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シリコンバレーのテック起業家の巨人としてイーロン・マスクやザッカーバーグと並ぶマーク・アンドリーセンのインタビュー。 シリコンバレーの成功者たちが、数年前までは民主党を支持していたのに急にトランプ支持に変わった軌跡が詳しく語られていて興味深いです。秀逸なインタビューなので、日本のメディアも翻訳して掲載するかもしれませんが、私なりの要約を載せてみます。 www.nytimes.com/2025/01/17/o...
【1950〜80年代】 シリコンバレーの経営者たちは、CEOなので普通に共和党支持だった。 その後、アメリカの経済が落ち込んで、日本に脅威を抱くようになる。
【1990〜2000年代】 アンドリーセンが大学を出てシリコンバレーで働き始める。まだ小さなスタートアップ。 民主党のクリントンとゴアはシリコンバレーの起業家やテクノロジーが大好き。テクノロジーでアメリカの経済を再興させたいとシリコンバレーの起業家を全面支援。 シリコンバレー起業家の多くは地方の小さな町の出身でダサくてオタク。民主党を支持することは、テクノロジーでビジネスマンとして成功し、リベラルなカルチャーを支持するイケてる人となること。キラキラ人生。その最高峰がスティーブ・ジョブス。 儲けたお金で税金払って社会貢献し、企業が成長すること=善。ソーシャルメディアは民主主義に貢献する=善。
【2010年代】 オバマ大統領第2期目ぐらいから変化を感じる。 Wokeカルチャーが広まり始め、企業に社会的な責任が求められるようになる。大企業となったテック会社には良い大学を卒業した優秀な大学生が勤めるようになるが、wokeカルチャーの人が多い。バーニー・サンダース支持。CEOであるアンドリーセンたちは従業員から責められるようになる。経営陣に白人男性が多い、ダイバーシティを進めるべき、炭素排出量を減らすべき、格差拡大はよくない、資本主義はよくない、米国はよくない、など従業員との会議が経営陣を吊し上げる場と感じられる。従業員は会社を内部から破壊しようとしているのではないかとの強い怒り。
(続き)2006年には資本主義は良いことだったのに、2013年には資本主義は悪とされるようになった、との怒り。 トランプ大統領が当選し、ソーシャルメディアにその責任がある、大統領選にロシアの介入があったのではないか、それにテック企業の落ち度があったのではないかと責められる。ザッカーバーグが国会の公聴会に呼ばれて謝罪する。 ソーシャルメディアの子どもへの影響、個人情報の扱いなどなど、すっかり悪者扱いされる。 米国やEU、その他各国政府からも責め立てられ、規制するとプレッシャーをかけられる。
(続き)暗号通貨へのプレッシャーと規制、暗号通貨を扱う会社が破産していくのを目の当たりにして大きな恐怖を感じる。次はAIを潰しにくるとの大きな恐怖。 自分の会社の従業員、メディア、社会、政府、全方面から責められて悪とみなされ、いじめられ、世間に謝ってばかりとの怒り。 政府の規制により会社は破産して自分たちのテクノロジーはつぶされるだろうとの恐怖。
【2024年5月】 アンドリーセン含むテック起業家数名が、AIへの規制を強めないでほしいとバイデン政権に相談しにいくと、コテンパンに叩かれた(と本人には感じられた)。AIは危険なので国家安全保障のためにも完全に国家の管理下に置く、自由な起業や開発など絶対に許さないと言われた(とアンドリーセンは受け取った。) 帰り道、お互いに顔を合わせて「トランプを支持しよう」と決意する。
【トランプ政権でのこれから】 テック巨大企業の人が何人もトランプ政権で働く。 トランプ政権のメッセージはただ1つ「アメリカを経済・テクノロジー・軍事全ての面で世界ナンバーワンにしたい。」そのために企業に規制をせず自由に活動させる。 アンドリーセンが目指すのもアメリカが世界のナンバーワンになること。アメリカがならなければ中国がなるから。目指すものが一致している。 シリコンバレー起業家がトランプ政権に求めるのは利権ではなく、とにかく自分たちを規制しないこと。センサーシップ(ソーシャルメディアの投稿内容のチェック)をすべきとのプレッシャー、政府の意向で規制のプレッシャーにさらされることは許せない。
Yuko Furuya
‪@yukofuruya.bsky.social‬
(続き)大企業の経営者が一番求めているのは経済的利益ではない。一番求めていることは、世間から「良い人」と見られること。メディアや世間で称賛され尊敬されること。どう見られるか。トップ経営者のパーティーでも、話題は「どうやって利益を増やすか」ではなく、「権威ある新聞で称賛されるには」ということばかり。 (政権に入ることで、無理めの政策を実現する責任を負わされ、負け試合なのでは?という質問に対し)自分たちはものすごい天才の集まりなので、旧来の政治家や凡人には想像もできない良いアイデアをたくさん持っているから大丈夫(自信たっぷり)。
January 18, 2025 at 1:25 PM
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【私の感想】 強い怒りと恐怖を抱えている。 スタートアップの小さい企業でテクノロジーが社会で大きな存在でなかった頃は、従業員や社会に大きな責任を問われることもなく、ファッションとしてリベラルなカルチャーを支持し意識高い系に見られたいぐらいの感じで民主党支持だったよう。 大企業となり、テクノロジーの持つ影響が大きくなって倫理や社会的責任を求められるようになると、そのことがいじめ、攻撃、不当な抑圧と感じられるようになり大きな怒りと恐怖を抱くようになる。 巨大テクノロジーの社会的責任を問うことは大切だと思うけど、経営者がルサンチマンを抱いて反動するのも健全ではないだろうし、どうしたらいいのか・・。
「強い怒りと恐怖を抱えている」というのは私ではなくてアンドリーセンが、ということです。