米連邦最高裁 TikTok側の訴え退ける アプリ利用が実質禁止に

中国系の動画共有アプリ、「TikTok」をアメリカで実質的に禁止する法律をめぐり、アメリカの連邦最高裁判所は17日、一時的な差し止めを求めたTikTok側の訴えを退けました。

TikTokをめぐっては、中国の親会社がアメリカ事業を売却しなければ、アメリカ国内でアプリを実質的に禁止する法律が今月19日に発効することになっていますが、TikTok側は言論の自由の侵害で憲法に違反しているとして連邦最高裁判所に法律の一時的な差し止めを求めていました。

これについて、連邦最高裁判所は17日、「1億7000万人以上のアメリカ人のユーザーにとってTikTokが独自で、広範囲の表現の場を提供していることに疑いはない」と指摘する一方、憲法には違反していないとしてTikTok側の訴えを退けました。

中国の親会社が19日までにアメリカ事業を売却するのは難しいという見方が多く、実質的にアプリの利用が禁止される可能性も高まる中、アメリカの有力紙ワシントン・ポストは、トランプ次期大統領が、法律の発効を一時的に停止する大統領令を検討していると伝えています。

連邦最高裁判所の判断を受けてトランプ氏は自身のSNSに「私の決断はそう遠くない将来に下されるが状況を検討する時間が必要だ。注目していてほしい」と投稿していて、20日に大統領に就任するトランプ氏の判断が注目されます。

TikTok 19日に運用停止となる瀬戸際に

アメリカで、中国系の動画共有アプリ「TikTok」が19日に運用停止となる瀬戸際まで追い込まれています。

実質的にサービスを禁止する法律をめぐり、連邦最高裁判所が憲法に違反していないと判断したためです。

一方で法律の執行が先送りされる可能性もあり、その動向が注目されています。

法律が発効すると中国の親会社がアメリカ事業を売却しなければアメリカ国内でIT企業がアプリを配信したり、更新サービスを提供したりすることができなくなり、TikTokは運用停止の瀬戸際まで追い込まれています。

TikTok「サービスを停止せざるを得ない」

アメリカの連邦最高裁判所がTikTok側の訴えを退けたことを受け、会社は17日、コメントを発表しました。

それによりますと「バイデン政権が直ちに、最も重要なサービスを提供するプロバイダーに対して法律を執行しないと保証する明確な声明を出さない限り、残念ながらTikTokは1月19日にサービスを停止せざるを得ないだろう」としています。

TikTok チュウCEO「全力を尽くす」サービス維持に取り組む考え

TikTokのチュウCEOはコメントを投稿し「私たちは、このプラットフォームを毎日利用している1億7000万人以上のアメリカ人の憲法上の言論の自由を守るために闘ってきた。アメリカでTikTokを引き続き利用できるよう、解決策を見つけると約束したトランプ次期大統領に感謝したい」と述べ、今月20日に就任するトランプ氏への期待をにじませました。

その上で「TikTokは人々がコミュニティーを作り、新しい興味を見つけ、自己表現ができる場所であり、700万を超えるアメリカのビジネスが、当社のプラットフォームを利用して、新たな顧客を獲得している。このプラットフォームを繁栄させられるよう、全力を尽くしていく」と述べ、アプリの価値を強調するとともに、サービスの維持に取り組む考えを示しました。

トランプ次期大統領「私の決断はそう遠くない将来に下される」

トランプ次期大統領は17日、自身のSNSに「連邦最高裁判所の判断は予想されていたことで、誰もが、それを尊重しなければならない。TikTokについての私の決断はそう遠くない将来に下されるが状況を検討する時間が必要だ。注目していてほしい」と投稿しました。

ホワイトハウス報道官「トランプ次期政権に委ねる」

アメリカ、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は17日、声明を発表し、「バイデン政権は連邦最高裁判所の判断を待っていた。TikTokはアメリカ人が、引き続き、利用できるようにすべきだが、アメリカ、もしくは、国家安全保障上の懸念に対処できる所有者のもとにあるべきだ」としています。

一方で「タイミングを考えると、この法律の実行に向けた行動はトランプ次期政権に委ねるべきだということを政権として認識している」として、法律をめぐる対応は20日に発足するトランプ次期政権に委ねることになるという認識を示しました。

「ティックトッカー」も動向見守る

アメリカの連邦最高裁判所がTikTok側の訴えを退けたことを受け、アプリを使って頻繁に動画を投稿している利用者、「ティックトッカー」も法律が発効する19日を間近に控え、その動向を見守っています。

カリフォルニア州ロサンゼルスに住むネイサン・ハードさんは、俳優やコメディアンとして活動しながら、多いときには1日に50本の動画を投稿し、フォロワーの数はおよそ270万人に上ります。

ハードさんは、TikTokの魅力について、「文化や人種、考え方の多様性が豊かなところが好きです。それによって、お互いのことをもっと好きになれます。各国が一方的に見せたいものを見せつけられるのではなく、実際にその国に住んでいる人たちを見ることができるのです」と話していました。

ハードさんは肌などの色素が少ないアルビノですが、アプリで得た自身の経験について、「私はアルビノの黒人の存在すら知らなかった人たちとたくさん出会いました。今となっては、私は怪物なんかじゃないと知ってくれている人たちがいます。そしてそれはTikTok以外のアプリでは起こりませんでした。だから、TikTokがなくなってほしくないのです」と訴えていました。

そして、法律が発効する19日を間近に控え、「まだわからないことだらけで、不安を感じています。私が恐れているのはTikTokがなくなり、人々がもうこれ以上視野を広げようとしなくなることです」と話していました。

あわせて読みたい

スペシャルコンテンツ