(cache)のりまきからさくらへ～あわさくらの性別移行記（あわ☆さくら） - 【06】紀寿の高等学校生活～複雑な人間関係と"男"になりゆく自分の姿に葛藤を覚えながら～

　時は進み、２００５年。　大泉首相が郵政民営化を公約に掲げ、大勝を収めたり、堀崎隆史氏率いるヘブンズ・ドア社による企業買収が話題にあがったころの話。　紀寿は、東峰学園附属中学校を同年３月に卒業して、同学園の附属工業高等学校に内部進学しました。　なお、通っていた中学校と高等学校は、同じ建物・同じフロアの中にあるという比較的珍しいつくりの建物であり、顔なじみの中学校に後輩とも顔を合わせることもありました。　そして、中学校から内部進学したクラスメイトの他、高等学校から入学する生徒も加わり、より人間関係が複雑化していくこととなります。　概ね、外部入学の生徒は、公立中学校からの進学者が多く、そのうちの約３０％前後は気性の荒い性格のある生徒だったと記憶しています。　外部の生徒と内部の生徒が何らかの形で　まず、当時、鉄道・蒸気機関車同好会という高等学校の部活動がありました。　中学校の鉄道模型部を卒業した先輩が行き着く"天下り先"ながら、外部から入学した高等学校の生徒も参加する部活動です。　前項で登場した"月島の先輩"が部長を務めていた由、一時は入部を断られましたが、顧問の説得などもあり、辛うじて入部許可をいただき、１人の部員として活動をすることになりました。　しかし、高等学校ならではの人間関係の複雑化がゆえに、内部進学・外部入学の先輩かたから"お前は、ミニSLの雑用だけしてろ"・"模型の制作を任せない"・"ミニSLは運転させないからな"と集団で圧力を受けたり、暴言を吐かれるなどの差別的扱いを受けました。　言うならば、中学生時代とは比べものにならないほどの、心的にも苦しい状況に置かれることになったのです。　また、クラスを見渡すと全員男の子、そして自らも男の子。いじめや暴言も日に日に高まりゆく状況。　本当は、"脳や心は女の子"なのにそれを吐き出せない"高等学校特有の集団心理"にも心悩まされました。　さらに、高等学校の学年が１つずつ進むにつれ、身体も男性としての特徴がよりはっきりと現れるようになりました。　夢の中では、あわびと乳房のある女の子なのに、朝起きると濁った液体が下着についていたり、次第にゴツゴツとした姿になる身体、高等学校３年生のころからはひげが生えるなど"男になりゆく自身の身体の変化"にも"私の望む (女の子の)身体じゃない"という強い違和感を抱かせつつ、３年間の高等学校の生活を過ごしていきました。

【06】紀寿の高等学校生活～複雑な人間関係と"男"になりゆく自分の姿に葛藤を覚えながら～

コメント

同じジャンルの新着･更新作品

読者のおすすめ作品