第33話 新世代
1544年(天文13年)5月 越後国 春日山城
季節も5月に入ると雪国である越後でもこの春日山城から望める山々の残雪も日に日に小さくなって行くのが判る、おれがこの春日山城に植えさせた桜も未だ若木では有るが今年も花を咲かせ今や満開である
城内に桜を植えさせたのは日ノ本の戦乱が無事収まった時には春日山城を観光名所として将来は別名桜山城とでも呼ばれる様な観光名所として入場料を取り立ててやろう、そういった目論見と、戦乱で荒んだ人々の癒しに少しでも為ればと云った願いもこめられているのだが・・・・
「もう一度言ってみやがれ!おぉん、舐めてんのか?」
「女の身で刀を持つなど、あなたこそ身の程を弁えられた方が良かろう」
「余り調子に乗ると綺麗な顔に傷が付くぞ姉ちゃん!」
「ふぅ~、逃げるなら今の内ですよ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
今日の春日山は荒んでいた
どうしてこうなった?
今日は俺の近習だった春日将次郎と工藤昌豊がもう兵を任せても大丈夫と云う位には成長したので俺の近習を卒業させ将次郎は五島新八の下に軍師として、昌豊は朝倉宗滴の下に小隊長として送った
結果俺の近習は美雪一人となった訳で新たに5人の近習を加える事になったんだ
本来近習と云うのは主君の身の回りの世話や警護を担当す者の事を言うが家の場合は少し違う、俺が見込みが有る若者を育てる為に傍に置く為に近習としている
今日はそんな新たに加わった見込みのある若者との親睦を深めようと城内の中庭で花見を催したのだ、俺が席を外すまでは和やかな雰囲気だったのだ、それが俺が少しの間所用で席を外していた間にこの有様である
俺はスゥッ~と木陰に隠れた
何故かって?
面白そうだからだ!
『よし、誰にも見つかって無いな』
そう思っていたら5人の近習の一人
騒ぎにの輪には入らず、一人我関せずで宴の食事を幸せそうに食べていた
凪と眼が合った
この娘やたらと勘が良いのである
しかし丁度良い、凪に事情を聞いて見ようと手招きすると
凪はトテトテって感じで嬉しそうに俺の所にやって来る
その姿はなんか子犬の様で可愛い
「どうしたの殿様?」
そう言って首を傾げる彼女の手には未だ食べかけのおにぎりが握られたままだ
そんな子供らしい凪だが実は俺より1つ年上の15歳だ小柄だからとてもそうは見えない、良くて小学校高学年程度だ
明るく活発な彼女だが生い立ちは結構ヘビーだったりする
彼女は先日あの腹黒坊主が拾って来た子供達の一人だ、父親は漁師だったらしくよくその手伝いをしていたそだが、石見の出身でやはり先年の大内と尼子の戦で住んでいた村が戦の勝者である尼子方の乱取りにあったようで
其処で妹と一緒に攫われた
他の家族の事は聞いてない
話をしていた時の凪の悲し気な表情で判ったから
因みに妹の碧はあの腹黒坊主の禿げ頭をナデナデしていた幼女である
そんな彼女だが俺が近習にと見込んだんだ
こう見えて当然只者では無い
名前:岸辺 凪 女
・統率:21/98
・武力:15/87
・知略:22/89
・政治:5/77
・器用:28/95
・魅力:22/79
適正:水軍 火器 指揮 直感
まだまだ未熟では有るが育てれば未来の海軍大将に為り得る才能の持ち主なのである、これからの成長に大いに期待している逸材だ
因みに苗字は無いと不便だったので俺が付けた彼女達が住んでいた村の名だ
「なぁ凪、あれは何があったんだ?」
騒いでる連中を指さして聞いて見る
「う~~ん、なんかよく判んないんだけどなんか誰が一番かどうかって言ってた」
ほぅ、大体予想通りだな、将次郎と昌豊が近習から抜けて残った近習は美雪だけ
其処に新たに5人の新人が入った、当然一番の古株は美雪となる
一番の古株の上実力も有る当然彼女が色々教えたり指導をしていたのだが
凪を除く4人にはそれが気にらなかったようだ
美雪は今年17となるが、他の4人より年下で、その上女性なのだ
今でこそ家には女性の兵は珍しく無くなったが
他国には女性の兵など先ずは居ない、この時代では
『女性が戦場に出るなどもってほか!男が女の下で働けるか!』
というのが常識で有るのだ
現代なら即差別だ!と糾弾される様な主張である
確かに戦に女性は向かないが例外も有る
それをこれから4人は身を持って知る事になる
確かに俺が近習に取り立てた奴等だ
腕も立つ後世にまで名が知られている程だからな
背中に金の竜の派手な刺繡の羽織を着た田舎のヤンキーの様な男が
名前:滝川 一益 男
・統率:48/89
・武力:67/83
・知略:49/81
・政治:12/71
・器用:62/85
・魅力:45/71
適正:火器 指揮 土木 築城
こないだ直臣にして小隊長格で頑張っている滝川一勝の次男坊、やっぱり織田四天王の一角で間違い無い、一勝はやっんちゃな息子を俺に預けるのを散々渋っていた、そりゃなんか息子がやらかせば親としての責任は免れんからな、まぁ気持ちは判る
最後は『何かやらかせば私が成敗致しますので』と言って送り出してきた、余程悪事を重ねてきたようだ、弱冠二十の血気盛んなお年頃である
そして片目に眼帯を付けた小兵の青年が
名前:斎藤 朝信 男
・統率:41/85
・武力:55/78
・知略:55/89
・政治:12/91
・器用:55/82
・魅力:41/78
適正:政務 指揮 土木 開拓
『越後の鍾馗』と呼ばれ謙信を政務、軍務の両面に渡り支えた男だ、武闘派の多い越後には珍しい政略も得意な貴重な人材である、能力を見ても政務にも使え軍師としても有能、その上兵も指揮できる万能タイプだ、弱冠17歳の伸び盛りである
父親は越後赤田城主で斎藤定信大殿の代から長尾家に仕えており現在は政務局で頑張ってもらっている
そして大柄で脳筋の雰囲気をぷんぷんさせているのは
名前:森 可成( よしなり) 男
・統率:54/75
・武力:73/90
・知略:58/75
・政治:19/42
・器用:57/80
・魅力:70/81
適正:槍 探検
可成君は今年に入って父親で有る可行に連れられ美濃から一族を連れて家に亡命して来た、話を聞くに森氏は代々土岐氏に仕えて来た家柄なのだが一昨年に
斎藤道三が土岐氏を追い出し美濃の実権を握った、それ以来道三に警戒された森氏は冷遇され嫌がらせを受けていたそうだ、あの蝮からだぞ?俺でも逃げ出す
いつ暗殺されるか判らん
能力的には見たまんまの脳筋タイプであるが、敵性に探検と有るのが気になった、可成君大海原に乗り出してみないか?
確か鬼武蔵や蘭丸の父ちゃんじゃないかな、最年長の21歳だ
そして最後の少し気取った男が
名前:秋山信友 男
・統率:45/83
・武力:58/88
・知略:51/81
・政治:15/75
・器用:57/80
・魅力:60/75
適正:騎馬 突撃 土木 築城
そう『甲斐の猛牛』と称えられるた猛将になるはずである秋山信友君弱冠18歳である、秋山家は代々武田家の譜代家老を務める家だったのだが、信友の父である現当主信任は今起きている甲斐の内乱で多くの家臣を失い田畑を焼かれその現状に嫌気がさしていた、そんな内情を知った俺は段蔵に秋山家の取り込みを命じたのだ、条件は嫡男信友を俺の近習に抜擢する事、当主信任を大隊長待遇で召し抱え家臣の雇用も保証した、俺の近習に抜擢されるって事は出世が約束された様な物だし
『秋山家を大事にしますよ』と伝えるのと同義だ
秋山家は長尾家に降る事を了とした
譜代の家老職の家までもが武田を見放し始めた
そろそろ武田も危ういな
こうして俺は後世までも名が轟くような名将たちを近習として新たに迎え入れる事が出来たのだ
「ねぇ殿様なんで隠れてるの?」
「おも・・奴等の成長を見守る為だな」
「ふ~~ん、なんか殿様楽しそうだね」
ほんと勘の良い娘である
俺と凪は木陰に隠れながら騒ぎを見守った
「何度でも申しましょう。あなた方如きが、新様の側仕を名乗る事すら烏滸がましい、身の程を弁えた方がよろしいでしょう」
「てめぇ!何様だこらぁ!」
「ほう、あなたこそ身の程を弁えるべきでしょう」
「姉ちゃん、それは調子にのりすぎだぜ!」
「仕方有りませんね、私の実力を見せてあげましょう」
この騒ぎの中心はやはり美雪である、明らかに4人を挑発している
美雪も4人が来てから時折イラッとした様子を見せてたからな
美雪は細身の美人で、家中にも彼女のファンは多いのだが
ああ見えて結構短気な上、もろ体育系の気質だ、序列やら上下関係をかなり気にする性質なんだよな
どうやら最初からこの期に新人達に上下関係を叩き込む心算の様だ
『私が最上位、お前達より上だ!』と
現に先程から美雪は俺達の潜んでいる辺りをチラチラと見ている、明らかに俺の存在に気が付いている
何より美雪の側に置かれた人数分の竹刀が予め美雪がこの事態を想定していたとを物語っている、明らかに確信犯である
真剣や木刀でなく大怪我をさせない為に竹刀を用意している事は誉めて置くとしよう
「ねぇ殿様、止めなくていいの?あの人達じゃ雪姉に勝てないと思うけど」
「まぁ良いだろ、あいつ等にも良い勉強になるさ」
「ふ~~ん、ホント楽しそう、殿様」
ホント勘の良い娘だ・・・
確かにあいつらでは美雪には勝てんだろうなぁ、美雪は幼い頃から俺と共に戦場を駆け巡って来た娘だ、毎日厳しい鍛錬もこなしてきた、そんな彼女は
名前:春日美雪 女
・統率:88/91
・武力:93/95
・知略:78/85
・政治:67/72
・器用:91/92
・魅力:81/85
適正:騎兵 弓 火器 指揮
逞しく成長している、なんか適正も増えてるしな
適性って増えてくんだな
最早軍長を任せても良いレベルで、この大きくなった長尾家でも
彼女と真面にタイマン張れる武士はそうは居ない、
柿崎景家や、小島弥太郎位でなかろうか?
そんな彼女を近習に置いておくのは勿体ないと思ったから
『軍長やってみるか?』
って聞いたんだけど
『絶対嫌です!』
と即答で断られた
結果現在美雪は俺の近衛部隊である白龍隊と呼ばれる女性部隊の隊長だ
部隊の命名も人集めも美雪が行った
何故女性ばかり?
と美雪に聞いたら戦場は男ばかりでなにかと不便なのだとのの事だった
そんな美雪が集めた女性は驚いた事に皆、弓や槍等の戦闘系の適正やら高い戦闘力を秘めた女性達だった、やっぱこの娘凄い、人を見極める素質迄持ち合わされてる
美雪に鍛えられたその500名の精鋭は今や長尾軍最強の一角を占めるまでに至っている、そして兵士達の憧れの存在となっているのだ
そんな美雪に喧嘩を売るなど鼠が猫に喧嘩を売るに等しい行為である
うん、若さって怖いよね
そんな彼等も長尾家の将来を担う新世代の貴重な人材である
そんな若者の成長と何よりも・・・無事を祈ろう
南無阿弥陀仏
そして絶対女王が誕生するとなった