灯火の星 〜The One Story of Ours〜   作:蘭沙

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オープニング 空が落ちたあの日
灯火の星


遥かなる大海の上空。そこに悠然と佇む化身に銃を構える。

 

 

「きょうこそ決着をつけてやる!!」

 

 

その銃を構えるのは人間にあらず。雇われ遊撃隊スターフォックスのリーダー、フォックスだ。

その後ろには73のファイター。かつては英雄だった、かつては宿敵だった仲間達。

 

彼らが立ち向かうのは、上空に浮かぶ化身。そして、その者に従うように浮かぶ無数の創造神。

 

 

「ひとりで10体ぐらい倒せればいけるか?」

 

 

冷静に敵の数を分析するのは、後の時代に英雄王として崇められる者。暗黒戦争と英雄戦争、2つの大きな戦乱の時代を生き延びた者、マルスだ。

 

 

「ここまで来たらやるしかないでしょう」

 

 

ハイラル王家の血を受け継ぐ王女、ゼルダ。その手の甲には知恵のトライフォースが宿っている。

 

 

「ボクたちならきっと勝てる!!」

 

 

仲間を信頼し鼓舞する天使、ピット。見た目はまだ幼さの残る顔だが、冥府の女王を二度も討った功績を持っているのだ。

 

 

 

 

 

─無数のマスターハンドを従え新たなる創世を狙う“キーラ”

 

 

全てのマスターハンドの白い姿が崩れ、青い光となっていった。

無数の創造神だったものは無数の光となってキーラに収束していく。

 

 

 

 

─反抗勢力であるファイター全軍との最終決戦は……

 

 

機神を断つ剣モナドを手に持つホムスの少年、シュルクの目が青く光る。モナドを手にしてから備わった、因果の流れを読み、未来の危機を見る力、『ビジョン』。

シュルクの目に映ったのは─全滅の未来。

 

全てを理解してしまい、勢いよく振り向く。

 

 

「みんな! 逃げ─」

 

 

 

 

─圧倒的な光に包まれて終焉を迎えた

 

 

キーラが変質した、深淵を覗いているような暗い穴。そこから数多の光の奔流がファイター達を襲う。

 

 

 

 

「ぐっ… うわああ!」

 

 

緑の服ではなく、先代達とは違う、青き英傑の服を纏った勇者リンク。

ハイラルの盾で一撃は弾く。振るった退魔の剣を光はふわりと躱す。

だが、三撃目の光に強く弾かれ、次の攻撃を防ぐことが出来ず、光の奔流に呑まれていった。

 

 

「リンク! くぅ…!」

 

 

光に呑まれていった戦友を気遣いながらも、攻撃をやめないサムス。宇宙最強のバウンティハンター。しかし、放ったミサイルを歯牙にもかけず彼女も光に呑まれていった。

 

 

『…!』

「はぁっ!」

 

 

ゼルダと共に迎え討つのは、人間の手により造られたいでんしポケモン、ミュウツー。それぞれ飛び道具を弾く力を持つ『ネールの愛』と『ねんりき』をくりだす。だが、光は二人を容易く呑み込んだ。キーラはファイターとしての力など軽く超越しているのだ。

 

 

「Hey! ピカチュウ、こっちだ!」

 

「ピッ…!」

 

 

光の奔流に占められた空の下、荒野を駆ける音速のハリネズミ、ソニックと電気を操るねずみポケモン、ピカチュウ。

短い手足で必死に逃げるピカチュウをほっとくことなど出来ず、ソニックは減速しながら手を伸ばした。

しかし、後ろから迫っていた光にピカチュウは呑まれていく。誰にも掴まられることのなかった手は宙においてかれ、後を追うかの如く、彼も光に呑まれていった。

 

 

「っ…! まさかっ…!」

 

 

周りを光に囲まれながらも、両手のラブイズブルーを放ち抵抗する、アンブラの魔女ベヨネッタ。直接狙ってきた光を『バットウィズイン』で回避するが、蝙蝠が集まり人の形に戻ったところを狙われ、呑まれていった。

 

 

「ゼニガメ、ハイドロポンプ! フシギソウ、ソーラービーム! リザードン、かえんほうしゃ!」

 

「その程度でくたばるワガハイだと思うな! がああっ…!」

 

 

チャンピオンを目指し、日々鍛錬を続けているポケモントレーナー、レッド。今持っている三体のポケモンに指示を出し、抗う。その隣で大魔王クッパも炎を吐く。正面から食い止めようとするが、まとめてやられてしまった。

 

 

「うおっ!?」

 

 

超一流F-ZEROパイロット、通称キャプテン・ファルコン。愛機ブルーファルコンに乗り逃げようとするも、乗り込む前に愛機ごと光に呑まれていった。

 

 

『来たか… なっ!?』

 

「コウッ!」

 

 

『みきり』をきめ、しのびポケモンゲッコウガの側に現れるはどうポケモンルカリオ。だが、避けた後の隙を突かれ、まとめて襲おうとする。ゲッコウガは宙に跳んで逃げたが、ルカリオは躱すことができず、ゲッコウガもまた、宙にて光に呑まれていった。

 

 

「地面を塗って… もう来たっ!?」

 

 

橙色のインクを大地に塗り、イカ状態になってやり過ごそうとするのはハイカラシティにてイカしたナワバリバトルを楽しむインクリング。この個体はオオデンチナマズを助けたヒーロー3号でもあるのだが、そんな肩書きが今、いったい何の役に立つのだろうか。

オレンジに染められた大地ごと光の奔流は彼女を貫いていった。

 

 

「チッ… 後ろか…ッ!」

 

 

元宇宙暴走族のヘッドであり、現スターフォックスのエース・パイロット、ファルコ。超高性能全領域戦闘機アーウィンに乗り込み空へ逃げ出すも、雲海の中に隠れた光線に右ウイングを撃たれ、避けていた後ろからの幾つもの光に呑まれていった。

 

 

「パルテナ様…」

 

「…うるせぇ、前見てろよ。」

 

 

青色の奇跡を翼に纏わせ飛ぶのは、ピット。そして、真実の魔鏡によって生まれた彼のコピーのブラックピット。

彼らの後ろにはピットが仕える、光の女神パルテナがいた。『飛翔の奇跡』により彼らを逃しながら、単独で時間稼ぎを試みた。『反射板』を展開させるも、キーラが放った光はパルテナを容易く呑み込んだ。

それによって奇跡の消えた翼は落ちていく。地面に叩きつけられそうになる前に、突き上げるような軌道の光は風を掴めぬ翼を呑み込んでいった。

 

 

「…っ!」

 

 

荒地に似つかぬ段ボール箱の中に身を潜め、息を殺しているのはソリッド・スネーク。伝説の傭兵と呼ばれる者。自ら正体を現してでの戦いでは、彼の全力は出せれない。並の相手ならばともかく、数多のファイターと共に戦い、それでも手も足も出ないキーラが、彼のことを見逃すことはなかった。

 

 

「ディディーさん、急いで!」

 

「キィッ!」

 

 

ここまでくると最早まともに勝てる相手ではないと、判断する者も多かった。この二人もそう考えたのだ。赤いベストに赤い帽子。とはいえ人ではない、チンパンジーのディディーコング。そして、ほうき星の天文台に住む魔女、星の子達の母、ロゼッタ。

それぞれ『バレルジェット』、『ギャラクシージャンプ』で空へ逃げるも、キーラの光を振り切れず、呑まれていった。

 

 

「どうしよ!? 来てる来てる!」

 

「クゥー…」

 

「こうなったら… 一か八か…」

 

 

すま村の村長であるむらびと。カモと犬、そして異次元の狙撃手のトリオという異色のファイター、ダックハント。人々に健康を教えるフィットネスの達人、Wii Fit トレーナー。元々戦いの世界を生きる者ではない彼らの目には絶望が映っていた。数多の仲間が敗れていって慌てる者、諦める者、最後の賭けに出る者。その全てを嘲笑うように、光は全て呑み込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別々の世界からやってきた多くのファイター。この世界の存在が無ければ、決して会うこともなかった者達が、敗れ、散っていく。

 

その上空。空を裂くかと思えるほどに速度を上げて飛ぶ一つの星。

宙を駆けるそれはワープスター。甲高い音を鳴らしそれを操り、乗りこなす者がいた。

カービィ。あきれかえるほどに平和な国プププランドに、はるかぜとともにやってきた旅人である。シュルクの警告を誰よりも早く受け取った彼はあの場から一足早く離脱していたのだ。

 

 

彼に迫る光の嵐はあの場にいた誰一人として逃す気などない。自らを襲う光を上へ左へ、螺旋を描き、躱すカービィ。

光の嵐が彼の視界を埋め尽くすほどに攻撃が激しくなり、ワープスターの星の音は徐々に高くなり───カービィは消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一つの世界が、全ての世界が。キーラの光によって包まれていく───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─かくして“この世界”はキーラの手に落ちた

─戦えるファイターは全滅した

 

 

 

実体のない魂だけの存在が、命の気配を感じられない荒地に寂しく浮いていた。

 

 

─他の者はすべて身体を失い“スピリット”と化した

 

 

 

刹那─きらりと光る星があった。

それは、ふらふらになりながらも主の離脱に成功したワープスターだった。

地面に激突したワープスターはまるで気力を使い果たしたかのように、弾けて消えていった。

ぽよんとひとつ。ピンクの体は地面を跳ね、大地に体を擦られながら、静止した。

重力のあるがままに力無く垂れた手足を動かし、立ち上がるカービィ。

 

 

─生き残ったのはたったひとり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─“希望の星”は混沌の中でか細くまたたいていた

 

 

星を閉じ込めたようなカービィの目には、継ぎ接ぎだらけになった“ひとつの世界”が広がっていた。

 

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