大津地裁

大津地裁

滋賀県彦根市

滋賀県彦根市

 滋賀県の彦根市立病院の医師が適切な対応を取らなかったため、頭痛で受診した滋賀県在住の高齢女性が高度意識障害などの後遺症を負ったとして、女性と家族が滋賀県彦根市に約5800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、大津地裁であり、池田聡介裁判長は同市に約5千万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は2019年4月、頭痛を訴えて同病院を受診し、2日後に再び頭痛で救急搬送された。医師はいずれも解熱鎮痛剤などを処方して帰宅させた。2回目の受診の翌日に女性は意識障害を起こして救急搬送され、慢性硬膜下血腫などと診断されて手術を受けたものの、高度の意識障害や四肢のまひなどが残った。女性は提訴後の22年に老衰で死亡している。

 池田裁判長は判決理由で、「(救急担当医は)CT検査を実施した上で、脳神経外科の医師に相談すべき注意義務があった」と指摘した。その上で、遅くとも2回目の診察が終わるまでにCT検査をしていれば緊急手術が実施されて、後遺障害を回避することができた可能性が高いと判断した。