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『挽肉と米』の海外展開で味わった難しさと、現地チームとの深い絆

2023年7月、『挽肉と米』は台北中山に初の海外ライセンス店舗をオープンしました。オープンに際し、ブランドコンセプトやオペレーションを現地チームに伝達するコーチングスタッフのひとりが、2022年3月に入社したばかりの岩崎宙(いわさき・そら)です。

なぜ『挽肉と米』で働こうと思ったのか。海外出店の経験を通して、どのようなことを感じたのか。 挽肉と米のCEO、山本昇平(やまもと・しょうへい)も同席のもと、岩崎に話を聞いてみました。


自分を見つめ直す中で辿り着いた理想像

ー 台湾の話を聞くまえに、宙さんのこれまでについて話を聞かせてください。『挽肉と米』の前はどんな職場で働いていたんですか?

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岩崎:もともと高校は調理学校に通っていて、フレンチを専攻していました。料理することが大好きで、自分が得意でなかった和食を勉強したいと思い、卒業後は和食の世界で修行しようと決めました。

最初の就職先は懐石料理の料亭で、2年ほど厨房で働きました。自分の得意とする料理を極めて、料理人としてのし上がっていきたいと思っていて、修行に勤しむ毎日でした。

ただ、そうやって働いているうちに、自分は何のために料理をしているのか、わからなくなってきたというか。一度、自分を見直したいと思うようになってきたんですね。それで、日本から離れて、海外でリフレッシュしようと思い立ち、オーストラリアのシドニーで暮らしはじめました。

でも、結局は海外でも寿司屋さんで働いていて、やっぱり料理が好きなんですよね(笑)。ただ、その海外のお寿司屋さんは、僕がそれまでに働いていた料亭とは全然違っていて、そのギャップにすごく衝撃を受けました。

ー どんな違いを感じたんですか?

岩崎:
僕がいた料亭は、和食の世界にありがちだと思いますが、すごく上下関係が厳しかったんですよ。職場の空気もすごくピリピリしていて、良くも悪くも緊張感のある職場でした。

一方、シドニーの寿司屋さんは和気藹々とした雰囲気で、料理長もすごく気さくで、スタッフみんなが楽しそうに働いている。日本でもそういう飲食店はあると思うんですけど、僕にとってはすごく新鮮で、それがとても気持ちよかったんですね。

当たり前のように聞こえるかもしれませんけど、楽しく働けるって、すごく大事なことなんだと気づきました。大好きな料理でお客さまを喜ばせて、働いているみんなも楽しい。そういう仕事を自分はしたいんだなと思いました。

日本に帰ってから仕事探しをする際には、そういう働き方ができそうな職場という軸で、色々な求人を見ていました。その中でビビッと来たのが『挽肉と米』です。

ー 『挽肉と米』のどんなところに惹かれたんですか?

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岩崎:ネット上にあった『挽肉と米』の動画を見たんですが、「これだ!」と思いました。僕と同じくらいの若い人たちがイキイキと働いていて、メンバー同士の雰囲気もすごく親しげな雰囲気で、一瞬で惹かれていきました。

また、求人を見ると、海外出店を積極的に行っていく旨と、海外出店の際に現地で活躍したいと考える人材を大歓迎といった旨が書かれていました。シドニーでの経験によって海外で働く面白さを知り、これからの仕事でも海外に関わっていきたいと思っていたので、その一文はすごく魅力的に映りましたね。

他人のいいところを観察し、自分に取り込む

ー 宙さんの採用面接は山本さんが担当しましたが、当時の宙さんの印象はいかがでしたか?

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山本:『挽肉と米』では海外展開をオープン前の構想段階から視野に入れていましたが、英語が話せたり、海外経験があるスタッフが当時はいなかったんですよね。だから、宙くんが面接に来た時、「ついにそういうスタッフがきてくれた!」と思いました(笑)。

宙くん自身も、『挽肉と米』というコンテンツを世界中に広げていくことに貢献していきたい意欲が高くて、僕らの目指していることとすごくハマりそうだと感じました。

一方、『挽肉と米』ではひとつのメニューを繰り返し調理していくことになるので、「その点については大丈夫?」ということは繰り返し確認させてもらいました。「料亭と違って、料理を幅広く勉強していくような場所ではないよ」とか。

ー 宙さん自身、その点はいかがでしたか?

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岩崎:僕としては、全く気にならなかったですね。様々なメニューを料理したいというより、色々な工夫を凝らして、より良いものを提供していくのが好きなので。

『挽肉と米』が提供しているものはシンプルですけど、そこに絶対的なゴールはないじゃないですか。そこにずっと集中できるのがいいなと感じていました。

ー 入社後しばらくは『挽肉と米 渋谷』でスタッフとして働かれていたんですよね。山本さんから見て、宙さんの働きぶりはいかがでしたか?

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山本:宙くんはひとつひとつのことをキチンと丁寧にやっていくんですよね。元々の気質なのか、和食の世界でやってきたからなのかわからないですけど。

現在では、ハンバーグの焼き方に関して、全てのスタッフの中でもトップランカーです。小島くんと双璧という感じ。もともと小島くんがすごく上手で、「僕もこんな風にやりたい」と小島くんの焼き方を学んで、すごく上手になった。それは僕だけでなく、他のスタッフも認めていると思います。

ー 宙さん自身は、どのようなことを意識しながら働いてきたんですか?

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岩崎:前職の料亭は誰も教えてくれない環境で、先輩料理人の動きを見て、それをマネしながら覚えていくしかなかったんですね。そういう環境で育ったせいか、人の仕事を観察して、「いいな」と思うところを取り入れていくのが、自分のスタイルだと思っているんですよ。

ありがたいことに『挽肉と米』にはすごくいいメンバーが揃っていて。先ほど話に出た小島さんもそうですが、「この人、いいな」「この人のこの部分を見習いたいな」と素直に思える人が沢山います。

自分が「いいな」と思ったものは、全て自分に取り入れていきたい。そうした意識は常に持っているかなと思います。色々な動物のいいところを混ぜ込んだキメラみたいな存在になりたいです(笑)。

海外メンバーに『挽肉と米』をどう伝えるか?

ー それでは台湾出店の話について聞いていきたいと思います。時系列としては、どのように進んでいったんでしょうか?

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山本:22年の年末ごろに台湾へお店を出すことが決まり、23年4月からライセンス契約先の社員である台湾のメンバーが『挽肉と米 渋谷』へ研修を受けに来ることになりました。期間としては二ヶ月くらいですかね。

その研修を担当するメンバーが何人かいて、そのうちの一人が宙くんでした。台湾から来たメンバーの多くは日本語が話せるのですが、中には英語しか通じない人もいます。その点、宙くんは語学ができるので、チームの中でも頼りにされていたと思います。

ー 海外から研修に来たメンバーと接するのは今回が初だったと思いますが、どんな点に苦労しましたか?

岩崎:大変だったことは色々ありますが、特に難しさを感じたのは、相手から理由を聞かれた時ですね。例えば、「なぜ、お茶碗の向きはこうでないといけないのか?」と質問されても、最初は上手く答えられなかったんです。

日本人同士だと、「これはこうなので、こうしてください」って伝えれば、「はい、わかりました」で終わるんですよ。僕自身、そんな感じで仕事を覚えてきたので。そのため、台湾のメンバーから理由を改まって聞かれると、「言われてみれば、なんでだろう?」と考え込んでしまうことが多かったんですね。

他のメンバーに聞いても、明確な答えがなかったり、考え方が人によってバラバラだったりして。それで、台湾メンバーへの研修をキッカケに、スタッフ間で話し合いながら、一つ一つの理由を考えるようになりましたね。

山本:外国の人たちに理解してもらおうと考えると、文化の違いなども含めて、理由を細かく伝えていく必要があるので、そこはすごく苦労した部分ではありますよね。また、自分が教える側になると、『挽肉と米』のコンセプトをより深く理解しないといけないので、宙くんにとってもいい機会になったのではないかなと思います。

あと、僕が宙くんを見ててスゴいと思ったのは、何をどう伝えるかだけでなく、相手と仲良くなることで全て解決しているんですよ。

岩崎:やばい、バレてる(笑)

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山本:台湾から来たメンバーと友達になっていて、家に泊まりにいったりしている。そういう関係になっているから、しっかりと話を聞いてくれるし、僕らのことを理解しようと努めてくれる。

そういうのって、簡単にできないじゃないですか(笑)。台湾に行ってからもそうで、現地のメンバーと友人のような関係を築いている。相手の懐に入っていく人間力も、宙くんのスゴさだと感じますね。

初の海外出店で味わった難しさと感動

ー 『挽肉と米 台北中山』オープンに際して、宙さんは現地へ赴き、約3カ月間を台湾で過ごしました。コーチングスタッフとして働くなかで、特に苦労した点は何ですか?

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岩崎:山本さんが話してくれたように、僕の場合、まずは相手と仲良くなることを意識しているんですね。でも、現地のアルバイトスタッフさんの多くは日本語も英語も話せないので、最初はコミュニケーションを上手くとれなかったんですよ。

そこで、日本語が話せる台湾のメンバーから言葉を少し教えてもらって、挨拶や「ありがとう」は向こうの言葉で話したりして、少しずつ関係を作っていきました。それにすごく時間がかかりましたし、簡単には上手くいかなかったですね。

山本:現地にいる時間は限られているから、「気づいたことは、どんどん伝えていかないといけない」みたいな責任感が、最初は裏目に出てしまったところもあったと思うんですよね。キツい感じの伝え方になってしまったり。日本人同士だと、言い回しとか伝え方でカバーできるところがあると思うんですけど、それができないから。

僕も現地に行って、台湾のスタッフのロールプレイングを見たりするんですけど、やっぱり言葉が違うから、感じよく接客できているかがわからないんですよ。オープン前のレセプションが近づいてきても、『挽肉と米』らしいリズムや雰囲気が生まれないから、どうしたものかと思いました。

それで日本から来たメンバーだけでロールプレイングを一回やったんですよね。こんな声で、こんな風な表情で、こんな風な雰囲気でやるんだよと。それによって僕らが大切にしているものが伝わったのか、お店にリズムが生まれるようになりました。

そんな感じで、反省点は色々ありますが、今後の海外出店に向けた学びが多かったですね。特に、現地のメンバーにどうやったら受け入れてもらえるかをすごく考えないといけなくて、そこを宙くんは意識的にやってくれていたように感じます。そのおかげもあって、最終的にはめちゃくちゃいいチームになりました。

ー 台湾で3カ月過ごす中で、特に思い出深いエピソードはありますか?

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岩崎:僕の誕生日は8月11日で、台湾滞在のど真ん中にあったんですよ。その日、営業前の休憩時間中に急にお店の電気が消えたと思ったら、バースデーソングが流れ始めて、スタッフのみんながケーキを持ってきてくれたんですよ。もう泣きそうでしたね。

台湾のメンバーとは今でも頻繁に連絡をとっていて、僕らとしても「ぜひ見習いたい」と思うところが沢山あるチームになっています。『挽肉と米』の仲間として、これからも仲良くやっていきたいです。

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サプライズで誕生日を祝ってくれた「挽肉と米 台北中山」のみんなと

飲食で働くことのイメージを変えていく

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岩崎:やはり僕の中には、お客さまに楽しんで食事していただくのはもちろんのこと、そこで働く従業員のみんなも楽しく働けることを追求したいという想いがあります。そのため、営業中のコミュニケーションも自分なりに色々と工夫しています。

例えば、お客さまに「おいしかったですか?」と聞いて、「おいしい」と言っていただけたら、焼き師に向かって「〇〇さん!美味しいですって!」とその場で大声で伝えてみたり。口数が少なくて怖そうな印象の社員さんをみんなの前でイジってみたりして、「こういう人だったんだ!」と周りのメンバーに気づいてもらうようにしたり。

少しでも職場を明るい雰囲気に変えて、メンバー同士の関係性をよくして、前向きな気持ちで働けるようにしたい。そうした想いがすごくあるんですよね。

山本:宙くんは超社交的というわけではないんですよ(笑)。いわゆる、「コミュ力がすごい!」みたいなキャラクターではないんです。でも、みんなの関係性をジンワリと作っていく。そういうことができる人なんですよね。

一方で、自分が前に出過ぎちゃいけないとも考えていて、いかに「気配りを気配りだと思わせない気配り」ができるかを考えていたりします。そこまで考えているんだと驚いたりするんですけど、そうした姿勢はひとつひとつの仕事に滲み出ていると感じますね。

ー 宙さんが「みんなが前向きに働ける職場にしていきたい」と強く思うのは、過去の自分の経験によるところが大きいですか?

岩崎:そうですね。上下関係が厳しい職場でやってきて、当時はそれが当たり前だと思っていたんですけど、それがすごく苦しかったんですよね。実際、飲食の業界で、楽しんで仕事をできている人は少ないんじゃないかと思います。

僕はそれを変えていきたくて、『挽肉と米』を通じて「飲食でも、こういう世界があるよ」ということを世の中に伝えていきたいんですよね。やっぱり、飲食の仕事が好きなので、飲食のイメージを変えていきたい。

やはり、人生で過ごす時間の半分くらいは仕事ですから、楽しく働いたほうがいいに決まっています。僕が入る前から『挽肉と米』はいい職場だったと思うんですけど、それをもっと広げていきたいです。

岩崎 宙(いわさき・そら)
株式会社 挽肉と米 社員
2023年3月、株式会社 挽肉と米に入社。「楽しく働く事」をモットーに勤務。料亭などでの調理経験を活かし、ハンバーグの焼きの質の向上を常に研究している。また海外経験を活かし、「挽肉と米」初の海外出店プロジェクトのメンバーに。台湾に3ヶ月滞在し、現地スタッフのコーチングを担当。
現在は、海外のお客様へ向け、英語を使ったより良い接客を考えたり、社内で様々な仕事に挑戦したりと、海外店舗立ち上げスタッフのリーダーになれるよう、日々精進している。

聞き手・文章:井手桂司
写真:三橋拓弥

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コメント

1
つっち。
つっち。

通りすがりです。

「気配りを気配りだと思わせない気配り」という言葉、刺さりました。なるほど〜。

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『挽肉と米』の海外展開で味わった難しさと、現地チームとの深い絆|挽肉と米
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