのかよ…」
スネーク「次回、『後の時代の英雄王』」
マリオ「別にそこまで深く… そんな冒瀆的な事実に気づいてしまった貴方は成功で1D10、失敗で1D100のSANチェックを」
スネーク「邪神クラスかよ! っていうか今付け足しただろ!」