ドローンの軍事利用、医療従事者脅かす
紛争の人々への悪影響を監視する国際人権団体「インセキュリティー・インサイト」は14日、無人機(ドローン)の軍事利用がここ2年で急増しており、昨年中に確認できた医療や人道支援の従事者が影響を受けた事件の発生数が世界全体で300件以上に上ったと報告した。ロシアが侵攻するウクライナやパレスチナ自治区ガザ、ミャンマーなどで多く発生しており、市民に対する支援活動を阻害する脅威となっているという。
ドローンによる爆弾攻撃が紛争地帯の保健医療活動などに影響を与えた事件数は、2016~24年の累計で426件。このうち23年が84件(全体の20%)、24年が308件(72%)となった。
内戦状態のミャンマーでは、国軍と抵抗勢力それぞれがドローンを利用。インセキュリティー・インサイトは、国軍のドローン利用が医療施設や避難民キャンプなどでの主な被害の原因としつつ、少数民族武装勢力「カレン民族同盟(KNU)」の軍事組織「カレン民族解放軍(KNLA)」、民主派武装組織「国民防衛隊(PDF)」による攻撃も確認したという。
遠隔操作が可能でコストを抑えられるドローンは近年、偵察や爆弾攻撃での利用が各国で広がっている。ミャンマーでは、各勢力が使用しているドローンは中国製が多い。国軍側は国有企業の中国航天科技集団(CASC)製などを、抵抗勢力側は深セン市大疆創新科技(DJI)製などを使用している。
ミャンマーでは複数の勢力が割拠しており、市民からもドローン攻撃に巻き込まれることを懸念する声が上がる。中国関係者はNNAに、同国で容易に購入できる民生用が軍事転用されており、取り締まりは難しいと説明した。