灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
「ただいま、何かあったかい?」
「ただいあ〜!」
マルスとカービィが見回りから帰ってきた。
時は丁度、オリマーがパックマンを救出した時期であった。
「パックマン! 君だったのか!」
パックマンは二人を見つけると大きく手を振る。そして、謝罪のつもりなのか、両手を前で組んでペコリと頭を下げる。気にしていないと一言伝えると、ニコッと笑ってサムズアップ。ゴー! というつもりで片腕を上げる明るい彼。いつもの彼が戻ってきた。
カービィとマリオも、拳を握り腕を上げて、ゴー! と合わせる。マルスとオリマーも頷いて同感の意を示す。
だんだんと仲間が集まっていく。今や、この世界に残された最後の希望。そしてファイター達自身の希望でもあった。
少し歩くと、大きな基地のようなものが見えてきた。マルスやカービィには少し慣れないコンクリートの壁。壁の周りを沿って歩いていくと門が見えてくる。
「ここは一体…」
「どこかの軍事基地にも見えるが… どうしたんだ? パックマン。」
門の前にあったのは、画面にLOCKと書かれたコンピュータであった。だが、マルスなど現代機械に馴染みのない者達はそれがよくわからなかったが。
とりあえずオリマーがアンロックに取り組んでみる。だが、彼もいうて機械に詳しいわけではない。
「すまない… さっぱりわからない。スネーク辺りに頼んだ方がいいだろう。」
「そっか… じゃあ仕方ないね。後回しにしようか。」
マリオが励ます。わからないのなら変に触らない方がいいだろうというのは、マリオにも分かった。
基地の周りをぐるりと回って森林地帯に着く。彼らを誘うかのように入り口らしき場所は開けている。
「しかし、ここまで露骨だと逆に怪しく思えてくるな…」
「さっきのキノコの場所といい、この世界は何もかもが現実味ないんだよね。あそこまで大きく育つのなら周りに幼生のキノコがあってもいい筈なのに。」
「確かに… 最初の方の遺跡みたいな場所も、辺りには何か建っていた跡もなかったね。」
意見を出し合う三人と、頭を使うのが苦手で会話に入れない二球。何か見つけたのか、どこかに歩き出すカービィとパックマン。他三人はまだ気づいていない。
「罠なのか、こういう世界を作りたかったのか知らないがこの森にも何かあるのは間違いなさそうだ。」
「恐らくね。でも、周りを回って大体の大きさを把握してからでも遅くはない… あれ、カービィとパックマンは?」
カービィが手を振っている。三人が気づくと、こっち! と言わんばかりに森の脇を通り抜けて走っていく。
「ストップ! カービィ!」
「どこに行くんだい!?」
カービィを追ってたどり着いたのは少しだけ拓けた場所であった。そこには緑色のスイッチがあった。
「スイッチ? 一体何のスイッチだろうか?」
「とりあえず目星がつくまではそっとしておこうか… 話聞いてた?」
カチリッ!
本当に話の聞かない球達だ。ピンクの体は飛び上がって、精一杯体重を掛けて、既にスイッチを押していた。
マルスは警戒をマックスにするが…
「何も起こらない…?」
「少しヒヤッとしたぞ…」
「いっぱい敵が降ってくるかなって思ったけど違うんだね。」
あからさまなスイッチに罠の可能性を疑ったのだが、どうやらそうでもないらしい。
「もしかしたらここではない、もっと遠くの場所で何か起きたのかもしれない。」
実際にマルスのこの推理は正解である。神殿へ向かう道のバリアが一つ剥がれている。だが、それを彼らが知る余地はない。
「緑があるなら、他にもあるかもしれない。みんなを助ける傍らで探しておこう。」
オリマーのこの発言で探し物が増えた。
因みに独断行動に走ったカービィとパックマンは後でしっかり怒られた。マルスの叱り方が子供を諭すような、良心を揺さぶられる叱り方だったおかげで最後二人は涙目だった。
カービィはともかく、パックマンが妻子持ちであると知った後、マルスが平謝りになったことを追記しておこう。彼に年齢という概念があるかは兎も角、確実にマルスよりは生きている。
「建物だ。」
「建物だね。」
「たてもにょ。」
「道場…かな?」
パックマンが顔、否、体を傾けて疑問に思う。言いたいことは全員わかった。何故、ここに道場があるのか。
ちなみに上から、オリマー、マルス、カービィ、マリオの順で発言している。
そして、入るなと言いたげな足止めスピリット。これを退けなければ建物内に入ることは出来ないだろう。
「さて、誰がいくか…」
「はあい!」
「カービィ行く? …えっパックマンも?」
カービィと同じタイミングで手を上げるパックマン。いつのまにこの二人は仲良くなったのか。
「やる気なのはいいことだね! じゃあ行ってもらおうかな。気をつけて!」
マリオの呼びかけに、二人は振り向き、手を振る。同時にオーブに触れた二人のワープが始まる。
Mr.ビデオゲーム、マリオ。彼が冒険した世界は両手で数えられないほどに存在する。ここもその一つだ。『マリオUワールド』。またもや彼の名前を冠したステージであり、冒険の道中を再現した大地や、クッパ軍団の妨害が特徴的なステージだ。今は形状こそシンプルなものの、足場がぐらつき大地が斜めに揺れる不安定なステージである。
「ぽよ!」
パックマンも相手を現認し、コクリと頷く。『レイガン』というアイテムを持った、千の顔を持つ武闘家。ルフレやカムイと同じく、伝承の曖昧な勇者の姿は、本人とはかけ離れたものであった。
一発目。『レイガン』の蛍光色に光る緑のエネルギー弾を左右に分かれて避ける。相手から見て、右にパックマン、左にカービィ。
カービィは前にダッシュし、パックマンは『フルーツターゲット』の切り替えを始める。二発目のエネルギー弾。これはカービィ が当たってしまう。三発目、四発目と続き、五発目で漸くシールドに成功した。
「ぽっ、ぽりょりょりょりょりゃあ!」
小さな拳から、フィニッシュの『バルカンフィニッシュ』。小さい攻撃はヒットしたものの、フィニッシュは決まらなかった。
「こーたい!」
『…っ!』
攻撃を終えたカービィは後ろに引き、相手の目の前には、宙よりパックマンが『消火栓』を落としてきた。放たれた水流に押され、崖際に寄せられた。ぐらっとステージが傾き、相手と消火栓の位置どりがとても悪くなっていく。空中でピザ欠けパックマンとなって一回転、そのまま、トラクタービームで相手を掴む。
『…っ!』
相手はそのままステージの外に投げられた。そしてパックマンの更なる追撃。『フルーツターゲット』のベルを投げた。
ベルには、当たった相手を痺れさせる効果がある。それは空中でも同じこと。その間落下はしないものの、そんな大きな隙を見逃すファイターではない。
空中での戦いに長けたカービィは、相手を追ってステージ外へジャンプ。回転しながら無理矢理相手を落とそうとする。
『っ…』
「ぷゆっ!?」
それほどダメージは溜まっていない。故にカービィの攻撃はとどめとなり得なかった。ステージに復帰しようと『天地キック』で飛び上がる。
しかし、忘れてはならない。戦うファイターはもう一人、パックマンがいることを。
崖へ向かう相手に対して、『消火栓』を落とす。復帰に全力を尽くしていた相手は避けることが出来ず、消火栓と共に奈落の闇に叩き落とされた。
スピリット、アタリメ司令を救出したファイター達は、奥にあった道場で、今後の方針を決めると同時に休息を取っていた。
「現状私達が行けるのは、森林と魔法の森のような森、そして町だな。」
「他二つよりは見渡しは良さそうだね… 僕は町に行きたい。」
「うん、問題ないよ!」
といった感じで作戦会議をしていると、おはぎを持ってきたアタリメ司令がやってくる。
『なんじゃおぬしら、あの変な奴倒しにいくんか? こんな姿じゃなきゃワシの竹筒銃で一発なんじゃが…』
「本来の姿でもやめたほうがいいです。キーラは簡単に倒せるような存在ではない。」
杖がわりにしている十四式竹筒銃を持つ手が震えている。この震えは別に恐怖ではなく、単純に老いからくるものだとなんとなくわかった。
『じゃあ、代わりに3号を探してくれんか?逸れたままこんなことになりおったのじゃ。』
「3号?」
聞き返すとアタリメ司令は非常に素早く、スケッチブックに絵を描いた。
「『探シ人求ム イカしたガールです』…?」
「この子ってインクリングだよね?」
「いやマリオ、ファイター登録名のインクリングはピカチュウみたいな種族名だ。あの子であるとは限らない。」
なるほど… と納得するマリオ。ちなみに既におはぎは完売済みだ。
「そろそろいこう。場所を貸していただきありがとうございました。」
『うむ。』
ファイター達が立ち去った後…
『ヌワッ!?ワシのおはぎがない!』
全て暴飲暴食なピンクボールと黄色玉の所為である。
見下ろす町にはまた、多くのファイターとスピリット達が存在している。動くことのない太陽が五人を照らし、これからの旅を暗示するような影を作っていた。
オリマー「すまない… さっぱりわからない。スネーク辺りに… ってなんなんだその『そりゃそうだ』と言いたげな顔は。」
マリオ「まあね、あんまり言いたくはないけどパーツにヒビ入ったから土で塞いだような人だしな〜」
オリマー「えっどうしてそれを!?」
マリオ「次回、『私、頑張ります』」
オリマー「マルス! 機械工学というものは意外と難しくてだな…」
マルス「金属だった物を土で修理なんて… 僕でもまずいってわかるよ。強度が全く違う。」
オリマー「マルスにすら言われた…」