女性スポーツにトランス女性の参加を禁じる法案、米下院で可決
米下院は14日、連邦政府からの資金を受ける教育機関において、女性スポーツにトランスジェンダーの選手が参加することを禁止する法案を可決した。トランプ次期大統領の公約に沿った法案だが、上院を通過するかどうかはまだ不透明だ。
下院(定数435)で法案は、218対206の賛成多数で可決された。投票した共和党議員の全員に加え、民主党からも2人が賛成票を投じた。
今後は上院を通過し、大統領が署名すれば法案が成立する。上院(定数100)では60人の賛成が求められるため、53議席を持つ共和党に加えて、民主党からも7人が賛成に回る必要がある。
今回の法案は、性別は出生時の生物学的な特性だけで判断されると明記。そのうえで、生物学的に男性であれば、女性のスポーツに参加することを禁止すると規定している。同様の法案は2023年にも下院で可決されたが、当時は上院で多数派を占める民主党が反対したことで、成立しなかった。
トランプ氏「女性のスポーツから男性を締め出す」
米国では、トランスジェンダーの権利拡大をめぐる賛否が政治的に大きな争点となってきた。とりわけ、出生時の性別は男性だったトランス女性が女性のスポーツに参加することには公平ではないとして、トランプ氏を筆頭に共和党が強く反対してきた。
トランプ氏は「女性のスポーツから男性を締め出す」ことを公約に掲げ、一定の支持を集めた。選挙戦ではトランスジェンダーをめぐる選挙広告を大々的に打ち出し、過度にリベラルだと批判されることを恐れた民主党は守勢に回ることになった。
民主党からは「差別を助長」と懸念も
今回の法案について、民主党からはトランスジェンダーの子どもたちへの差別を助長するとの懸念が上がっている。トランス女性が女性スポーツに参加するケースは極めてまれだとの指摘もある。
一方で、一定のルールが必要だとの声は党派を超えて出ている。低学年の子どもたちまで一律に規制するのではなく、競技レベルの女性スポーツに限って合理的な規制を考えるべきだと一部の民主党議員は主張している。
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- 【視点】
もうずっと議論されているテーマですが、IOCを含む国際スポーツ界では引き続き議論がなされています。 その論調はこうです。 男性はテストステロンの分泌が盛んな思春期に広い肩幅や大きな手、長い胴体、増大する筋肉量、筋力、骨密度、心肺機能といった大きな優位性を獲得する。しかし、ある調査によると、トランス女性対象者の全員が少なくとも1年間はテストステロンのレベルを抑制し、エストロゲン(訳注=卵胞ホルモン)を補充する療法を受けていた場合、トランスジェンダーの女性対象者はシスジェンダーの女性対象者より握力が強かったが、肺機能と相対的なVO2max(運動時に使われる酸素の最大量)は低かったことがわかった。トランスジェンダーの女性対象者は、下半身の強さを測る跳躍テストでもシスジェンダーの女性や男性よりも低い数値を示した。 (参考 https://globe.asahi.com/article/15274532) つまり、科学的に男性と女性の二元論だけで決めつけられることではなく、まだ研究が必要な分野であるということ。にもかかわらず、いきなり法律で排除し、人格を否定するヘイトを増長するというこの問題の政治利用に、大きな怒りを覚えます。科学的な根拠のある議論を無視して単純で無知なヘイトを助長することにより、どれだけ多くの人が傷つき、人生を台無しにされるかと思うと本当に心が痛みます。アメリカが強い国際連盟、特に水泳などもこの単純な二元論の論調に引き摺り込まれています。この論調に惑わされることなく日本を含むその他の競技、世界は、スポーツが人を国籍、人種や出自、ジェンダー、障がいなどで差別しない万人の人のものであるという信念のもとに、冷静な議論を積み重ねていくことを強く望みます。
…続きを読む - 【視点】
トランス女性を女性スポーツから締め出す意味は何だろう? 男女間に身体の差があってケガする心配もあるため、安全第一で「弱い」女性選手を「強い」トランス女性選手から守るためだと主張される。だが、「強さ」制限ではないわけだよね。 トランス女性選手はたしかに存在するが、全国大会で優勝しているのはほとんどいない。つまり、圧倒的な割合でトランス女性より強い女性選手が沢山いるわけ。では、そのトランス選手よりも強い、最強の女性選手たちから「弱い」女性選手をどう守るのか? 本当に安全が目的であれば、生まれた性別ではなく、体格や体力で出場権を区切るべきではないだろうか? トランスに対する恐怖や怒りを煽り、そこでジェンダーマイノリティーを守ろうとする民主党を窮地に陥れることが本当の狙いではないだろうか。
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