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お試し版:魔法少女、ルビー・フェニックス

 ここはとある高校の図書室……。

 そこでブレザーを着た女生徒が夏の夕日が差し込む室内で、一人汗を流しながらトレードマークである茶色い髪のポニーテールを揺らしては閉め切られたその室内で本の整理を行っていた。


 別にその女生徒は図書委員と言うわけではな、自ら進んで本の整理を申し出たと言う訳でもない。


 そう、これはいわゆる授業中に居眠りをしていた罰なのだ!


 その女生徒である、あたし「桜井(さくらい) あかり」はつい現代文の時間に居眠りをしてしまい、それがバレたがためにその担当教員が図書室の管理をしていたこともあってその罰として図書室準備室の本の整理をさせられているのだ。


 確かに居眠りをしていたことは間違いない、そこの非は認めよう。


 しかしあたしから言わせれば、お弁当を食べた後の午後の授業で、しかも心地の良い風が入って来る窓際の席、トドメに現代文の教師の声は黒板の方を向いたまま殆ど振り向くこともなく、まるで眠りを誘うかのようなボソボソとまるでお経でも唱えるかのように小さな声で呟くものだから否が応でも眠りへと誘われてしまう。


 あたしは何とか睡魔に抗おうとした……が、それも虚しくあたしはいつしか眠りへと落ちた……。


 そして誰かに頭を叩かれて目を覚ますと、普段振り返ることも無いはずの教師が明らかに怒りながらあたしのすぐ横に立っており、手には出席名簿を持っていた。


 どうやらあれであたしは頭を叩かれたらしく、その後、罰として放課後に一人でこの教師が管理をしているこの図書準備室の本の整理をするように言い渡され今に至る……。


 それはいいのだが……。


「ふう……、まったく熱いわね……。それにしてもなんであたしが一人でやらなくちゃいけないのよっ!」


 あたしは思わず声を張り上げるもそれに答えてくれる者は誰もいない。


 確かにあの時居眠りをしていたのはあたしの他に何人もいたはず……!

 にも関わらず頭を叩かれた時に寝ていたのはあたし一人……。


 ホント、誰か起こしてくれればいいのにっ!


「もう……!みんな本当に薄情なんだから……っ!」


 あたしは怒りながら本を乱暴に本棚へと突っ込むと、その本棚の上へと乱雑に置かれ、埃まみれになっていた幾つもの本があたしへと落ちてきた!


「へ……?き……きゃあぁぁぁぁ……っ!?」


 あたしは埃まみれになりながらも尻もちをつくと同時に本の山に埋もれ、そこから頭を出すと同時にトドメと言わんばかりに一冊の本があたしの頭へと直撃する。


「あた……!もう……何なのよ……。今日は本当についてないわね……」


 あたしは手で周囲の埃を払いながらこの痛みの原因となった本を手に取る。


 それは埃まみれで何なのか全くわからなかったけど、埃を手で払うとそれは表紙が赤いだけで何もかかれてはいない分厚い本だった。


 何が書かれているのかなぜか気になったあたしは、試しにページをめくると見たこともない文字がびっしりと書かれていた。


「何なのよ、この本……?」


 普通ならここで本を閉じて適当に放り投げれば良いんだろうけど、読めないはずなのに不思議とこの先が気になる。


 ペラペラと何気なくページをめくっていくと、最後の方に一つのペンダントが入っていた。


 そのペンダントはフェニックスを(かたど)った赤いペンダントで、なせがコレにあたしは目を引かれる。


「ま……まあ……一人でコレだけの本の片付けをさせられているんだし?その手数料というか、お駄賃としてもらっておいても罰は当たらないわよね?」


 そう思いフェニックスの形をしたペンダントを手に取りを首へと付けると突然このペンダントが入っていた本とあたしの身体が光りだす!


「え……っ!?ちょ……!なにこれ……っ!?」


 まさか本当にペンダントを取った罰が当たったって言うの……っ!?


 本当に今日はなんて日よ……!


 そう後悔するも既に遅く、あたしは眩いばかりの光りに包まれたのだった……!



 ◆◆◆



 光が収まった頃、あたしは辺りを見渡すとそこは先ほどまでいた図書準備室ではなく屋外にいた。


 しかも、先ほどまで夕方だったはずなのにいつの間にか夜へと変わっており、周囲は暗く静まり返っている。


「ここは一体どこなのかしら……?」


 座り込んでいたあたしは立ち上がると、辺りを見渡す。


 暗くて良くは分からないけど、少なくともここが今まであたしが住んでいた街とは違うということだけはわかる。


 そして気がつけば靴は先ほどまで履いていた上履きのままで、手に持っていたはずの赤い本はいつの間にか消えていたが、首にかけているペンダントだけは残っていた。


「今何時なのかしら……?」


 半袖のシャツの胸ポケットからスマホを取り出すもなぜか圏外。

 それを見たあたしは目を疑った。


「え……?今のこの時代でスマホが圏外のところってある……っ!?」


 ここがどこかの山の中とか洞窟の中とかならまだわかる。

 しかし、ここはどう見ても街のど真ん中。


 そんなところでスマホの電波が届かないところがあるなんて信じられなかった。


 それともどこか未だにスマホとかが無い外国にでも飛ばされたとでも言うの……?


 しかも驚いたのはそれだけではない、今の時間すら消えてしまい今が何時なのかすら分からない。


「……兎に角辺りを歩いてみるしか無いわね」


 どこか見知らぬ所へと飛ばされた、そんな夢みたいな話を否定する証拠を探すかのようにあたしはひとまず見知らぬ夜の街中を一人歩くことにする。



「本当に誰もいないわね……」


 辺りを歩き回ってどのくらいが経っただろう……、誰一人として人の姿が見えない。

 いや、見えないのは人だけではない、電気の明かりすら見えない。


 声を出しながら歩けば誰かしら出てくるかもしれないけど、見知らぬ地で下手に声を上げながら歩くのは危険な気がする……。


 誰かいないのかという気持ちと、誰も出てこないでほしいという相反する気持ちを抱えながら夜の街を一人歩いていく。


 さらに歩いていくと広間のような所へとたどり着くと、そこには街の地図が書かれた案内板だろうか、一つの大きめな看板が目についた。


 これを見れば何かわかるかもしれない、そう思いながらその看板へと近付くとそこには見覚えのない文字が書かれていた。


 いや、正確には一度だけ見たことがある……この文字はあの赤い表紙の本に書かれていた文字と同じくものだった。


「えっと……ここはルナリアの街……ああ……、エルフェリア王国と言う国の首都なのね」


 看板に書かれている街の名前を読むとまるで聞いたことのない国名と街の名前だ。


 ホント、ここどこなのかしら……?


「……て!ちょっと待ってっ!」


 地図看板を見た後さも当たり前のようにこの場を去ろうとしたあたしは一つの違和感に気が付いた。


 そう、さっき図書準備室では読めなかったはずの文字が今はこうして読めるのだ……!


「文字が読める……。これって一体どういう事……?」


 あたしは戸惑いながら改めて看板をマジマジとか見つめる。


 確かにこの文字は見たこともないし全く知らない文字……。

 にも関わらずなぜかあたしはこの文字を読める。


「どうして……?どうしてあたしはこの文字を読めるの……?」


 訳が分からなかった。


 まさか……ここは異世界って事……?


「いえ……何を言っているのあたしは……そんなはずはないわ、そんなはずは……」


 頭を横へと振って頭に浮かんだ仮説を必死に否定しようとするも、この見知らぬ街に来てから今までの事全てがそれを肯定しているかのようにしか思えなかった。


 電波の入らず時間も分からないスマホ、見知らぬ街、そして極めつけはこの見たこともない文字……。


「まさか……本当にここは異世界だって事……なの……?」


 あたし、桜井 あかりは異世界へと飛ばされた……。


 産まれてからこの17年の間、これほど驚いたことはない。


 普通なら騒ぎ立てそうな気もするが、ここまで予想外の事態に陥ると人はかえって何も出来なくなるようだ……。


 あたしは一人ただただ看板に手をついて立ち尽くしていると、ここから少し離れた所で幾つもの何かの灯のようなものを見た。


 それが見えた時、あたしは驚いた。

 しかもそれは懐中電灯やLEDなどではなく、火の光だ。


 それは少なくとも誰かがそこにいるということを意味していた。


 そしてその複数の灯りはあたしの方へと近づいてきているのがわかる。


(ど……どうしよう……)


 それがこの見知らぬ地で人と思われるものを見た最初の感想だった。


 人ならここがどこかのか聞けば少なからず教えてくれると思う。

 でも、反対にその何者かから襲われるという危険もはらんでいた。


 ここは街の広場とは言え、人が全くいない。


 もし相手が男性だった場合、押し倒された上に性的な暴行を受ける可能性も決して低くはない。

 それどころか誘拐されてそこで相手の気が済むまで犯されるという可能性も無いわけではない。


 そう思うと思わずあたしの脚が恐怖で震える……。


(で……でも……ここがどこなのかを知りたいのは事実……、もし襲われそうになったら大声を出せば誰かしら出てきてくれるかもしれない)


 あたしは意を決すると逃げるのではなく、ゆっくりとだが逆にその灯りの方へと自ら歩み寄っていく事にした。


 灯りの方へと近付くにつれ、緊張のあまりあたしの心臓が煩いほどに高鳴る……。

 口の中がカラカラになっているのとは対照的に手のひらからはじっとりと汗を掻き、額からも冷や汗に似たものが流れる……。


 そして、向こうからは足音……というよりはガシャガシャとまるで金属音のような音が聞こえてくる。


 まさかロボットとか言うんじゃないでしょうね……?


 あたしは息を呑みながらさらに近付いていくとぼんやりとだが、段々と相手の姿が見えてくる。


「そこにいるのは誰だっ!?」


 突然話しかけられた。

 声からして若い男性のようだ。


 男性……そう認識したあたしは思わず身体が強張る……!

 もしかしたら襲われて犯されるかもしれない……。


 そう思うとあたしの脚がガクガクと震えだす。


「ひ……人に何か尋ねる時は自分から名乗るのが礼儀じゃないのかしらっ!?」


 あたしは声を上擦らせながらも勇気を振り絞って相手の男性へと言い放った。


 しかし、正直に言うと凄く怖い……この言葉が相手を刺激して襲ってくるという可能性も否定はできない。

 本当なら今すぐにでも逃げ出したいのだけど、今も尚震える脚は言う事を聞いてくれそうもない。


 しかし、その男性は襲いかかってくるわけでもなくゆっくりとした足取りであたしへと近付いて来る。


「その声は女か……?」


 ようやく相手の姿が見えるほどまで近付いてくると、そこにはまるで騎士のような格好をした男性で、歳は20代半ばくらいだろうか、黒っぽい髪をして、身体には鎧を身にまとい、手には松明を持っていた。


 さっきからガシャガシャと聞こえていたのはこの音か……。


 さらによく見ればその男性の後ろを数人の兵士のような人達の姿まである。


「そ……そうよ……!悪い……っ!?」


 あたしは未だ身体を恐怖で震わせながら精一杯の虚勢を張る。

 この人がまだ何者か分からないのだ、まだ安心はできない。

 もし取り囲まれようものなら何をされるか分かったものじゃない。


「……こんな夜更けに一人でなぜ歩いている?」


「い……いいでしょ、そんな事は!それよりあなたは誰っ!?」


「人に物を尋ねる時は"まずは自分から名乗るのが礼儀"、じゃなかったのか?」


 先ほど自分が言った事をそのまま言い返され思わず言葉を詰まらせる。


「……あたしはあかり。桜井 あかりよ」


「あかり……?聞いたことのない名だな。どこから来た!」


「そ……その前に今度はそっちが名乗りなさいよ……!」


「……レオナード、レオナード・アイゼンハートだ」


 あたしが聞くとその男性、レオナードはやや無愛想な感じで答えるとさらにあたしへと近付き、彼の後ろにいた兵士と思われる人たちがあたしを取り囲む。


 精神的な威圧感を感じたあたしは今まで以上の恐怖を感じ、ガクガクと身体を震わせる。


「さて、アカリ……だったか、お前は何者でどこから来た!何が狙いだっ!?」


 レオナードは怒鳴りながらあたしの腕を掴む。


 その力はとても強く、つかまれた所に痛みを感じる程だ。


「痛い……!痛いから離して……!離してよ……っ!」


 あまりの痛さにあたしは何とかして掴まれている腕を振りほどいて逃げようとするも、レオナードの力はとても強く、あたしの力では振り払えない。


「お前は最近街を騒がせているミッドナイト・ミラージュという連中の一人か!」


「そんなの知らないわよ……!いいから離してよ!誰か!誰か助けてっ!あたしこの人達に犯される……っ!」


 レオナードは更に力を込めて掴んだあたしを引っ張ろうとするもあたしはそれに抵抗をするかのように大声で喚き散らす。


 そのミッドナイトなんちゃらって何よっ!?

 こんな事になるのなら大人しく逃げれば良かった!


「こら……!なんてことを言うんだお前は……!」


 喚き散らすあたしの口をレオナードは慌てて塞ごうとすると、空から一筋の光があたしたちのすぐ近くへと差し込んだ。


 そして光が収まると、そこには一人の若い女性とその隣に何か大きなスライムのようなものがあった。


 あたしはそれを見て驚きのあまり声を失った……。


 それは別にいきなり女の人が姿を現したからと言うわけではない。

 いや、実際いきなり光の柱が現れそこから人が現れれば十分に驚くべき事なのだとは思うのだが、問題はそこではない。


 あたしが一番驚いたこと、それは突然現れた彼女の姿だった。


 髪型は金色の髪で頭の左右には縦ロールの髪型。

 あとは変に凝った形の肩にはショルダーガードを着け、背中にはマントを羽織っていた。


 そこまでは良い、問題はそれからだ。


 服装はと言うと、そこが一番の問題で胸と大切なところだけ(・・)を隠した、まるでビキニのような格好……。


一言て言えばビキニアーマーを身にまとった女性だったのだ!

 痴女だ……、この人はきっと痴女だ……!


「お前は……テアーズ・フィアーレス!」


 しかし、レオナードは動じることもなく当たり前のように剣を抜くとその女性へと剣を向ける。


「おーほほほほ……!この私テアーズ・フィアーレスが現れた所に出くわすなんて何とも不運な人達がいたものですわね!」


 「テアーズ・フィアーレス」と名乗ったビキニアーマーの女性は自らの格好を恥ずかしがるどころか高笑いをしながら堂々と立ち、マントをひるがえしてみせた。


 もしかしてこの女性はいつもあの格好で来ているの……?

 やだ……恥ずかしくないのかしら……?


「ここにミッドナイト・ミラージュの幹部、テアーズが来たということはやはりこの女は奴らの仲間か……!」


 レオナードはあたしをキッと睨みつける。


 ち……ちょっと……!

 あたし無関係なんですけど……っ!?


「はあ?そんな小娘、どこの誰だか私は知りませんわ。そんなことよりも、ゆけスライム・センティネル!この者たちを始末しなさいっ!」


 テアーズの言葉に従うように彼女の隣りにいたスライム、「スライム・センティネル」は幾つも分裂をすると分裂をして小さくなったスライム一つ一つが兵士立ちへと襲いかかる!


「なんだコイツは……!」


「くそ……!攻撃が効かない……っ!?」


「がは……!て……手ごわい……!」


 相手はスライムだからか兵士の持つ武器は全く通用せず、逆にスライムは一部身体を硬化させてはその硬くなった部分で兵士立ちへと襲いかかる。


「くそ!テアーズめ……!厄介な魔物を……!おい邪魔だ!どいてろっ!」


「きゃあ……っ!?」


 そしてそのうちの一体のスライムがレオナードへと襲いかかってくると彼はあたしを突き飛ばして剣を構える。


 一方のあたしは突き飛ばされて地面へと倒れてしまった。


「緊急事態なのはわかるけど突き飛ばさなくてもいいでしょっ!?」


 あたし非難に満ちた声をあげてレオナードを睨むも彼は全く気にしていない素振りでただ迫りくるスライムへと視線を向けていた。


「うるさい!邪魔だからさっさとどっかに行け!」


 しかし反対に怒鳴り散らされてしまう。


 ど……どっかに行けって言われても……。


 は辺りを見回すもそこには倒れた兵士とあたし達を取り囲むスライムばかりで逃げ道はどこにもなかった。


 いや、それどころか兵士達を倒したスライム達がジリジリと詰め寄りあたし達を包囲する輪を縮めようとしていた。


「もう……!今日は最悪よ……!本当になんて日なのよ……っ!」


 あたしは崩れるようにその場へと座り込むと自らの運命を呪った。


 本当に今日は散々な日だ……。


 居眠りをして先生に怒られるわ、罰として図書準備室の整理をさせられるわ、棚から本があたしへと落ちてきて頭を打つわ、挙句の当てに見知らぬ異世界に飛ばされて絶体絶命のピンチ……!


 もう本当に一体何なのよ……っ!


「お前まだ居たのか!邪魔だからさっさと消えろと言っただろっ!?」


「こんな状況で一体どこに逃げろって言うのよ!」


「自分で考えろ!」


 あたしたちが言い合っている間にもスライム達はにじり寄ってくる……。


「もう本当に最悪よ!あたしは17年の生涯をこんな見知らぬ土地で終えるんだわ!しかもよりによってこんな最悪な男と一緒に死ぬなんてもうあんまりだわ……っ!」


「そう……それでしたら、早いとこその最悪の人生に幕を下ろして差し上げましょう。ゆけスライム・センティネル!その二人を始末しなさい!」


 テアーズの言葉にスライム達が一斉にあたし達へと襲いかかってくる……!


 も……もうダメだ……!


 そう思ったその時、フェニックスのペンダントが赤く光り輝いた! 


 な……何なのよこれ……っ!?


 突然フェニックスのペンダントが赤く光だしあたしは戸惑う他無かった。


「おい!なんだそれは……っ!?」


「し……知らない……、こんなのあたしだって知らないわよ……!」


 光るペンダントに困惑しているとフェニックスのペンダントから突然炎が噴き出すと、渦となってあたしを包み込む!


「きゃあぁぁぁぁーーーー……っ!?な……何これ……っ!レオナードお願い!助けて……!」


 あたしは助けを求めるようにレオナードへと手を伸ばすが彼はただ戸惑うばかりであたしが伸ばした手を掴もうともしてくれない。


 ああ……やっぱりあたしはここで死ぬんだわ……。


 しかし、その炎は着ていた制服を燃やし尽くすとあたしの身体へとまとわり付き、新しい服を形成していく。


 それは靴に、下着に、スカートに、そして服へと変わっていきあたしの髪を赤く変えると炎のリボンが髪をポニーテールへと束ねていく。


 そして最後にハート型の赤い宝石のようなものが胸へと着くと、それからマントのようなものが現れる。


 そして炎が収まった時、あたしは赤を基調とした服を身にまとっていた。


 それはまるでテレビで見た魔法少女のような姿にも似ている。


「こ……これは一体……」


「小娘の姿が変わった……?あなたは一体何者なんですの……っ!?」


 テアーズの言葉にあたしは「桜井 あかり」だと答えようとすると、今のあたしの姿の名だと言わんばかりに別の名前が頭に浮かぶ。


「あたしは……あたしは魔法少女、ルビー・フェニックスっ!」


 ルビー・フェニックス、それがあたしの頭の中に浮かんできた名前だった。


「ルビー・フェニックス……?何だかわかりませんけど、スライム・センティネル!あんな小娘さっさと倒しなさい!」


 一度はあたしを包んだ炎の渦で弾き飛ばされたスライム達だったが、再びあたしへと襲いかかってくる!


「きゃあ……っ!?」


 あたしは思わず横へと飛んでスライムの攻撃を避けるもスライム達は執拗に何度も襲いかかってくる。


「おい、お前逃げてばかりじゃなくて少しは戦え!」


「そ……そんな事言われたって……!」


 逃げ回ってばかりいるあたしにレオナードから激が飛ぶも戦い方を知らないあたしには逃げ回る他手がなかった。


 しかし、その時頭の中に戦い方が流れ込んでくる。


「おーほほほ……っ!ルビー・フェニックスとか言ったかしら?どうやら逃げ回るしか能がないようてすわね。……スライム・センティネル!そんな小娘一人にいつまで掛かっていますのっ!?さっさと倒しなさい!」


 テアーズの指示でスライム達が一斉にあたしへと飛びかかってくる……!


「そんなもの……!たあっ!」


 あたしはスライムへとパンチを放つがその拳にスライムがまとわりつく!


「げ……!」


 しかもスライム達は集まるとあたしの全身を包みこんで行く。


 あたしは何とか抜け出そうとするも手と脚の部分を硬化させられ全く動かせない……!


「く……くう……!動けない……!」


「さあ、トドメよ!スライム・センティネル!その小娘の顔も覆って窒息させておしまい!」


 そしてスライムによってあたしの顔まで覆われると息ができなくなってしまう……!


 このままでは……やられる……。

 でも……どうすれば……!


 と、その時ルビー・フェニックスの必殺技と思われるものが頭の中へと浮かんでくる。


 これを使えって言うの……?

 でも、迷っている暇はないわ……!


「フェニックス・エンブレイス……っ!」


 あたしは頭に浮かんだ技を使うとあたしの身体を炎の渦が包み込み、スライム・センティネルを燃やし尽くした。


「そんな……!スライム・センティネルがあっさりとやられるなんて……!」


「次はテアーズ・フィアーレス、あなたの番よ!」


「く……!今日のところはこれで引くことにいたしますわ!ルビー・フェニックスあなたの名前は覚えましたわ!次は覚えてらっしゃいっ!」


 あたしはテアーズへと走ると彼女は自身のマントで身を包むと捨て台詞を吐いて消えてしまったのだった……。

短編のお試し版なのでここまでです。

反応が良ければ続きを考えます。

悪ければ書きません

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