ジャニーズ事務所が7日、元社長のジャニー喜多川氏の性加害を認めて謝罪し、被害者への補償を表明したことについて、男性の性被害相談を専門にする心理カウンセラー、山口修喜(のぶき)氏は次のようにコメントした。
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ジャニー喜多川はグルーミングにたけていたとされる。彼のグルーミングとは、性的虐待を行うための支配関係を作るプロセスだ。所属タレントたちに夢を見させ、虐待はデビューするために必要だと慣れさせ、報酬を与えて支配し続けた。
喜多川の所業が、告発者がいながらも長く見過ごされたのは、芸能界ひいては社会全体が、彼の性加害に疑問を持たないようグルーミングされていたからだと感じる。
喜多川は日本を代表する芸能事務所の代表で権力者だった。周囲は、逆らわなければ、余計なことを言わなければ「丸く収まる」と考える人ばかりになっていったのだろう。男性の性被害が世間一般で女性と比べて軽く扱われてきたことも、見て見ぬふりをしやすかった背景だ。
今回、大きく問題視されたことで、やっと男性の性被害が認識され、社会がグルーミングされてきたことの異常さに気づき始めた。グルーミングはブラック企業で社員に疑問を抱かせず働かせ続けるなどの目的でも行われる。これは芸能界だけの問題ではない。(談)