灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
自身の名前も長い、技の名前覚えれない、技の描写も面倒くさい。
そんな小説家殺しのファイターがいるらしいっすよ?(批難する意図はございません。)
ファイター達が向かった町は、通路を挟んで北南でわかられており、その双方にファイターが一人ずつ存在していた。
実際は、北の方の町にゲートに遮られているファイターがもう一人いるが。
「どっちから行こうか?」
「うーん… 北のほうかな。こっちの方がスピリットが少ない。全員助けるつもりだけど、僕達が全滅してしまったら元も子もない。無茶はしない方がいいからね。」
オリマーがマルスに問い、マルスはそれに答える。
「OK! じゃ、行こうか。」
通路を降りた先の町は、鉄骨で出来た塔が印象深い広場だった。ここはポケモン達の世界、カロス地方のミアレシティに非常によく似ているのだが、彼らの中にそれを知っている者はいない。
キーラは掌握した世界を切り取り、それらを繋げてこの世界を創っている。このミアレシティもカロス地方から直に切り取ったものなのだろう。
彼らは一人いるファイターを第一に救うことを考えている。しっかり確認したのだが、ゲートの先にいるファイターには現状手が届かないので後回しにするしかない。合理的だ。救ったファイターは即戦力になる。人数が多いと言えないのがファイター達の現状だ。
とはいえ、スピリットの中にはファイター達とも負けず劣らずの実力を持ったスピリットだって存在する。
その一人のファイターの前に立ち塞がるスピリットにはマリオ、オリマー、カービィの三人で向かったのだが…
「あっ、戻ってきた… ってえっ! これどういうことだい!?」
「マルス… ははっ、アシストフィギュアにもいたジェフだっけか。すごく強くて…」
カービィとオリマーはフィギュアとなっていて、マリオも満身創痍。かろうじて勝てたのか魂となったジェフは平謝りだ。
「ファイターは目の前なのに… パックマン、次行けるかい?」
マルスの言葉にコクリと頷く。
ぐるっと塔を周ったパックマンの視界の片隅に、フィギュア化解除の光が映ったのとパックマンの手がファイターに触れたのは同時であった。
白い場所。壁には人型のシルエットが念入りにストレッチをしている。
『Wii Fit スタジオ』。ファイターの一人であるWii Fitトレーナーが使用しているトレーニングルームをイメージして、大乱闘用にアレンジしたステージである。そして、このステージもまた、他のファイターとの戦いと同じように『終点』の形となっている。
このステージと同じような、陶器の如く白い肌を持つファイター、Wii Fit トレーナー。白いオーラは兎も角、真っ白な肌にキーラの赤い瞳は非常に目立つ。
パックマンは両の拳を握りしめ、気合いを入れる。それを戦闘開始の合図と受け取ったのか、Wii Fit トレーナーは『ヘディング』で緑のボールを飛ばしてくる。
片足を上げ、体を逸らして回避。両手を回してバランスを取る。
『…!』
お返しとばかりにチェリーを投げつける。しかし、バウンドした場所で相手も避ける。
『フルーツターゲット』は切り替えの出来る技の都合上、隙が発生する。相手は体のことに詳しいスペシャリスト。あの隙があればすぐに立て直すことが出来るだろう。パックマンは肉弾戦に切り替えることにした。
『ヘディング』もまた、ボールを頭上まで上げる都合上、技発動までディナイが出来る。ならば、その柔軟な体で直接攻撃を仕掛ければいい。『腹式呼吸』をして、頭を落ち着けると同時に指先ひとつまで力が湧き上がってくるのを感じる。そして、姿勢のいい走り方でパックマンの方へ寄る。
不幸か幸か、両者の考えは一致した。
まずはパックマンの飛び蹴りがヒット。『腹式呼吸』のお陰で一瞬早く動いたのはパックマンだった。その場でピザ欠けパックマンで一回転。
『…』
次はWii Fit トレーナーの反撃、左足を左手で持って身体の後ろで上げる『ダンスのポーズ』。バランスを取るための右手に当たってしまい、Wii Fit トレーナーのターンはまだ続く。空中で体を折りたたむ『ジャックナイフ』にヒットし、さらにもう一度同じ技に当たる。
続いて上半身を傾けて、右足と右腕を一直線に伸ばす『片足バランスウォーク』を繰り出すも、シールドで何とかガードする。
『…っ!』
ガードして隙を作らせたパックマンは『パワーエサ』で軌道を描いて強襲。最後は上方向に進んだので上手く打ち上げることが出来た。宙返りしながらに蹴る『パックサマーソルト』を繰り出し、着実にダメージを稼ぐ。
対し、Wii Fit トレーナーは宙で脇に逸れて、これ以上の被弾を防ぐ。そのまま『太陽礼拝』を撃ってパックマンを牽制する。
元の世界で戦っていることが日常という訳では無いはずなのに強いな、と思う。
この異世界の強者に紛れて、己の身一つで戦い抜くことが出来ているのは、ひとえに彼女の性格によるものであろう。
同じタイミングでスマッシュブラザーズに参戦した身としては、彼女を見て、より頑張ろうと思ったのだ。
最初の頃こそ、彼女は負けてばかりだったのだが、その負けず嫌いな性格が影響してメキメキと力をつけ、徐々に勝ち数を増やしていったのだ。だからといって、大乱闘をドタキャンしての山籠りはやめてほしいが。
そんな頑張りやの彼女を見て影響を受けたファイターは少なくないだろう。
だから彼女は、いや、誰一人として欠けていい存在などいない。
『ヘディング』で飛ばしてきた緑のボールを蹴って返す。これは読んでいたのか駆け寄りながらのジャンプで躱されてしまう。
しゃがんで体を横にしながら、腕を伸ばして滑り込む『かんぬきのポーズ』。
パックマンの着地を狙った攻撃は流石に避けられない。そのまま掴まれて、『サーブ』で叩き飛ばされる。
『…』
飛ばされながらも空中で『フルーツターゲット』の切り替えを行う姿を注意深く観察するWii Fit トレーナー。止まったのは。
『…』
メロン。弧を描く軌道が特徴だ。大きな吹っ飛ばし力を持っているが、その分速度は遅い。
『…』
その攻撃を適当に繰り出す訳がない。
恐らくここぞという時に出してくる。それは、その特徴的な軌道で読めない時に狙うか、もしくは速度など問題ないほどに接近した時に撃ってくるか。
片腕を上に、もう片方を開いた足にくっつけてる『三角のポーズ』でパックマンを宙に上げ、頭の上で両手を合わせ、傾けた上半身を一気に反対側にする『三日月のポーズ』で追撃を図る。当たりはしたが、パックマンは脇側にそれていた。
『…っ!』
半端に空中の攻撃をしたのが仇となり、着地点にはパックマンの呼び出す『アカベエ』が待ち受けていた。
『…だっ…!』
それなりに吹っ飛ばされたが、溜めが少なかったお陰で命拾い。だが、まだステージの外だ。パックマンの追撃を空中回避し、何とかステージ上に戻ろうとするが、追撃を終え、一足早く戻ったパックマンが、『フルーツターゲット』、メロンを投げる。
『…!』
回避したばかりの彼女にはもう避ける手段はない。真正面からぶつかり、光となった。
共に帰還したフィギュアの台座部分に触れ、Wii Fit トレーナーを元の姿に戻す。
「う〜ん… ここは…?」
「トレさん! 平気かい?」
「マリオさん…?」
ファイター達はWii Fit トレーナーの名前を短く呼ぶ。トレーナーとそのまま呼んだり、マリオのように短くしたり。
彼女自身がそんな感じに呼んでほしいと頼んだからだ。単純に長いので誰だってそうやって呼ぶ。
「えっと… 私は一体… いえ、なんとなく覚えています。パックマンさん、ありがとうございます。そして、皆さんご迷惑をおかけしました…」
「気にしなくて大丈夫さ。みんなそうだった。」
「…はい。」
とはいえ、まっすぐ背筋を伸ばして体操座りをする彼女にいつもの快活さはない。それを見て、マルスは片膝を地面につけ、彼女に目を合わせて話した。
「トレさん。そこまで気にするなら、ずっとそう思っていても構わない。でも、まだ60を超えるファイターがキーラに捕らえられている。君みたいな思いをする人は後で何人もいるだろう。」
「…! そうですね。私がここでウジウジするのは簡単ですが、後の方達に失礼です。」
立ち上がって、右腕に左腕を重ね、右腕を伸ばす。そして腕を組み替え、左腕も伸ばす。
「私、頑張ります! あのキーラを倒し、再び私達の笑える世界を取り返さねば!」
軽いストレッチを行い、他のファイターを鼓舞する。
「先を急ぎましょう! 休んでいる暇などありません!」
「待ってくれ、トレくん! まだ疲れが…!」
「ぽよぉ〜…!」
姿勢よく走り出すWii Fit トレーナーを止めようとする、未だに座り込んでいるオリマーとカービィ。やれやれという表情で見つめるマリオとマルス。パックマンは手を頭の後ろで組んで、ニコニコと笑っている。
そう。このハキハキとした明るさがいつもの彼女なのだ。
トレーナー「まずはお腹のマッサージからいきましょう!」
カービィ「ぽうよ…?」
トレーナー「カービィさん… どうして胸を指して…?」
カービィ「ぽよ!」
トレーナー「もしかして… そこ… 胸なんですか!?」
トレーナー「次回!『マイナスから彼女の道は始まるのだ』」
トレーナー「ややこしい体してますね…! えっと… ならここの辺りでしょうか…?」
カービィ「ぷぅや!」
トレーナー「ここも違うんですか!?」